建設現場で広がる「猛暑離職」の懸念 – 7割超が仕事継続に不安、対策にギャップも

近年、夏の猛暑は厳しさを増し、建設現場で働く人々の健康や安全に大きな影響を与えています。X Mile株式会社が建設現場作業員487名を対象に行った「暑さ対策」に関する調査では、この猛暑が建設業界の人材定着にまで影響を及ぼしている実態が明らかになりました。

建設現場でのパフォーマンス低下と体調不良

調査によると、回答者の86.2%が夏場の暑さによって仕事のパフォーマンスが「低下する」と回答しました。さらに、62.4%が仕事中に暑さが原因で体調不良を経験していると答えています。

夏場の暑さによって仕事のパフォーマンスは低下すると感じますか。

仕事中に暑さが原因で体調不良を経験したことがありますか。

作業の遅延についても、73.1%が暑さによる作業遅延を経験し、45.2%が納期遅延を経験していることが判明しました。これは、住宅建設などの工期にも影響を与える可能性があります。

暑さによって、作業や納期が遅延したことはありますか。

「猛暑離職」の懸念と仕事継続への不安

暑さが原因で「仕事を辞めたい」と思ったことがあると回答した人は、全体の55.9%に上りました。特に屋外作業を中心とする建設業従事者に絞ると、この割合は61.6%に増加します。

暑さが原因で「仕事を辞めたい」と思ったことがありますか。

さらに、今後さらに暑さが厳しくなった場合の仕事の継続について、73.7%が「不安がある」または「続けられる自信がない」と感じています。また、35.9%が周囲で暑さが原因で退職した人を見聞きした経験があることもわかりました。これは、猛暑が建設業界における人材の定着に深刻な影響を与えていることを示唆しています。

今後さらに暑さが厳しくなった場合、現在の仕事を続けられると思いますか。

あなたの周囲で、暑さが原因で退職した人を見聞きしたことがありますか。

転職意向と採用難の実感

現在の給与が変わらない場合でも、夏場の暑さが少ない仕事への転職を希望する人は53.0%に達しました。

現在の給与が同じであれば、夏場の暑さが少ない仕事に転職したいと思いますか?

また、近年の暑さによって現場職に人が集まりにくくなっていると感じる人は68.6%に上り、暑さが新たな人材確保の妨げになっている実態がうかがえます。

近年の暑さによって、現場職に人が集まりにくくなっていると感じますか?

暑さ対策の現状と現場が求めるもの

勤務先の暑さ対策が十分であると感じている人は全体の8.4%にとどまり、38.0%が対策不足を感じています。

勤務先では暑さ対策が十分に行われていると思いますか。

実施されている暑さ対策としては、「空調服支給」が42.5%で最も多く、「飲料支給」「塩分補給品支給」が続いています。しかし、「暑さ手当(現金支給)」はわずか4.7%と低い割合です。

一方、現場が最も期待する暑さ対策は「暑さ手当(現金支給)」が22.2%でトップとなり、「空調服支給」や「工事時期の見直し」を上回りました。

勤務先に最も期待する暑さ対策は何ですか。

さらに、「夏場の屋外作業を減らし、春・秋中心に工事を行う働き方への見直し」よりも、「暑さ手当など収入アップ」を望む人が58.1%と多数を占め、環境改善以上に直接的な処遇改善が求められていることが明らかになりました。

あなたがより望む暑さ対策はどちらですか。

企業の取り組みの進展

X Mile株式会社が運営する求人サービス「クロスワーク」では、暑さ対策を導入している求人が2025年7月から2026年7月にかけて法人数で約2倍、求人数で約2.4倍に増加しています。主な取り組みには、猛暑・酷暑手当の支給、飲料・飲食物の配布、空調服の貸与・支給、製氷機や冷風機の設置などがあります。

企業の「暑さ対策」導入状況 (クロスワーク求人調べ)

まとめ

今回の調査結果は、建設現場で働く人々が猛暑によって大きな負担を感じ、それが離職意向や仕事継続への不安につながっている現状を浮き彫りにしました。環境対策が進む一方で、現場が本当に求めている「暑さ手当」のような直接的な処遇改善が十分に提供されていないギャップが課題として挙げられます。建設業界が抱える担い手不足の解決には、暑さ対策を単なる福利厚生ではなく、働く人々の安全と業界全体の持続可能性を守るための重要な投資として捉え、対策をさらに強化していくことが求められています。

関連リンク

×