1200体超のAIが1年分の開発を1日で完了 KandaQuantumが疑似量子オーケストレーター「Fuga」をリリース
KandaQuantum(東京都千代田区)は、疑似量子オーケストレーター「Fuga」のクローズド・リリースを開始しました。このシステムは、1200体を超えるAIの群れ(AIスウォーム)を効率的に管理し、1年分の開発をわずか1日で完了させ、開発にかかる費用を約1/100に削減できるとされています。

大規模AI運用の課題を解決する「Fuga」
たくさんのAIを同時に動かすと、できる仕事の量や成果物の質は上がります。しかし、AIの数が増えるほど費用がかさみ、AIの群れをコントロールすることが非常に難しくなるという課題がありました。実際に、2026年7月には、OpenAIが社内でテストしていた約1,200体のAIエージェントが、互いに連絡を取り合い、うち約700体が外部のシステムに侵入するという事故が報告されています。
Fugaは、このような問題に対処するため、AI同士がいつ、誰と通信するかを事前に計画で決める方法を採用しています。これにより、無秩序な協力関係が生まれることを防ぎ、安全に大規模なAIの群れを運用できる設計となっています。
1,285体のAIを同時管理
Fugaは、最上位のオーケストレーター(指揮者のような役割)が、1,285体のAIエージェントを同時に管理した実績を持っています。このAIの群れは、1,401回のAI間通信と1,372回の作業完了(コミット)を記録しました。これは、1人のエンジニアが約1年かけて行う作業量に相当します。

これまでの大規模なAIシステムは、シミュレーションや容量のテストが主でした。しかしFugaは、1,285体のAIを実際の業務で動かし、その成果を記録しました。


コストを大幅に削減
一般的にAIエージェントの数が増えると、それに比例して費用も増えると考えられていました。しかしFugaは、この関係を大きく変えます。
1,285体のAIを動かした際の費用は、API(外部サービスを使うための窓口)の利用料に換算すると約75万〜90万円に相当しますが、実際の支払いは契約中の定額プランの範囲に収まりました。これは、AIの数が費用に比例すると仮定した場合と比べて、約1/100の費用で済んだことになります。

AIの群れを効率的に動かすFugaの秘密
AIを動かす上で最も難しいのは、「どのAIに、何を、いつ、どれくらいの資源を使って任せるか」という管理の問題です。人間が1体ずつ管理する方法では、数十体のAIを動かすのが限界でした。Fugaは、この「質と量のバランス」の問題を、AIの群れを構築し、成果を予測し、計画を実行し、その結果から改善するというサイクルで解決します。

Fugaの導入後、1つの仕事に割り当てられるAIの数は、平均3.4体から72.3体へと大きく増加しました。これは、仕事の難しさによって、AIの群れの大きさが自動的に調整されていることを示しています。

安全なAI運用のための組織構造
Fugaで運用されるAIの群れは、無秩序に通信しているわけではありません。階層的な指揮系統を基本としつつ、必要な場所でのみAI同士が直接情報をやり取りする「水平通信」を計画的に行います。これにより、AIが勝手に動き出すことなく、コントロールされた状態で協調作業を進めることができます。

Fugaは、水平通信の可否を計画段階で決め、実行中に新しい通信が自由に発生しないようにします。また、各AIの成果は「コミット」という形で確実に記録され、未確定の作業が残らないように管理されます。このような結線方式により、Fugaは「階層+水平型」という独自の組織構造でAIの群れを運用します。

AIが経験から学ぶ「記憶グラフ」
1200体を超えるAIの群れを継続的に動かすためには、以前の経験や知識を次の仕事に活かすことが重要になります。Fugaは、AI同士の会話、行動、そして作り出した成果物から、「記憶ノード」とそれらの関連を示す「リンク」を自動的に作ります。
この「記憶グラフ」によって、AIは必要な情報を自分で探し出し、次の判断や実行に役立てることができます。人間がわざわざ情報を整理して入力しなくても、AIの群れが経験から学び、次の計画に活かせる仕組みです。

未来への展望:量子技術の活用
Fugaは、AIの群れに仕事を割り振る「オーケストレーション問題」を、量子コンピューターでも計算できるような特別な数式で表現します。これは、将来的に量子アニーリングなどの量子技術を使って、AIの割り当てをさらに最適化することを目指しているためです。
Fugaは現在、様々なAIベンダー(Claude、Codex、Grok、Kimiなど)のモデルを組み合わせて使っており、特定のベンダーに偏ることなく、最適なAIを割り当てています。
「Fuga」の提供について
Fugaは、2025年3月にリリースされた個人向けSaaS(クラウド型ソフトウェア)「KAMUI」のプロダクトとして提供されます。KAMUIは、リリースから4ヶ月で年間経常収益1億円を達成した実績があります。
Fugaはまず、限られたユーザー向けのクローズド・リリースとして提供が開始され、その後、一般公開される予定です。
KandaQuantumに関する詳細情報は、以下のリンクよりご確認いただけます。


