LIFEFUNDが社員主役のAI事例共有会を本格導入、現場発のAI活用を全社の知識へ

株式会社LIFEFUNDは、2026年8月7日に社内の「AIアンバサダー研究会」の第6回会合を開催し、社員が主役となる「AI事例共有会」を本格的に導入しました。この取り組みは、現場監督、マーケティング、営業の担当者が、自分たちで作ったAIによる自動化の仕組みを社内研究会員に共有するものです。
建築・建設業界では、AIの活用が個人の利用から組織全体での活用へと変化しています。建築AI経営研究会(運営:株式会社LIFEFUND)が経営者を対象に行った調査では、「特定部署以上でAIを組織活用する」企業が、2026年3月の43.4%から8月には68.5%へと半年で大きく増えました。
しかし、経営者の悩みは変わってきており、「何から始めればよいか分からない」という声は減ったものの、「活用できる社内人材がいない、育てていない」という声が7.5%から20.4%へと増えています。このことから、AI導入の最初の段階から、「人材育成」と「効果を数字で示すこと」が次の大きな課題となっています。
株式会社LIFEFUNDは、この「人材育成」という課題に、現役の工務店として自ら取り組んでいます。同社は社内コミュニティ「AIアンバサダー研究会」を運営しており、以前は代表取締役の白都卓磨氏によるAI導入の「講座」が中心でした。しかし、2026年7月10日からは社員が自分の事例を発表する形式を試し、今回の8月7日の開催で「事例共有会」を本格的に始めました。これにより、現場で生まれた自動化のアイデアが、社内の全員に共有される場となっています。
「講座」から「事例共有会」へ——社員が主役になった理由
AIを会社全体に根付かせるためには、経営者や一部の担当者だけが使えるだけでは不十分です。現場で働く一人ひとりの知識や経験を、会社全体の共有できる知識に変えていく必要があります。LIFEFUNDはこの考えに基づき、研究会の形式を「社長が教える講座」から「社員が自分の活用事例を発表し合う事例共有会」へと変更しました。これは、学んだ人がさらに他の部署へ広めることで、AI活用を会社全体に広めようという狙いがあります。当日は、質問をいつでも受け付けながら進める、参加者と発表者が話し合うスタイルで行われました。

<当日の流れ>
開会→各部署マネージャー報告 → 事例発表3件(各30分)→ 社長総括(10分) → 感想共有 → 閉会
各部署からの取り組み報告(抜粋)

会合の冒頭では、各部署のマネージャーがこの1か月間のAI活用状況を報告しました。設計での積算システムの横展開、マーケティングでのタスク管理や領収書処理の自動化、採用でのスカウト文の生成や競合求人分析、施工現場のデータを見える化する取り組み、不動産での物件データ分析など、部署を超えてAI活用が進んでいることが共有されました。
発表事例①:現場監督が「着工日から150日の工程」を自動で組む

建設課の現場監督からは、GoogleのAI「Gemini」のカスタム機能を使って工程表を自動で作る仕組みが発表されました。着工日を入力するだけで、引き渡しまでの目安(約150日)から逆算し、木工事完了日やクリーニング日など「必ず守るべき区切り」を自動で設定するものです。これにより、作業時間を短縮できるだけでなく、経験の少ない担当者でも決まった情報を入れるだけで正確な工程表が作れるため、人手不足が続く現場で「新人でも仕事ができる」仕組みとして注目されました。この取り組みに対し、代表取締役の白都卓磨氏は「条件を加えれば、すべての工程をカレンダーに自動で連携できる発展案」を提案しました。
発表事例②:予約対応の入力を自動化し、AIを“依頼の相棒”に

マーケティング課の担当者からは、集客管理表への手入力作業を自動化した事例が発表されました。これまで、問い合わせの「ステータス・流入経路・会場」などを手作業で入力しており、2つのブランドを合計するとかなりの手間がかかっていました。これをAIに列の構造とルールを覚えさせることで自動入力化しました。また、大切なデータを守るため、AIに「コードを書かせる」のではなく、「専門会社へ渡す変更依頼書を作る手助け」として使うという、リスクに配慮した使い方も共有されました。担当者は「AIはコードを書いてくれるだけでなく、やりたいことを整理して依頼文にしてくれる。それだけでも十分に役立つ」と話しています。
発表事例③:商談の録音を、そのまま“使えるデータ”に

住宅営業(PG HOUSE アドバイザー)からは、商談の録音データを整理する作業を自動化した事例が発表されました。スマートフォンで録音するだけで、Googleカレンダーの予定と自動で照合してファイル名を付け、Googleドライブに保存。さらに、GoogleのAIツール「NotebookLM」へ顧客ごとに自動で追加されていく仕組みです。土日に集中する打ち合わせ後の作業(手作業でのファイル名変更、保存、登録)を大幅に減らすことができました。担当者は、失敗と改善を繰り返しながら約1か月でこの仕組みを作り上げた過程も率直に共有しました。
社長総括:実務家こそが“AI黄金世代”。次回からは「手を動かす」場へ
AIアンバサダー研究会の後半では、代表取締役の白都卓磨氏が総括を行いました。白都氏は「AIの成果は、AIモデルの賢さと会社の持つ情報(コンテキスト)によって決まる」と述べ、会議や商談を録音して情報をためる習慣が、将来の成果に大きな差を生むと、全社に「情報をためる習慣」を呼びかけました。また、「AIの出力の質を実際の仕事の目で判断できる、経験を積んだ世代こそが、最もAIと相性の良い『AI黄金世代』だ」と強調しました。次回以降は、発表を聞くだけでなく、参加者がその場でAIを実際に使う「ハンズオン形式」に進める方針が示されました。
この取り組みの意義
現場で生まれたAI活用を、個人の知識だけで終わらせず、「会社全体の共有できる知識」へと変える「事例共有会」を、社内の定期的な仕組みとして導入すること——これは、先に述べた調査で示された「人材育成・組織への浸透」という次の課題に対する、現役の工務店としての一つの答えです。LIFEFUNDは、このような自社の試行錯誤を、経営者向けのコミュニティ「建築AI経営研究会」を通じて業界全体にも共有しています。
建築AI経営研究会について

「建築AI経営研究会」は、建築・住宅業界の経営者を対象に、AIを「単なる道具」ではなく「経営の強い武器」として活用するための実践的な知識を共有する、経営者限定のコミュニティです。「建築経営にどのようにAIを浸透させるか」をテーマに、隔月で研究会を開催しています。
次回の研究会は2026年9月28日に開催予定です。
会社紹介

会社名:株式会社LIFEFUND
代表者:代表取締役 白都卓磨
設 立:2000年(2023年に現社名へ変更)
所在地:静岡県浜松市中央区鴨江三丁目70番23号
売上高:27.1億円(2025年実績)
社員数:83名(2026年8月)
事業内容:注文住宅(ARRCH、PG HOUSE)、不動産、相続コンサルティング、AI教育事業ほか
「建築業界のAI浸透を推進します」


