芝浦工大発の橋や道路点検クラウド「e-まちカルテ」が自治体向けに提供開始
芝浦工大発、橋梁・道路点検クラウド「e-まちカルテ」が自治体向けに提供開始
2026年9月1日より、芝浦工業大学と企業が共同開発した橋梁・道路点検クラウドサービス「e-まちカルテ」が、全国の自治体に向けて正式に提供されます。このサービスは、老朽化が進む社会インフラの点検や、大規模な災害が起きた際の緊急点検を、スマートフォンやタブレットといった手元の端末でサポートするものです。

このサービスは、芝浦工業大学工学部 勝木太教授(コンクリート構造研究室)とデザイン工学部 橋田規子教授(エモーショナルデザイン研究室)、株式会社天晴データネット、株式会社工藤の協力によって開発されました。
老朽化するインフラと点検の課題
日本の橋やトンネルなどのインフラは、建設から長い年月が経ち、老朽化が進んでいます。国土交通省のデータによると、全国にある約73万の道路橋のうち、建設から50年以上が経過した橋の割合は、2025年3月時点で約42%です。この割合は、2030年には約54%、2040年には約75%にもなると見込まれています。
橋やトンネルは、2014年から5年に1回の定期点検が義務付けられています。しかし、2回目の点検で修理が必要とされた橋の約9割は地方公共団体が管理しており、その修理の完了率は32%にとどまっているのが現状です。また、大規模な地震などの緊急時には、少ない人数で多くの橋や道路を短時間で確認し、安全に通行できるかを判断する必要があります。
研究室の成果と企業連携によるサービス化
「e-まちカルテ」は、勝木教授の研究室で開発された「橋梁の緊急点検システム」を基にしています。このシステムは、大規模地震発生後の緊急時に、道路や橋の状態を素早く把握し、点検記録と結果報告を迅速に行うことを目指して開発されました。
この研究成果を社会で実際に使われるサービスにするため、勝木教授は株式会社工藤に相談し、同社を通じて株式会社天晴データネットと連携しました。大学の研究成果に加えて、システムの開発や運用、事業化に必要な企業の知識や資源を取り入れることで、サービスの実用化が実現しました。
2025年から始まった天晴データネットとの共同研究では、研究室のアプリをWebで管理できるレベルまで改善し、自治体の要望に応じて点検の対象を橋梁だけでなく道路にも広げました。災害時の緊急点検と数年ごとの定期点検の両方に対応し、スマートフォンやタブレットから点検結果を作成・蓄積・共有できる、自治体の実務に必要な機能に絞り込んだサービスとしてまとめられています。
サービスのロゴとマスコットキャラクター「マチ・ミーアくん」は、大学院理工学研究科の学生がデザインしました。

「e-まちカルテ」の機能と利用メリット
利用者は、タブレット端末から点検結果を「e-まちカルテ」に入力します。音声入力にも対応しているため、現場での作業がしやすくなっています。点検結果はクラウド上に保存され、必要な情報を探したり、外部データとして出力したりすることが簡単にできます。これにより、報告書作成や集計作業などの業務に役立てることが可能です。
また、点検結果やルート区間の情報などを地図上でまとめて確認できるため、現場で直接記録すれば、事務所に戻ってからの転記や記録保存の作業を減らせます。

今後の展開
2024年から勝木教授と両社は、関東の6つの自治体と福井県内の自治体を訪問してこのサービスを提案し、2026年4月からは福井県内の自治体で導入が始まりました。特に都内4つの自治体では、タブレット端末を使った試行も行われました。
今後は、利用者の声を聞きながら機能を追加し、他の自治体への導入を進めていく予定です。また、導入された自治体へのアンケートを通じて、点検業務のデジタル化が自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)にどのように貢献したかを調べ、今後の研究やサービスの改善につなげていきます。
関連情報
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芝浦工業大学
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株式会社天晴データネット: https://www.tenseidatanet.co.jp/


