AIがNCプログラムを自動生成、複雑な加工の自動化へ開発フェーズ移行

AIがNCプログラムを自動生成、熟練技術者のノウハウをデジタル化

株式会社Archaicと中部特殊合板株式会社は、共同で開発を進める「4軸+4ボーリングNC加工機向け AIによるNCプログラム自動生成システム」が実験フェーズで良い結果を出したことを発表しました。これを受け、システムは本格的な研究開発(R&D)と開発の段階へと進みます。

このシステムは、4軸+4ボーリングNC加工機という機械を使い、3Dデータ(STEPファイル)を読み込むところから、NCプログラムの作成、さらには加工指示書の作成までを一つのシステムで完結させることを目指しています。特に、多くの軸を同時に使う複雑な加工工程をAIが自動で判断することで、これまでの一般的なCAMソフトでは難しかった自動化に取り組んでいます。

開発の背景と目的

多軸NC加工では、加工する部品の配置が複雑なため、熟練した技術者がプログラムを作るのに多くの時間と手間がかかることが長年の課題でした。特に、4つの部品(それぞれ2個ずつ)を同時に加工するような特殊な配置では、市販のCAMソフトウェアでは加工の経路計算や設定が困難であり、ベテラン技術者の経験や勘に頼る仕事が続いていました。

このプロジェクトは、こうした「職人技」をAIの力でデジタル化し、NCプログラムを作る手間を大幅に減らし、加工の品質を安定させることを目標に始まりました。

実験フェーズで確認された成果

今回の実験フェーズでは、特定の部品について以下の3つの点が確認されました。

  • AI学習の検証完了: 部品の右側板(内側・外側)において、熟練技術者が作ったNCプログラムと同じくらいの精度でAIがプログラムを出力できることが分かりました。

  • 一貫したシステム化: 3Dデータ(STEPファイル)の読み込みからNCプログラムの生成、加工指示書の作成までを一つのシステムでスムーズに行える基盤が有効であることが確認されました。

  • AI修正機能の実装・検証: AIが生成したプログラムに対して、AIが部品の形や加工工程を判断して微調整する機能が作られ、その効果が確かめられました。AIチャットを使って対話形式で修正を依頼できることも確認されています。

システム画面の構成

システムは、「ワーク設定」「加工部位情報・加工設定・NCデータ」「AIチャット」の3つの部分で構成されています。STEPファイルをアップロードするだけで、加工する穴の一覧、工具の設定、NCプログラム、加工指示書がまとめて作られます。

システム画面構成

生成されたNCデータと加工指示書は以下のようになります。

生成されたNCプログラム

生成された加工指示書

多軸・複数ワーク対応という技術的な特長

このシステムの最も大きな特長は、一般的なCAMソフトでは設定が難しかった多軸制御や複数の部品配置に対応できる点です。独自のデータ構造を最適化することで、多軸制御特有のさまざまな条件を考慮した学習モデルを作り上げました。これにより、これまで熟練者の調整が必要だった判断をAIが行う仕組みが実現しています。

多軸・複数ワーク対応

複数の軸を柔軟に設定し、複数の部品に適用できるこのシステムは、これまでのCAM運用とは異なる新しい方法であり、AIを活用した新しい製造自動化の形を示すものです。

今後の展望

実験フェーズで得られた成果をもとに、開発フェーズでは本格的な研究開発として以下の取り組みが進められます。

  • AI学習の深化: 中部特殊合板の高い加工要求や、多軸機と加工対象の組み合わせによる特有の動きを完全にカバーするため、継続的にデータを集めてAIモデルの精度を高めます。

  • 6軸ATC10ホルダNC加工機への展開: 中部特殊合板で製造が多い盤面加工への展開を早め、顧客ごとに異なる複雑な加工要求や6軸ATCのNC加工機に対応できるよう、要件の定義を進めます。

  • 汎用化と実用化: より高い精度を目指し、さまざまな加工パターンをAIに追加で学習させ、「職人技」のデジタル化を本格的に進めます。

株式会社Archaicについて

株式会社Archaicは、CAD AI Agentをはじめとする、設計や製造の分野で役立つAIソリューションを開発・提供しています。3D CADデータの活用や図面作成業務の自動化・効率化を通じて、製造業の設計・生産プロセスをより高度なものにする支援をしています。

  • CAD AI Agent: 3D CADデータから設計や加工に関わる作業をAIがサポートする、CADに組み込むAIアシスタントです。

  • 検図AI Agent: 図面の記載ミスやルール違反をAIが自動でチェックする検図支援システムです。

  • 図面管理AIシステム: 社内にある図面や技術文書をAIで検索し、活用できるようにする管理システムです。

詳細は以下のURLからご覧いただけます。
https://archaic.co.jp/

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