図面AI「Drawing Agent」に関節が動く3Dモデルを生成する新機能「可動アセンブリ」が登場
株式会社renueは、2D図面から3Dモデルを自動で作り出すAIサービス「Drawing Agent」に、新機能「可動アセンブリ」を追加しました。この機能により、組立図から関節の動きを読み取り、実際に動かせる3Dモデルを生成できるようになります。

可動アセンブリ機能の概要
新機能「可動アセンブリ」は、組立図に描かれた部品の「動き」の情報をAIが読み取り、関節が動く3Dモデルを作るものです。2D図面をアップロードするだけで、すぐに動かせる3Dモデルが手に入ります。
例えば、蝶番(ちょうつがい)の組立図では、2枚の板とピンをそれぞれ別の部品として認識し、回転の矢印や関節の表から、ピンを軸とした回転する関節とその動きの範囲を読み取ります。生成された3Dモデルは、画面上の操作で、読み取られた範囲内で実際に開閉します。この機能は回転する関節と直線的に動く関節に対応しており、複数の関節がつながる複雑な仕組みにも対応しています。
生成されたモデルは、AIが実際に動かして、動作中に部品が外れたりしないかを自動で確認します。もし問題が見つかった場合は、そのモデルは最終的な成果物として扱わず、「未検証」と示されます。動く情報を持つモデルは、ロボット開発で使われるURDF形式や、物理シミュレーションで使われるMJCF形式でも出力できます。これには、部品の重さ、重心、動きにくさ、関節の動きの範囲といった情報も含まれます。
AIが読み取った関節の情報は、モデルが生成される前に画面で確認したり修正したりできます。特別な準備は不要で、インターネットブラウザから図面をアップロードするだけで利用可能です。
Drawing Agentについて
Drawing Agentは、画像、PDF、DXF/DWGといった2D図面をアップロードすると、AIが図面を解析し、STEP/GLB/STL形式の3D CADモデルを自動で作り出すAIサービスです。CADソフトの操作が苦手な人でも、設計者自身が図面を3Dデータに変換できます。
2026年3月の公開以来、部品情報の事前参照、図面データの整理、AIエージェントによる適切な読図ツールの自動選択、材質や部品ごとの自動分解生成、複数の部品をまとめるアセンブリ機能、そして構造解析(CAE機能 β版)といった機能が追加され、継続的に強化されてきました。
開発の背景と目的
製造業や建設業の現場には、これまで長い年月をかけて作られてきたたくさんの2D図面があります。これらの図面を、見積もりや加工の準備だけでなく、部品同士のぶつかり合いの確認、仕組みの検討、デジタルツイン化(現実世界を仮想空間に再現すること)など、3Dデータとして活用したい場面が増えています。特に、ロボットや物理シミュレーションの利用が広がる中で、「動かせる3Dデータ」を用意する手間が新たな課題となっていました。
これまでの3Dデータ化では、図面に描かれている部品の形は再現できても、「どこが、どの軸で、どこまで動くか」といった動きの情報は、3Dモデルに引き継がれませんでした。例えば、蝶番の図面には、部品の形だけでなく、「ピンを軸にプレートが回る」という情報が含まれていますが、従来の3D化では、この情報が失われ、ただ金属部品が3つ並んだだけのモデルになっていました。このため、動きを検討するには、人がCADソフトで部品を分け、関節を定義し直す必要がありました。
「可動アセンブリ」機能は、図面に描かれている動きの情報まで3Dデータ化することを目的としています。図面の中にある答えをAIが読み取り、部品の形や寸法だけでなく、関節の種類、回転軸、動きの範囲までを読み取って、すぐに動かせるモデルを出力します。さらに、AIが作った仕組みを人が安心して使えるよう、動きの検証までを自動で行います。これにより、設計の初期段階での仕組みの検討、生産現場での道具や装置の動作確認、営業や教育資料での動作説明など、「動くモデル」が必要な様々な場面での活用が期待されます。
従来の課題
3Dモデルから「動き」が抜け落ちる
組立図に描かれた回転の矢印や動きの範囲を示す説明は、人が見ればすぐに分かります。しかし、これまでの図面を3D化する作業では、形を再現することが優先され、動きの情報は無視されがちでした。結果として、図面が持っていた動きの情報は、3Dモデルになる過程で失われていました。例えば、蝶番の図面から3Dモデルを作っても、開閉しないモデルしか得られなければ、取り付け方や開閉する角度の検討には使えません。
可動部の定義は、結局人手のやり直し作業
仕組みの検討やシミュレーションに使うためには、3Dモデルを一つ一つの部品に分け、関節のつながり方、回転軸、動きの範囲を専用のツールで設定し直す必要がありました。ロボットのシミュレーションで使うURDFファイルを用意する場合は、部品ごとの重さや重心、動きにくさの設定も加わります。図面に答えが書かれているのに、同じ情報をもう一度手作業で入力する手間が発生していました。この作業は部品や関節の数が増えるほど大変になり、3D化自体を自動にしても、動きの定義が人手に残る限り、検討にかかる時間は短縮されませんでした。
「動くはず」のモデルが、動かない
AIで組み立てられたモデルを作ると、見た目は正しくても、回転の中心がずれていたり、部品同士が離れて配置されていたり、動かすと部品が外れてしまったりといった問題が起こることがあります。回転軸が少しずれるだけでも、仕組みとしては機能しません。AIが間違った結果を出しても、自信があるように見えるため、静止した画面では正しく見え、目で確認するだけでは気づきにくい問題です。かといって、一つ一つ手作業で動きを確かめていては、自動化で短縮したはずの時間が確認作業で無駄になってしまいます。問題が後になってから見つかると、修正にかかる費用も大きくなります。
「可動アセンブリ」の特長
可動アセンブリ機能は、図面の情報をAIが読み取り、操作し、検証するという3つの段階で構成されています。主な特長は以下の3点です。
1. 図面から、関節を読み取る

▲ 実際の画面:図面解釈の確認(抜粋)。関節表から「REVOLUTE・Z軸・-90°〜+90°」を読み取り(信頼度0.99)
組立図をAIが解析し、部品を分けるとともに、関節の情報を抜き出します。回転の矢印、蝶番やピンの配置、関節表(種類、部品のつながり、軸、動きの範囲)、部品表(BOM)などを手がかりに、「どの部品が、どの部品に対して、どの軸でどこまで動くか」という構造を理解します。回転する関節と直線的に動く関節に対応しており、蝶番のような一つの関節の仕組みから、複数の関節が連続してつながる仕組みまで扱えます。
寸法の読み取りも同時に行われます。表形式の組立図からは部品ごとの寸法を自動で拾い上げ、それぞれの部品を作る条件として引き継ぎます。寸法が書かれていない部品には、図面全体の大きさを自動で調整して、サイズを決める根拠を持たせます。
関節表や部品表がきちんと整っていない図面でも、矢印や部品の配置から動きの関係を予測し、それが予測であることをはっきりと示します。読み取られた部品と関節の一覧は、モデルを作る前の確認画面で見ることができ、関節の種類、軸、動きの範囲はその場で修正してからモデル生成に進めます。これにより、図面の描き方に特徴がある場合でも、確認と少しの修正で作業を進められます。
2. 画面の中で、関節が動く

▲ 実際の操作画面:関節スライダーの操作で、生成された蝶番モデルが読み取った可動域(-90°〜+90°)の範囲で開閉
生成された3Dモデルは、部品がそれぞれ独立した「リンク」として分けられた状態で出力されます。ビューアの「関節操作」モードでスライダーを動かすと、その関節につながる部品だけが回転したり移動したりします。蝶番の組立図であれば、AIが読み取った動きの範囲で、実際に板が開閉する様子を確認できます。
スライダーには読み取られた動きの範囲が反映され、関節ごとに動きを切り替えられるため、複数の関節を持つ仕組みでも、一つずつ動きを確かめることができます。
内部では、部品をリンク、部品間の動きの関係を関節とする木のような構造でモデルを管理します。この構造が、ビューアでの関節操作や、後述するファイル形式での出力の基礎となります。関節や部品同士の結合関係は、表形式で確認したり編集したりでき、修正後はモデルに再び反映できます。もし読み取り間違いがあっても、その場で修正して作業を進められます。
出力形式も用途に合わせて選べます。従来のSTEP/GLB/STL形式に加え、動きの情報を持つモデルは、ロボット開発でよく使われるURDF形式や、物理シミュレーションで使われるMJCF形式のファイルとしてダウンロードできます。部品の重さ、重心、動きにくさ、関節の動きの範囲といった情報も含まれるため、シミュレーション環境にそのまま渡して利用できます。
3. 動かして、壊れないかまで検証する

▲ 実際の画面(抜粋):動きを含む検証の内訳(合格・不合格・未検証)と、干渉の実体積計測(INTERFERENCE: CLEAN)
生成されたモデルは、AIが関節を特定の姿勢まで実際に動かして検証します。動作中に関節の近くの接合面が離れる場合は、不合格と判断します。この確認を関節の近くに限定することで、離れた場所の接触によって蝶番の不具合が見過ごされることがないように設計されています。回転の中心がずれていたり、図面上では動くはずの関節がモデルに存在しない場合も検出します。
この関節の検証は、既存の検証機能と統合されています。図面に書かれた寸法とモデルの実際の計測値の自動照合(許容範囲は図面の明示値を優先し、記載がなければISO 2768の一般公差を適用)、穴の直径のCADデータレベルでの幾何学的な確認、部品同士のぶつかり合いの実際の体積計測を、動きの検証と合わせて行います。
検証に合格しないモデルは、最終的な成果物として扱われません。過去の検証結果を使い回すことはなく、モデルを修正するたびに改めて検証されます。機械的に合格か不合格かを決められない項目については、無理に結果を出しません。例えば、関節部分の噛み合いによる接触は、部品の細部まで作り込まないと判断できないため、不具合とは区別して「未検証」と分類されます。検証を通過できない場合は「検証済み」と偽らず、「検証未完了」と明示した上で、その時点での最も良いモデルを保持します。
合格、不合格、未検証の内訳は画面上で確認でき、どの寸法やどの関節が確認済みかを追跡できます。
想定される効果
機構検討の立ち上がりを短縮
図面を受け取ってから、仕組みを動かして確認するまでの準備作業を大幅に減らせます。最初の作業が早まるほど、同じ時間で検討できる案の数が増えます。
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図面から「動くモデル」への変換が自動化され、部品を分けたり、関節を定義したり、動きの範囲を入力したりする手作業が不要になります。
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関節の定義作業が、「AIが読み取った結果の確認と少しの修正」に変わります。
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URDF/MJCFファイルを一から手書きで用意していた作業は、生成されたファイルの確認作業に置き換えられます。
3Dデータの用途が広がる
動きのない形だけのデータではできなかった用途に、同じ図面データを使えるようになります。
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動きの範囲やぶつかり合いの事前確認、動作説明資料、社内教育など、動きが重要な用途に活用できます。
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URDF/MJCF形式で出力できるため、ロボットや物理シミュレーションの環境にデータを受け渡せます。
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部品の重さや動きにくさの情報も含まれるため、仕組みの動きを扱う次の工程との連携がスムーズになります。
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デジタルツイン(現実世界の情報を仮想空間で再現する技術)を整備する最初のステップとして、紙やPDFの図面データを動かせるデータに変換できます。
これらはすべて、部品がそれぞれ独立したリンクとして分けられ、関節の情報を持ったモデルだからこそ可能になる用途です。形を3D化するだけで止まっていた図面の活用を、さらに一歩進めます。
今後の展開
今回の可動アセンブリ機能は、蝶番のような一つの回転関節、スライドする仕組みのような直線的に動く関節から、複数の関節が連続してつながる仕組みまでを対象としています。今後は、AIが読み取れる図面表現をさらに広げ、折り畳んだ状態など図面特有の描き方への対応精度を高めていく予定です。また、多関節の複雑な組み合わせや、より多様な仕組みの要素への対応も順次進められます。
さらに、検証の範囲を広げ、仕組みがきちんと機能するかを多角的に確認できるようにしていきます。物理シミュレーション環境との連携強化も計画されており、図面からシミュレーションまでを一貫してつなぐことを目指しています。構造解析(CAE機能 β版)と組み合わせることで、形、寸法、動き、強度を一つの流れで扱える環境を目指します。
Drawing Agentはインターネットブラウザから利用できます。対応する図面は、スキャン画像、PDFからDXF/DWGのCADデータまで、現場の状況に合わせて選べます。実際の図面での試用を希望する企業は、以下の窓口までお問い合わせください。
株式会社renueは、2D図面資産を、形だけでなく動きまで含めた「使える3Dデータ」に変える取り組みを続けています。図面の中で止まっていた蝶番が画面の中で開閉するように、現場に眠っている図面資産を動かしていきます。
会社概要
会社名:株式会社renue
所在地:〒105-7105 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 5階
代表者:山本悠介
事業内容:AIコンサルティング業
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サービスサイト:https://drawing-agent.com/
本件に関するお問い合わせ
株式会社renue 広報担当
メール:info@renue.co.jp


