大和ハウス工業とMCD3、建設業界の課題解決に向けAIとデータ基盤を活用した協業に合意
大和ハウス工業とMCD3が建設業界の課題解決に向け協業
大和ハウス工業株式会社とエムシーディースリー株式会社(MCD3)は2026年7月31日、建設業界が直面する人財不足や熟練技能者の減少による技能継承の課題を解決するため、協業に関する基本合意書を締結しました。両社は今後、AIとデータ基盤を活用した課題解決の可能性を検証していきます。
データ基盤とは、会社の内外に散らばるデータを集めて一つにまとめ、貯めておくことで、分析や活用ができるようにするITシステムの総称です。

建設業界の現状と課題
建設業界では、少子高齢化によって技能者が減り、高齢化が進んでいます。このため、長年培われてきた熟練技能者の知識や技術を次の世代にどう引き継ぐかが大きな問題となっています。また、資材の価格が高くなったり、働く時間のルールが変わったり、暑い日が増えたりと、現場を取り巻く環境は大きく変化しています。このような状況では、経験だけでなく、データに基づいた判断が非常に重要です。
さらに、設計、資材の調達、工事、完成後の管理といった各段階で生まれるデータは、それぞれの会社で別々に管理されていることが多く、十分に活用されていません。そのため、これまでのやり方にとらわれず、会社同士が連携してデータを活用することが求められています。
協業の目的と目指す価値
このような状況の中、大和ハウス工業が持つ工事に関する知識や建設・建物に関するデータと、MCD3が持つデータ基盤・AI技術・実際にシステムを作り上げる力を組み合わせることで、技能者、協力会社、そして元請会社という三者すべてにとって役立つ仕組みを作り出すために、今回の合意に至りました。
両社は、熟練技能者の作業の様子や動きのデータを集めたり、現場の技能者や工事会社の技術力を目に見える形にしたりします。これらのデータを活用することで、同じ作業を繰り返すことを減らしたり、適切な工事の期間を実現したり、品質や安全性を高めたり、人財を確保・育成・定着させたりすることを目指します。さらに、工事の種類や事業の範囲、元請けや協力会社といった枠を超えて、建設業界全体で広く活用できるかどうかを検証していきます。
7つの検証テーマと期待される効果
この協業では、以下の7つのテーマで検証を進め、工事を行う会社(施工店)に様々な良い効果をもたらすことを期待しています。
| No. | 検証テーマ | 施工店への期待効果 |
|---|---|---|
| 1 | データ統合・基盤整備 | 同じ内容を二度入力する手間や紙での作業を減らせます。 |
| 2 | 横断的なリソース活用 | 忙しい時期とそうでない時期の差をなくし、技能者の働きを安定させます。新しい分野や仕事への参加機会も増えるでしょう。 |
| 3 | ノウハウの継承 | 新しい技能者が早く一人前になれるようにします。熟練技能者に頼りすぎることなく作業の知識を確認でき、教育にかかる時間や費用を減らせます。 |
| 4 | 人財育成・能力開発 | 技能者のキャリア形成を支援します。データに基づいて人財への投資や配置の判断ができるようになります。 |
| 5 | データドリブン経営の支援 | 工事の遅れや負担を事前に把握できます。データに基づいて元請会社と交渉できるようになり、赤字になる案件を減らすのに役立ちます。 |
| データドリブンとは、集めた様々なデータをもとに判断し、行動することです。 | ||
| 6 | 現場運営の高度化 | 経験が浅い技能者でも一定のレベルで判断できるようになり、指導や教育にかかる負担を減らせます。 |
| 7 | 業界への展開 | 働く環境や待遇の改善に貢献し、会社が長く安定して経営できる土台作りに繋がります。 |
両社のコメント
大和ハウス工業の執行役員 北 真夫氏は、「日本の建設業界では、技能者の高齢化と人手不足が進み、現場で培われた知恵と技をいかに次世代へ引き継ぐかが喫緊の課題。現場を支える技能者・協力会社を大切にし、一人ひとりの努力や熟練の技が正しく評価され、適正な処遇に還元される循環モデルをつくることが本質的な答えだと考えている。AIとデータ基盤に強みを持つMCD3様とご一緒できることを大変心強く感じている。本協業を通じて得られる成果を、当社グループにとどめることなく、建設業界全体の持続的な発展に還元していくことを目指す」と述べています。
MCD3の代表取締役社長 飯田 正生氏は、「『産業に寄り添い社会課題に向き合い続ける』をミッションに掲げ、AI・データ・デザインを掛け合わせたソリューションを様々な産業に提供している。特に建設業界に対しては、長年にわたり『建設サイト・シリーズ』を通じて、現場業務のデジタル化を支援してきた。その中で日々向き合ってきたのが、技能継承とデータ活用という、業界構造に根差した重要な課題。その解決に向けて、業界をリードする大和ハウス工業様とご一緒できることを大変光栄に思う。本協業で得られる知見と成果を起点に、建設業界全体の生産性向上と、現場で働く方々がより活躍できる環境づくりに貢献していく」とコメントしています。
今後の展望
両社は今後、この合意に基づいて実際に検証を進めていきます。そこで得られた知識や結果については、段階的に検討し評価を行い、将来的には、建設業界の課題解決に役立つ解決策を提供することを目指します。
会社概要
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業は1955年に創業し、「建築の工業化」を企業理念としています。戸建住宅、賃貸住宅、商業施設、物流施設、医療・介護施設、データセンターなど、幅広い事業を展開しています。
エムシーディースリー株式会社
エムシーディースリーは、2025年7月に3社が合併して発足しました。「産業に寄り添い社会課題に向き合い続ける」をミッションに、AI・デジタル技術を活用した事業の企画開発からサービス提供までを一貫して行い、お客様にとっての価値を最大化することを目指しています。


