日本におけるICT市場、2035年には8,000億ドル規模へ拡大予測
日本のICT市場、2035年に向けて大幅な成長予測
日本における情報通信技術(ICT)市場は、今後10年間で大きく成長する見通しです。株式会社マーケットリサーチセンターが発表した調査資料「ICTの日本市場(2026年-2035年)」によると、2025年時点で約3,645億米ドル規模である日本のICT市場は、2035年には約8,016.2億米ドルに達すると予測されています。これは年平均成長率(CAGR)8.2%に相当し、市場規模が10年間で2倍以上になることを示しています。
ICT市場の拡大は、日本経済のデジタル化の加速、5Gやブロードバンドネットワークの普及、クラウドサービスやソフトウェアの需要増加、企業のITインフラ更新、そしてデジタル決済の利用拡大といった複合的な要因によって推進されると考えられます。

市場成長を支える主要な要素
日本のICT市場は、ハードウェア、ソフトウェア、IT・インフラサービス、通信サービスという広範な領域で構成されています。これらの要素が連携し、市場全体の成長を後押ししています。
通信インフラの進化
ICT市場の基盤となるのが通信インフラです。固定ブロードバンド契約数は増加傾向にあり、高速ネットワークへの需要が継続していることがうかがえます。また、5G技術の普及は、超高速モバイルブロードバンドの契約数を押し上げており、動画配信、クラウド利用、リモートワーク、IoTなど、多様なICTサービスの利用を支える重要な成長要因です。
特に日本ではモバイル通信の存在感が大きく、5Gを利用した高付加価値サービスの展開が通信事業者にとって重要になると考えられます。高速・低遅延通信は、クラウドゲーム、高精細動画、遠隔医療、スマートファクトリーといった、より高度なデジタルサービスの提供を可能にするでしょう。
半導体産業の貢献
ICT市場において半導体は不可欠な存在です。日本の半導体生産額は増加傾向にあり、特にディスクリート半導体が多く出荷されています。半導体は、サーバー、通信機器、スマートフォン、自動車、IoTデバイスなど、ICT関連製品のほぼすべてに必要とされます。今後は、高性能化に加えて、データセンターやAIシステムにおける電力消費を抑える省電力性も、半導体開発の重要な競争軸になると予測されています。
ハードウェアとソフトウェアの需要
ハードウェア市場では、ネットワークスイッチ、ルーター、WLAN、サーバー、ストレージといった製品が中心です。企業がクラウド化やデータ活用を進めるにつれて、社内ネットワークやデータセンター設備の更新需要が高まります。特に、AIやビッグデータ処理の増加に伴い、高速・大容量ネットワークへの需要は一層強まるでしょう。
一方、ICT市場の成長はハードウェア販売だけでなく、ソフトウェアとサービスへと重心が移る構造を持っています。企業の業務効率化、自動化、顧客管理、データ分析などへの需要がソフトウェア分野を牽引しています。特に、クラウド型サービスへの移行は、初期投資を抑えつつ業務システムを導入できるため、市場の拡大に貢献しています。
企業規模別・業種別の動向
中小企業のデジタル化が市場を牽引
企業規模別では、中小企業が2026年から2035年にかけて年平均成長率10.3%で成長すると予測されており、市場全体の平均を大きく上回る伸びが期待されています。これは、クラウドサービスやSaaS(Software as a Service)の普及により、中小企業でも比較的低コストで業務のデジタル化が可能になったことが背景にあると考えられます。IT専門人材が不足しがちな中小企業にとって、導入が容易で運用まで外部に委託できるサービスは特に重要になります。
BFSI(銀行・金融サービス・保険)分野の成長
業種別では、BFSI(銀行・金融サービス・保険)分野が年平均成長率9.3%で成長すると予測されています。デジタル決済インフラの拡大がこの成長を支えており、銀行、証券、保険業界では、オンラインやモバイルを中心とした金融サービスへの移行が進んでいます。金融分野では、ICT投資とサイバーセキュリティ投資が一体となって進められることが特徴です。
今後の展望と主要企業の役割
日本のICT市場では、IBM、Microsoft、Sony Group、Fuji Soft、NTT Data Group、Salesforce、Fujitsu、Hitachi、NEC、TISといった国内外の主要企業が競争を繰り広げています。これらの企業は、ハードウェア、ソフトウェア、クラウド、コンサルティングなど多岐にわたるサービスを提供し、日本企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。
今後は、単にIT機器を導入するだけでなく、「クラウドを利用して企業全体の業務プロセスを変革し、データから新たな価値を生み出す」という視点でのICT投資が重要になると考えられます。2035年に向けた日本のICT市場の主要テーマは、「5G・高速通信」「クラウド」「中小企業DX」「デジタル決済」「半導体・省電力化」「企業・行政のデジタル化」に集約されるでしょう。ICTは、もはや一部の企業や分野に限られたものではなく、社会・産業活動全体の基盤として、今後も発展していくと見込まれています。
調査レポートに関する情報
本記事の基となる調査レポートの詳細については、以下のリンクから確認できます。


