戸田建設、施設管理クラウド「RAKU-PLAT」のβ版有償トライアルを開始 – 属人化を解消し、データで建物を効率管理
戸田建設は、施設管理クラウド「RAKU-PLAT(ラクプラット)」のβ版有償トライアルを開始しました。このサービスは、施設管理業務でバラバラになりがちだった情報を一つにまとめ、誰もが簡単に業務を行えるようにする仕組みです。
「RAKU-PLAT」は、「空間BIM」という独自のデータモデルを中心に据えています。このモデルは、建物を部屋やエリアごとに区切り、それぞれの場所で「どのような問題や対応が、どれくらいの費用で起きているか」をすぐにわかるようにします。専門的なBIMの知識がなくても、日々の業務で情報を入力するだけでデータが自然に蓄積される点が特徴です。これにより、これまでの経験や勘に頼った施設管理から、データに基づいた計画的な運用へと進化させることが期待されます。

RAKU-PLAT公式サイト: https://raku-plat-lp.com
施設管理の現状と課題
建物の寿命を考えた場合、建物が完成してから100年間の維持管理や運用にかかる費用は、建物全体の費用の約86%を占めるとされています。しかし、施設の情報は十分に活用されておらず、建物の状態を確認するための時間が増えたり、必要な修理の判断が遅れたりすることがあります。また、修理の判断に必要な情報がそろっていないため、担当者個人の経験や能力に左右されやすいという問題がありました。
図面や報告書、点検の記録などが、ファイルサーバーやExcelの台帳、あるいは担当者の記憶の中に分散しているため、「必要な図面がすぐに見つからない」「特定の担当者に聞かないとわからない」といった状況が生まれています。台帳と実際の現場の状況が食い違うこともあり、担当者が変わると過去の経緯がうまく引き継がれないケースもあります。このような情報のばらつきと担当者への依存は、修理にかかる費用を最適化したり、長期的な計画を立てたりすることを難しくする原因となっています。
また、問題を解決するために導入されるシステムの中には、多機能すぎて現場での操作が複雑になり、情報の入力が面倒でデータが更新されにくくなるものもあります。そこで戸田建設は、建物や空間に関する知識を活かし、維持管理に必要な情報をシンプルに扱える「RAKU-PLAT」を開発しました。
RAKU-PLATの主な特徴
「RAKU-PLAT」は、BIMやITの専門知識がなくても、誰でも直感的に使えるように設計されたクラウドサービスです。主な特徴は以下の通りです。
(1)「空間BIM」 ― “場所”と“データ”が連動
建物を部屋やエリアごとに捉え、維持管理に必要な情報を結びつけるデータモデルです。設計や工事で使われる一般的なBIMとは異なり、維持管理の情報をシンプルに扱えます。建物内の「場所」に資料、不具合、点検記録、コストなどが結びつき、現場と経営をつなぐ「共通の言葉」として活用できます。


(2)建物カルテ機能 ― 施設全体を「一枚のカルテ」のように可視化
不具合の発生場所、対応状況、かかった費用などを画面上でわかりやすく表示し、期間や種類ごとに確認できます。施設全体の状況を把握したり、修理の優先順位を決めたり、予算を確保するための説明を助けたりします。

(3)デジタルキャビネット機能 ― 「あの図面どこだっけ」を減らす
図面、報告書、契約書、保証書、点検記録などを、建物の「場所」と関連付けて一つにまとめて管理します。ファイルをドラッグ&ドロップで簡単に登録でき、情報を探す時間を短縮したり、特定の担当者に頼らずに情報を管理したりすることを助けます。

(4)AI検索機能 ― “対話”で必要な情報にたどり着く
普段の会話のように質問すると、AIが過去のデータをもとに、要約したり、場所をわかりやすく表示したり、根拠となる資料へのアクセスを提示したりします。この検索の正確さは、日々の入力データによって支えられています。不具合の報告は、発生場所、写真、対応状況などを簡単な操作で登録でき、AIが内容に応じた分類タグを自動でつけます。これにより、日々の報告が整理され、「自然にデータがたまる」仕組みが実現されます。

β版有償トライアルの実施と今後の展望
戸田建設は、正式なサービス開始に向けた最終確認として、実際の施設で「RAKU-PLAT」を試すβ版有償トライアルを開始しました。このトライアルでは、協力してくれるパートナー企業とともに、実際の環境での機能の便利さや使い方の流れを確認していきます。ここで得られた経験や知識をすぐにサービス改善に役立てることで、現場のニーズに合った、使いやすく効果の高いプラットフォームへと発展させていくとのことです。
「RAKU-PLAT」は、2027年度の一般公開を目指しており、現在は先行導入パートナーと協力しながら、サービスの改善と事業としての可能性を検証しています。この取り組みを通じて得られた知見をサービスに反映させながら、施設管理者がデータを活用して現場と経営を結びつける判断ができるよう、施設管理の新しい基準作りを進めていく方針です。


