NTT MEと伊那市が共同開発した橋梁点検システム、ドローンとAIで業務効率化へ

NTT ME株式会社(以下、NTT ME)と長野県伊那市は、橋梁(きょうりょう)点検の業務全体を効率化するための「橋梁点検システム」を共同で開発し、現在試行を進めています。

橋梁点検を、次の標準へ。ドローン×AI×クラウドで点検から報告書作成までを一元化。

このシステムは、ドローンやAI(人工知能)、専用の点検アプリケーションを使い、点検の準備から報告書の作成まで、一連の作業をまとめて管理できるのが特長です。これにより、橋梁点検にかかる人手を減らし、作業を統一することで、自治体や建設コンサルタントの業務をより効率的にし、生産性を高めることを目指しています。

このシステムは、2023年度から2025年度にかけて行われた実証事業で得られた知識をもとに作られました。今後は、自治体や建設コンサルタントと一緒に検証を続け、さらに機能の向上を図っていく予定です。

開発の背景と目的

日本には、高度経済成長期に集中的に作られた約72万橋もの橋があります。これらの橋は、今後20年で約7割が作られてから50年以上が経つと予想されています。法律で5年に一度の点検が義務付けられている中で、自治体や建設コンサルタントは、多くの橋の点検や書類作成に大変な手間と時間をかけています。さらに、限られた予算や、深刻な技術者不足という問題にも直面しています。

これまでのドローンを使った点検では、画像データを集めることはできても、その後の損傷箇所(傷んだ部分)の特定や報告書作成に多くの手間がかかるという課題がありました。そこでNTT MEは、通信インフラの保守で培った現場の技術とデジタル技術を組み合わせることで、点検の質を保ちながら、社会インフラの維持管理業務を効率化し、現場の負担を減らすためのシステムを開発しました。

点検計画から撮影、AI解析、調書作成まで支援します。

システムの主な特長

このシステムには、主に4つの特長があります。

  1. 業務の流れを最適化
    国土交通省の道路データ連携基盤である「xROAD」と連携し、点検計画の作成から、ドローンによる撮影支援、システムでの現場記録(野帳)対応、AIによる損傷箇所の特定、そして事務所に戻ってからの点検報告書作成までを、一つのシステムで完結できます。これにより、各作業間でのデータ連携や書類作成にかかる負担が減ります。
  2. 現場の知識を活かしたAIによる損傷判断支援
    NTT MEが長年培ってきた設備保守の知識をAIに学習させました。コンクリートのひび割れや鋼材の腐食を自動で見つけるだけでなく、腐食による厚さの減少まで推定できるため、技術者による確認作業を効率化できます。
  3. 自治体の既存業務に合わせた「現場一体型」設計
    伊那市などの自治体職員や現場の技術者と共同で検証を重ね、専門的なITの知識がなくても使いやすい画面や操作方法が作られました。
  4. ドローン専属パイロットによる運航
    NTT MEは全国に500名のドローンパイロットを抱えており、災害時の状況把握や、橋梁、管路、鉄塔などのインフラ点検で培った技術と経験を活かし、大きな橋や人が行きにくい場所にある橋でのドローン運航にも対応可能です。

橋梁点検プラットフォームの特徵業務フローの最適化現場の知見を学習した高精度AI自治体に寄り添う「現場一体型」設計ドローン専属パイロットによる運航

今後の展開

伊那市との連携協定に基づき、お互いに協力しながら、2026年度からこのシステムの有効性を確かめ、利用の機会を広げることに取り組んでいきます。NTT MEは、この取り組みを通して、橋梁点検業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、持続可能な社会の基盤づくりに貢献していく考えです。

伊那市とNTT MEの連携協定

伊那市からのコメント

伊那市では700を超える橋を管理しており、市職員では難しい橋の点検は建設コンサルタントに依頼しています。中には、高額な大型点検車やロープを使った作業が必要な橋もあります。多くの橋が老朽化する中で、限られた予算と人員でインフラを守り、市民の安全を確保することが大きな課題でした。

伊那市は、NTT ME株式会社と共同で開発したこの「橋梁点検システム」が、ドローンで撮影した画像のAI分析により、橋梁点検業務の効率化や費用負担の軽減につながることを期待しています。また、点検業者の危険な高所作業を減らし、高齢化による技術者不足といった構造的な課題の解決にも役立つと考えています。さらに、市職員が行う比較的小さな橋の点検においても、業務効率化に貢献することが期待されます。

橋の維持管理における費用負担の軽減や業務効率化は、全国の自治体に共通する課題です。このシステムがより多くの現場で活用され、やがて橋梁点検の新しいモデルとして定着していくことを願っています。

お問い合わせ先

橋梁点検システムにご関心のある自治体や企業の皆様からのご相談を受け付けています。実証実験のデータに基づいた具体的な導入効果のシミュレーションも可能です。

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