中央開発、次世代地下水ソリューション「Mimori-Well」を展開開始 – 脱炭素と災害対策を同時に実現

2026年7月31日、中央開発株式会社は、次世代の地下水ソリューションブランド「Mimori-Well(水守ウェル)」の展開を開始しました。この取り組みは、帯水層蓄熱システム(ATES)のための高性能な井戸を作る新型リバース掘削機の完成と同時に発表されました。

Mimori-Well

Mimori-Wellとは

「Mimori-Well」は、中央開発が提供する地下水に関する総合的な技術支援サービスです。ATESを中心に、地下水の調査、設計、工事、運用、さらには行政機関との調整まで、一連のプロセスをサポートします。

このソリューションは、地下水を地域の重要な資源として考え、地盤沈下などの問題に配慮しながら有効活用を進めます。脱炭素社会の実現、都市のヒートアイランド現象の軽減、そして災害時の水の確保など、地域社会に多角的に貢献することを目指しています。また、研究開発から実際の社会での活用までを一貫して進め、地下水利用技術の高度化と地域の災害対応能力の向上に取り組んでいます。

新型リバース掘削機「ECO-GTR-2」の特長

今回完成した新型リバース掘削機「ECO-GTR-2」は、帯水層蓄熱システム(ATES)の普及を支える重要な技術として開発されました。この掘削機は、ベントナイトという粘土を使わない「リバースサーキュレーション工法」を採用しています。これにより、地下水の通り道である帯水層が持つ本来の水の流れやすさを保ちながら、質の高い熱源井(熱を取り出すための井戸)を作ることができます。

さらに、日本の多様な地質や地下水の条件に対応するため、掘削能力や作業のしやすさが向上しています。ICT(情報通信技術)を活用した工事の管理やデータの利用にも対応できる機能を備えています。

Mimori-Well(ATES+災害井戸)の効果

「Mimori-Well」が提供するATESと災害井戸の組み合わせには、以下のような効果が期待されます。

  • 空気熱源方式よりもはるかに高い熱交換性能により、効率の良い熱利用が実現します。

  • 電力の消費量と二酸化炭素(CO₂)の排出量を減らすことで、省エネルギー化と脱炭素化に貢献します。

  • 大気への熱の排出を抑えるため、都市のヒートアイランド現象を和らげる助けとなります。

  • 災害で水道が止まった際には、非常用の水源として地下水を利用できるため、地域や施設の防災・減災能力が向上します。

ATESとは

ATESの仕組み

ATES(Aquifer Thermal Energy Storage:帯水層蓄熱システム)は、地下水をたくさん含んだ帯水層を大きな熱の貯蔵庫として利用する技術です。具体的には、夏に冷房を使う際に出る温かい排熱を地下に貯めておき、冬の暖房に利用します。逆に、冬に暖房を使う際に出る冷たい排熱を貯めて、夏の冷房に利用することも可能です。このように、地下水が持つ熱エネルギーを季節ごとに有効に使うことで、高い効率で熱を利用し、エネルギー消費量やCO₂排出量の削減に貢献します。

ATESは、都市部でのヒートアイランド現象を軽減する技術としても期待されており、オフィスビル、都市開発プロジェクト、工場施設など、様々な場所での活用が進められています。

背景と中央開発の取り組み

近年、CO₂排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に向けて、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの活用が求められています。特に、冷暖房の分野では、省エネルギーとCO₂排出量削減を両立させる技術として、地下の熱(地中熱や地下水熱)の利用が注目されています。

中央開発は、地下水利用に関する専門知識を活かし、ATESの社会での活用に向けた実証事業や技術開発に取り組んできました。例えば、大阪市などと協力し、うめきた地区や舞洲地区での実証事業を通じて、地下水の揚水(くみ上げ)と還元(地下に戻す)の試験や、環境への影響評価を行ってきました。これにより、ATESで使う熱源井の設計、工事、運用に関する技術的な知識を蓄積しています。

また、環境省が進める地下水・地中熱利用の取り組みへの協力や、大阪市でのATES関連調査への参加などを通じて、日本国内でのATES普及のための技術的・制度的な基盤づくりにも貢献しています。これらの経験から培った地下水利用技術をより多くの場所で活用してもらうため、中央開発は地下水ソリューションブランド「Mimori-Well」の展開を開始しました。

現場見学会の開催

中央開発は、2026年7月1日から2日にかけて、神奈川県厚木市で新型リバース掘削機が稼働する現場見学会を開催しました。この見学会では、関東地域で進められている熱源井工事を対象に、新型リバース掘削機を使った実際の掘削の様子や工事の方法が紹介されました。

掘削機の様子

掘削機の様子

現場では、地下水を活用した再生可能エネルギー技術の可能性について説明が行われ、参加者との間で技術的な意見交換が活発に行われました。

泥水処理の様子

今後の展望

中央開発はこれからも、行政機関や研究機関、民間企業との連携を強化しながら、ATESの普及拡大と地下水利用技術のさらなる高度化を進めていく方針です。また、環境省や自治体などと協力し、地下水の持続可能な利用に向けた制度の整備や技術開発にも引き続き取り組んでいきます。

「Mimori-Well」を通じて、高性能な熱源井を作る技術と地下水ソリューションをさらに発展させ、地下水資源の有効活用による脱炭素社会の実現や、地域の災害対応能力の向上など、技術で社会に貢献していく考えです。

中央開発株式会社について

中央開発株式会社

中央開発株式会社は、1946年に日本で初めての地盤コンサルティング会社として設立されました。以来、日本の地質調査業界をリードし、国内外のインフラ整備プロジェクトに携わってきました。現在では、土木設計、情報解析、IoT機器を使った防災コンサルティングなど、事業領域を広げています。

近年では「地質DX」を掲げ、点群データ活用やSfM処理技術、保有するボーリングデータを活用したAI分野での研究開発に取り組み、建設コンサルタント業界に新しい価値を生み出す努力をしています。

中央開発株式会社の詳しい情報は、以下のウェブサイトで確認できます。

土と水ホールディングスグループについて

土と水ホールディングスグループ

土と水ホールディングスグループは、「大地に残る仕事、人々の心に残る仕事、そして、豊かな未来へつないでいく仕事」に実践的に取り組んでいます。グループは、自然の現場を重視し、実務経験に基づいて、時には新しい技術を開発しながら、正確な調査から的確な判断を導き出すよう努めています。

×