カスタムPCビルダー市場、2032年に25億米ドル規模へ成長予測

カスタムPCビルダー市場が拡大、AI需要が新たな成長を牽引

QY Research株式会社の最新レポートによると、カスタムPCビルダーの世界市場は大きな成長が見込まれています。2025年には17億2,300万米ドルと推定されるこの市場は、2032年には年平均成長率(CAGR)5.7%で拡大し、25億2,600万米ドルに達すると予測されています。

RGBライティングが特徴のPCケースを中心に、CORSAIR製のRM1000x電源ユニット、3連ファン水冷CPUクーラー、そしてメモリらしきパーツが写っています。自作PC構築に必要な主要コンポーネント一式を示しています。

カスタムPCビルダーとは

カスタムPCビルダーとは、CPU、GPU、メモリ、ストレージ、マザーボード、ケース、冷却装置といったパソコンの部品を、使う人の目的や予算に合わせて選び、組み立てて完成品として提供するサービスのことです。

特に、高性能が求められるゲーミングPC、動画や音楽を作るためのコンテンツ制作PC、専門的な作業を行うプロフェッショナルワークステーション、そしてAI(人工知能)や機械学習向けのPCでは、それぞれ必要な性能が大きく異なります。そのため、お店で売っている一般的なPCでは対応しにくい性能の要求に応える市場として、カスタムPCビルダーの存在感が増しています。

市場の成長予測

QYResearch調査チームのレポート「カスタムPCビルダー―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、カスタムPCビルダーの世界市場は2025年に17億23百万米ドルと推定されており、2026年には18億11百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)5.7%で成長し、2032年には25億26百万米ドルに拡大すると見込まれています。

カスタムPCビルダーのグローバル市場予測(2026-2032年)を示す。CAGR 5.7%で、売上は2026年の1,811百万米ドルから2032年には2,526百万米ドルへ成長。製品別、用途別、主要企業リストも掲載。

構成設計と統合品質が市場を左右

カスタムPCビルダー市場では、単に部品を選ぶだけでなく、どのような作業に使うか(ワークロード)に応じたシステム設計が重要になっています。例えば、ゲームではGPUやCPUの性能、冷却機能、解像度、フレームレートが重要ですし、コンテンツ制作ではGPUによる処理の速さ、大容量メモリ、高速なストレージが求められます。

AI・機械学習の用途では、高性能なGPUに加えて、メモリ容量、PCIe接続、電源容量、冷却設計といったシステム全体の最適な組み合わせが求められます。そのため、部品の互換性をしっかり確認し、高い品質で組み立て、性能をテストし、保証や将来のアップグレード性まで提供できる事業者が、より価値の高いサービスを提供できるでしょう。

2026年の市場環境

2026年には、メモリ不足がパソコン市場全体のコストに影響を与えています。IDCの予測では、2026年の世界のPC出荷台数は前年より11.3%減少すると見られていますが、価格の上昇により市場の金額は拡大すると考えられています。

また、2026年第2四半期の世界PC出荷台数は6,820万台で、前年より4.9%減少しました。カスタムPCビルダーにとっては、GPUやDRAM、SSDといった部品の調達価格の変動が、見積もり価格や利益に直接影響するため、在庫を効率良く管理し、構成変更に柔軟に対応する力が重要になっています。

AI需要がカスタムPCビルダーの新たな領域を拡大

AI・機械学習は、カスタムPCビルダーにとって高価格帯の新たな需要を生み出しています。2026年には、個人のデスクでAI処理を行う「ローカルAI処理向けデスクサイド型コンピューティング」が進むとされています。IDCは、AIワークステーションが従来のタワー型PCから、より高性能なローカルAIシステムへと変化していると分析しています。

このような用途では、単に部品を選ぶだけでなく、GPUの構成、電源、冷却、メモリの仕組み、ソフトウェアの互換性まで含めて一体的に設計する能力が求められます。カスタムPCビルダーは、ゲーミング市場だけでなく、技術計算やAI開発向けのワークステーションへと事業の範囲を広げる機会があると言えるでしょう。

販売モデルと競争の構造

カスタムPCビルダー市場は、主にオンライン型、オフライン型、そして両方を組み合わせたハイブリッド型に分かれています。オンライン型は、部品の選択や互換性の確認をデジタルで行うことで、多くの顧客に効率的に販売できます。オフライン型は、対面での相談、実際にPCを確認できること、組み立てサービスなどに強みがあります。ハイブリッド型は、オンラインで構成を検討し、店舗で相談や組み立て、受け取りを組み合わせる形です。

主要な企業としては、CyberPowerPC、iBUYPOWER、Mouse Computer、Dospara、PCSpecialist、NZXT、ORIGIN PC、Micro Center、MAINGEAR、Puget Systems、AVADirect、Sycomなどが挙げられます。特に日本ではBTO(Build To Order)モデルが定着しており、用途に合わせた構成を提案し、注文を受けてから組み立てる仕組みが市場を支えています。

今後の競争における重要なポイント

今後のカスタムPCビルダー市場では、部品の種類が多いことよりも、使う目的を性能の条件に変換する「構成ロジック」が重要になるでしょう。AI、動画編集、3Dレンダリング、ゲームなどをきっかけに、必要なCPU、GPU、メモリ、冷却、電源を自動で提案できるようになれば、専門知識が少ないユーザーも取り込むことができます。

一方で、詳しいユーザーは自分でPCを組み立てる「自作PC」市場と競合するため、事業者には高い組み立て精度、熱設計、動作確認、保証、技術サポートといった明確な付加価値が求められます。特にAI向けでは、高密度のGPU構成に対応できる電源、冷却、拡張設計が他社との差別化要因となります。今後は「パーツを売る事業」から「用途に最適化された計算環境を設計する事業」へと転換することが、市場での収益性を左右すると考えられます。

本記事は、QY Research発行のレポート「カスタムPCビルダー―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場の動向や競合の概要を解説しました。

【レポート詳細・無料サンプルの取得】
https://www.qyresearch.co.jp/reports/1712887/custom-pc-builder

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