ジャスミー、パナソニック アドバンストテクノロジー、ジャスミーラボが連携し、分散GPUレンダリングサービス「Smart Render」の提供を開始

ジャスミー株式会社、パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社、そしてジャスミーラボ株式会社の3社は、映像や3DCG制作におけるレンダリング作業を効率化するため、分散GPUレンダリングサービス「Smart Render by JANCTION(商標登録出願中、以下「Smart Render」)」の提供を目指し、連携を開始しました。

Jasmyロゴ

「Smart Render」とは

「Smart Render」は、映像や3DCGを作る際に必要なレンダリング処理を、複数のGPU(グラフィック処理装置)に自動的に分けて、同時に処理するサービスです。これにより、作業にかかる時間を大幅に短縮できます。

開発中の環境でのテストでは、4Kの高負荷Blenderアニメーションを12台のGPUに分散して処理した結果、15分でレンダリングが完了しました。これは、1台のGPUで処理した場合の約4時間10分と比べて、およそ16.7倍の速さとなり、所要時間を94%も減らすことに成功しました。

この取り組みは、ジャスミーとパナソニック アドバンストテクノロジーが2024年2月から進めてきた、個人情報とモノの情報を安全に管理するWeb3プラットフォーム開発の第二弾として位置づけられています。ジャスミーラボが持つ分散GPUの基盤、ジャスミーが提供する個人データ管理の仕組み(Jasmy Personal Data Locker、以下「PDL」)、そしてパナソニック アドバンストテクノロジーのソフトウェア開発の知識を組み合わせることで、制作現場で実際に使える、安全で安定したGPUレンダリング環境の実現を目指します。

取り組みの背景にある課題

映像制作や3DCG制作の現場では、作品の高画質化や表現の複雑さが増すにつれて、レンダリングにかかる時間と費用が大きな問題となっています。特に、Blenderのような3D制作ソフトを使う場合、1つのカットのレンダリングに数時間から十数時間かかることもあり、修正のたびに再びレンダリングが必要になるため、制作全体のスケジュールを遅らせる原因となることがあります。

また、手元にあるGPUの性能や数には限りがあり、GPUを増やすには多額の設備投資と維持管理の手間がかかります。一方で、クラウドGPUやレンダーファーム(外部のレンダリングサービス)を利用する際には、料金体系がわかりにくかったり、設定が複雑だったり、海外サービスではサポートや支払いに関する課題があります。さらに、完全に分散されたGPUネットワークでは、提供者の信頼性が不明なために、品質のばらつきや安定性、セキュリティ、そして業務で使う際のサポート体制が問題になることがあります。

「Smart Render」は、これらの制作現場の課題に対し、事業者の実在性や実態を確認する審査(KYB:Know Your Business)を通過した信頼できるGPU提供者を活用した分散GPUレンダリング基盤を提供することで、従来のクラウドサービスの安定性と、分散GPUネットワークの広がりやすさや費用効率の良さを両立することを目指しています。

「Smart Render」の概要と主な特徴

「Smart Render」は、Blenderを使った映像制作や3DCG制作に対応した分散GPUレンダリングサービスです。利用者は、ウェブブラウザの画面からBlenderの制作データ(.blendファイル)をアップロードするだけで、サービスがレンダリング対象をアニメーションの1コマずつに自動的に分け、複数のGPUワーカー(処理を担当するGPU)に割り当てます。それぞれのGPUワーカーが同時にレンダリングを進め、完成した成果物は自動で集められます。これにより、これまで1つずつ順番に処理していたレンダリング作業を、複数のGPUで同時に行えるようになり、制作現場での待ち時間の短縮や作業効率の向上、品質の維持を助けます。

「Smart Render」の主な特徴は以下の通りです。

SmartRenderダッシュボード画面

  1. Blenderにそのまま対応
    制作現場で使われている.blendファイルをそのまま使えるため、特別なレンダラーに変えたり、新しいソフトウェアを覚えたりする必要がありません。
  2. コマ単位で同時レンダリング
    アニメーションをコマごとに分け、空いているGPUに自動で割り当てることで、同時に処理を行い、レンダリング時間を短くします。
  3. 信頼できるGPUで安定稼働
    本人確認や事業者確認(KYB)を済ませた信頼性の高いGPU提供者を中心に構成することで、提供者の品質のばらつきや稼働の不安定さを減らします。
  4. 「コンテナ」技術で実行環境を固定
    BlenderやGPUドライバー、関連ソフトウェアなどを「コンテナ」(動作環境をまとめてパッケージ化した技術で、どこでも同じように動かせます)として固定することで、どのGPUに割り当てられても同じ結果が得られる、再現性の高い実行環境を提供します。
  5. PDL連携による認証・データ管理
    Jasmy PDLと連携することで、ログイン認証やデータ管理の安全性を高め、Smart Render側に必要のない個人情報を残さない設計を目指します。
  6. 日本円・クレジット制で導入しやすい
    暗号資産や特別なウォレットを用意する必要がなく、日本円でのクレジット(前払いポイント)制での利用を想定しているため、一般的なクラウドサービスと同じように手軽に導入できます。

各社の役割

  • パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社
    ソフトウェアやシステム開発の知識を活かし、「Smart Render」のサービスの品質、システムの構成、利用者の使いやすさ、業務で使うための技術的な検討や支援を行います。また、法人や業務での導入を見据え、安定した運用、安全性、拡張性について技術的な視点からこの取り組みに参加します。

  • ジャスミーラボ株式会社
    「Smart Render」の企画、開発、サービス運営、GPUの集まり(GPUプール)の構築と管理、お客様への導入提案や営業活動を担当します。また、映像制作や3DCG制作現場のニーズに合わせて、GPU資源の拡大、利用画面の改善、料金プランの整備、お客様サポート体制の構築を進め、「Smart Render」の商用展開を進めます。

  • ジャスミー株式会社
    PDLを含むジャスミープラットフォームの提供と、その連携を支援します。「Smart Render」では、認証、データ管理、個人情報や法人情報の管理に関する基盤技術を提供し、安全で信頼性の高いサービス利用環境の実現を助けます。

今後の展開

3社は、「Smart Render」を映像制作や3DCG制作の現場で実用的な分散GPUレンダリングサービスとして広めるため、日本の制作会社、広告・CM制作会社、教育機関、研究機関などを対象に、導入提案、無料トライアル、実際の案件での検証を順次開始する予定です。

最初の段階では、信頼できる国内のデータセンターとKYBを済ませたGPUを中心に安定した運用を優先し、その後、審査を通過した企業や個人のGPUを段階的に追加していくことで、GPUプールの供給力を高めていく計画です。

将来的には、レンダリングだけでなく、映像処理、AI推論(学習済みのAIによる判断や生成処理)、アップスケーリング(低い解像度の映像を高い解像度にする処理)、音声処理など、GPUを活用できる他の分野にも展開を視野に入れ、分散GPUインフラの社会での活用を進めていきます。

「Smart Render」は、制作現場が「締切」と「品質」のどちらかを諦めることなく、必要な時に必要なGPU資源を安全かつ柔軟に利用できる環境を提供することを目指します。

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