Autodeskとフロリダ大学、工業化建築の未来を拓くロボティクス研究施設を開設
Autodeskとフロリダ大学は、工業化建築に特化した新しいロボティクス研究施設「Autodesk Design and Make Laboratory」を共同で開設しました。Autodeskはこの施設の設備や改修、技術支援のために100万米ドルを寄付しています。

この施設では、ロボティクス、デジタルツイン、BIM(Building Information Modeling)、モジュール建築といった最新技術を活用し、工業化建築の研究を進めます。同時に、学生が将来の建設業界で必要とされるスキルを実践的に学べる環境を提供します。
建設業界が抱える課題への取り組み
米国では、2031年までに建設業界の労働者の約41%が退職年齢に達するか、それに近づくとされています。また、フロリダ州では12万1,000戸以上の住宅が不足しており、ハリケーンで被害を受けた地域の復興には時間がかかることも少なくありません。
このような状況の中、「Autodesk Design and Make Laboratory」は、テクノロジーの力で、より早く、安全で、効率的な建設方法を実現することを目指します。研究チームによる初期の試験では、このラボで開発されたロボットを使うことで、これまで数ヶ月かかっていた複数の住宅の骨組み工事を、週末だけで終えられる可能性も示されています。
この施設は、フロリダ大学のSmart Industrialized Design and Construction(IDC)Labの新たな拠点となります。IDC Labは、フロリダ大学のデザイン・建設・計画学部と工学部の両方で研究活動を行っています。
Autodeskは、2024年にもフロリダ大学の「Industrialized Construction Engineering(工業化建築工学、通称「ICon」)」学位プログラムの立ち上げを支援するために150万米ドルを投資しています。このプログラムは2026年秋に最初の学生たちを迎える予定です。

アラジン・アルウィシー博士(准教授、ラボディレクター)は、「建設の未来は、まだ存在しない新しい仕事に就く人々の手に委ねられています。このラボは、学生たちが新しい技術を実際に試し、そこから生まれる新たな仕事を作り出す場となるでしょう」と述べています。
フロリダ大学デザイン・建設・計画学部の学部長であるチメイ・アヌンバ氏は、「このユニークなパートナーシップは、建設業界を変革し、生産性、安全性、品質、持続可能性を高めることを目指します」と語っています。
「Autodesk Design and Make Laboratory」は、フロリダ大学デザイン・建設・計画学部の「Bruno E. and Maritza F. Ramos Collaboratory」内に設置されています。

人とロボットが協力する工業化建築の研究
多くの大学で建設ロボティクスが研究されていますが、フロリダ大学の新施設は、工業化建築に特化している点が特徴です。
この施設では、協働ロボット(コボット)が、壁の骨組みを組んだり、パネルを組み立てたりといった重いものを扱う繰り返しの作業を担当します。一方、人間は品質の確認や判断、専門的な知識が必要な作業に集中します。これにより、将来の建設作業員が、特に怪我をするリスクが高い作業を減らすことを目指しています。
この研究は、多機能ロボット、デジタルツイン、そして工場で部材を製造して現場で組み立てるオフサイト建設やモジュール建築のためのBIM技術など、アルウィシー博士が6年間進めてきた人とロボットの協働に関する研究に基づいています。
大学院研究員のフランク・シエ氏は、Autodesk Fusion®で作成したデジタルツインを使って、コンピュータービジョンシステムを開発しています。これは、ロボットが建設設計を「見て」、実際の組み立て作業に活かせるようにするための研究です。
次世代の建設人材を育て、業界のスキル不足に対応
工業化建築は、ロボティクス、デジタルツイン、モジュール組み立てなどを活用し、住宅建設の工程を工場で行う方法です。これは、労働力が減る中でも建設能力を維持・向上させるための有効な手段として期待されています。
次世代の工業化建築分野への関心も高まっています。Autodeskの調査(AI Jobs Report 2026)によると、学生の66%以上が「ものを作る仕事」や「自分の手を使う仕事」に就きたいと回答しており、2024年から6ポイント増加しました。また、別の調査(2025 年度版デザインと創造の業界動向調査)では、専門家の61%が「適切な技術スキルを持つ新しい社員の確保が難しい」と感じ、58%が「経験豊かな人材の不足が会社の成長を妨げている」と回答しています。
「Autodesk Design and Make Laboratory」は、こうしたスキル不足を解消するため、学生に最新技術を使った実践的な学習の機会を提供し、2兆米ドル規模の米国建設業界で求められる新しい役割を担う人材の育成を支援します。
Autodeskは、2026年6月に、次の世代の人材育成と教育を支援するために、3年間で3億5,000万米ドルを投資する取り組みを発表しました。これには、6,000万人以上の学生や教育関係者にAutodeskの専門技術を無料で提供することや、約100万人を対象にAIを活用した作業方法のトレーニングを行うこと、20万人以上が業界認定資格を取得できるよう支援することなどが含まれます。
今回の「Autodesk Design and Make Laboratory」の開設は、この3年間の取り組みに続くものであり、未来の仕事に備える学生へのAutodeskの継続的な投資の一環です。
Autodeskの最高執行責任者(COO)であるスティーブ・ブルーム氏は、「フロリダ州は、手頃な価格の住宅不足と、需要に追いつかない建設労働力という、米国が直面する二つの大きな課題の最前線にあります。フロリダ大学の工業化建築工学プログラムとこの新しいロボティクスラボは、学生たちがこれらの課題を同時に解決できる人材となるための教育を行っています」とコメントしています。
今後の展望
工業化建築工学プログラムは、2026年秋に最初の学生たちを迎える予定です。このプログラムでは、業界の専門知識、AIを活用した技術スキル、実践的なトレーニングを組み合わせ、建設分野の専門性とデジタル技術を使いこなす能力を持つ、新しいタイプの専門家を育成することを目指します。
アルウィシー博士は、今後数年をかけて、このラボで研究する技術を実際の建設現場に導入していく考えです。
本記事は、米国Autodesk社が2026年8月4日(現地時間)に発表したニュースブログ記事を元に作成されています。
Autodeskに関する詳細情報は、Autodeskの公式サイトをご覧ください。


