ポートランド国際空港の再開発、Autodeskのデジタル技術で実現した未来の空港建設

ポートランド国際空港の再開発、Autodeskのデジタル技術で実現した未来の空港建設

米国オレゴン州のポートランド国際空港(PDX)では、現在「ターミナル・コア再開発プロジェクト(TCORE)」という大規模な改修工事が進められています。このプロジェクトにおいて、Autodesk社のデジタルソリューションを活用した「つながるワークフロー」が、複雑な設計と施工の連携、大規模な木材屋根の建設、そして環境に配慮したカーボン削減に貢献していることが発表されました。

ポートランド国際空港の美しい内観

利用者数増加に対応する大改修プロジェクト

ポートランド港湾局が主導する「PDX Next」プログラムの一環であるTCOREプロジェクトは、空港を稼働させたまま、米国太平洋岸北西部でも有数の利用者数を誇るPDXを大きく変革するものです。このプロジェクトは、Skanska社とHoffman Construction社のジョイントベンチャーが施工を、ZGF Architects社が設計を担当しています。旅客収容能力を2倍に拡大し、将来の空港体験を再定義することを目指しています。

新しいターミナルでは、自然光が降り注ぐ開放的な空間に、約3万6,000平方メートルに及ぶ広大な木材(マスティンバー)の屋根が設置されます。この壮大な空間の実現には、プロジェクトチームとデジタルでつながるワークフローの高度な連携が不可欠でした。

デジタル技術で複雑なプロジェクトを可視化

PDXは以前から、木材や植物、自然光を取り入れたデザインで、地域と自然とのつながりを大切にする空港として知られていました。今回の拡張では、このPDXらしさを保ちつつ成長を実現し、同時に数十年かけて整備されてきた既存の施設との調整が必要でした。

プロジェクトチームは、Autodesk Revit®を使って既存ターミナルと新しい設計の両方を詳細にモデル化し、デジタルな基盤を構築しました。さらに、Autodesk ReCap Pro®で現実の建物のデータを取り込むことで、実際の状況を細かく把握し、新しい建設部分を既存施設にどのように組み込むかを正確に計画しました。

これらの可視化技術は、プロジェクトの初期段階で特に役立ちました。複雑な現場の状況をモデルとして関係者に示すことで、直感的に理解を深め、プロジェクトパートナーとの信頼関係を築くことができました。

クラウドでつながる共通の情報環境

施工段階に入ると、空港を利用者に開放したまま、数百社もの関係者が協力して作業を進める必要があり、多くの調整が大きな課題となりました。

そこで、Autodesk Forma®がクラウドベースの共通環境を提供しました。これにより、建築家、エンジニア、施工会社、発注者といった各チームが、リアルタイムで情報にアクセスし、更新できるようになりました。各々がバラバラのファイルを使うのではなく、一つの情報源を共有して協力することで、プロジェクト全体の状況がより明確になりました。これにより、問題の早期発見や設計意図の確認、常に最新データへのアクセスが可能になりました。

Skanska社のシニア・バイスプレジデント兼アカウントマネージャーであるジョー・シュナイダー氏は、「つながった環境で作業することで、すべてのチームが、自分たちの意思決定がプロジェクト全体にどのような影響を及ぼすのかを把握できるようになりました。認識を合わせ、問題により早く対処し、はるかに高い透明性と連携性をもってプロジェクトを前進させることができました」と述べています。

大規模なマスティンバー屋根の精密施工

このプロジェクトで最も複雑な要素の一つが、約3万6,000平方メートルに及ぶ大規模なマスティンバー屋根です。この広大な屋根を支える柱はわずか34本で、その施工には製造業のような精密さが求められました。

建設中のポートランド国際空港の天井

プロジェクトチームは、詳細なモデルを使って、屋根の部品を工場で事前に製作するプレファブリケーションから、空港内を輸送し、所定の位置に吊り上げるまでのすべての工程を事前に計画しました。このようなシミュレーションにより、施工開始前に作業手順や物流についてチーム間の認識を合わせることができました。また、空港運営担当者や航空管制官、米連邦航空局(FAA)などの関係者にも、施工計画を分かりやすく伝えることが可能になりました。

サステナビリティへの貢献と未来の空港

同じモデルは、環境への配慮(サステナビリティ)の成果を把握するためにも活用されました。Arup社のチームは、Revitモデルを分析し、建物の外壁、屋根、構造に使用される材料の量を正確に測定しました。これにより、曲線状の木製梁や枝分かれする鉄骨柱といった複雑な部分についても、使用材料を正確に計測できました。

さらに、モデルを既存部分と新設部分に分けて整理したことで、新しく建設する2階部分では、建設時の二酸化炭素排出量(エンボディドカーボン)を22%削減できることが実証されました。既存の1階部分を再利用する効果も含めると、66%もの削減が可能です。

すべてのチームが共通のデジタルデータ環境を利用していたため、プロジェクトが進む中でも計画の整合性を保ち、常に最新の状態を維持できました。その結果、リスクを減らし、空港の運営への影響を最小限に抑えながら、大規模なプロジェクトを確実に進めることにつながりました。

複数年にわたる再開発プロジェクトが完成に近づく中で、このような「つながる」アプローチがもたらした効果は明らかです。利用者が自然で快適に感じる空港体験の裏側には、共有されたデジタル基盤上でチームが連携することで実現した、何千もの調整と意思決定があります。

PDXの事例は、テクノロジーによって設計と施工がより密接につながることで、プロジェクトチームが迅速に作業を進め、リスクを低減し、より高い確信を持ってプロジェクトを遂行できることを示しています。

Autodeskについて

1982年に設立されたAutodeskは、米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を構え、世界約40カ国・地域で事業を展開する「デザインと創造」のプラットフォームカンパニーです。建設、製造、メディア&エンターテインメント業界における業務の効率化・自動化を促進するソリューションを提供しています。

詳細については、以下のリンクをご覧ください。

※本記事は、米国Autodesk社が2026年6月25日(現地時間)に発表したニュースブログ記事を抄訳、再構成したものです。

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