JR東海、Liberawareのドローン「IBIS2」とCalTaの「TRANCITY」で東海道新幹線のインフラ点検を効率化・安全化

JR東海がドローン「IBIS2」と「TRANCITY」を試行

株式会社Liberawareは、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)に対し、点検用ドローン「IBIS2」の試行を行いました。この試行では、Liberawareの「IBIS2」とCalTa株式会社の現場管理プラットフォーム「TRANCITY」を組み合わせることで、東海道新幹線の高所や狭い場所での点検作業を安全かつ効率的に実施し、労働災害のリスクを減らすとともに、3Dデータを活用した部署間のスムーズな情報共有を実現しました。

JR東海、Liberawareのドローン「IBIS2」とCalTaの「TRANCITY」で東海道新幹線のインフラ点検を効率化・安全化

試行の背景:新幹線インフラ維持管理の課題

東京と新大阪を結ぶ東海道新幹線は、私たちの生活に欠かせない重要な交通インフラです。そのため、沿線にあるたくさんの土木構造物を適切に維持管理することは非常に大切です。JR東海関西支社では、橋やトンネルなどの構造物を2年に一度点検し、安全性を確認しています。

近年、同支社では維持管理業務の改善と労働環境の整備のため、デジタル技術を積極的に導入しています。3Dデータや点群データ、地理情報データを使った維持管理に加え、それらのデータを取得するためのセンサーやドローンなどの最新ツールが活用されています。

しかし、高架駅のような複雑な構造物では、駅舎の天井裏に高架橋の梁や床板が隠れてしまい、点検が難しいという課題がありました。天井裏は高さ5メートルを超える場所もあり、点検員が足場を組んだり、骨組みの上を歩いたりする必要があるため、転倒や墜落といった労働災害のリスクが高い環境です。また、人が入れないほど狭い空間も多く、レーザースキャナーを使っても設備の裏側までデータが届かず、小さなひび割れなどを見落とす可能性もありました。

そこでJR東海関西支社は、天井裏空間での高架橋点検を安全かつ効率的に行う技術を検討し、カメラを飛ばしてデータが取れる「IBIS2」ドローンを採用しました。ドローンを使うことで、タイヤ型やヘビ型ロボットでは難しい、障害物を乗り越えるような上下移動が可能になります。

ドローンによる狭所点検

ドローンの選定においては、機体全体がガードで覆われたものや、手のひらに乗るような小型ドローンも検討されました。その中で「IBIS2」は、訓練を受けた社員でも安定して飛ばせるという点で選ばれました。JR東海では、ドローン点検を外部に委託するのではなく、社員自身が操縦することを原則としているからです。

社員が自ら運用する理由はいくつかあります。点検対象が多いことや夜間作業が中心となるため、外部委託ではコストがかさみます。また、大雨による漏水などの急なトラブルにもすぐに対応できません。さらに、駅の天井裏は構造が複雑で、外部の操縦者に指示を出す手間も発生します。鉄道構造物の専門知識を持つ社員がドローンを飛ばす方が効率的であり、最終的な安全性の判断に責任を持つためにも、社員が直接確認することを基本としています。

IBIS2を手にするJR東海社員

「IBIS2」単体での評価だけでなく、CalTa株式会社の提供する、動画から3Dデータを自動で作り出し、現場管理ができるプラットフォーム「TRANCITY」と組み合わせるメリットも評価されました。これにより、映像から点群データを取得し、画像から損傷の寸法を確認できるなど、精度の高い点検結果を分かりやすく見ることができるようになりました。

TRANCITY公式サイト:
https://calta.co.jp/service/

LiberawareとCalTaの技術サポートも含め、総合的に評価した結果、今回のソリューションの試行に至りました。

成果:安全性向上と情報共有の促進

労働災害リスクの低減とコスト削減

2024年度から高架橋の点検に「IBIS2」を試行したことで、従来の転倒や墜落の危険がある高所での作業や、無理な体勢を強いられる狭い場所での作業が減り、現場での労働災害のリスクが大きく減ったと報告されています。また、これまで見えなかった場所の画像を近くで撮影できるようになり、ひび割れの大きさやサビの進行具合などをデータ上で測れるようになりました。さらに、足場を設置する必要があった高所の点検も「IBIS2」を使うことで、その費用を抑える効果も出ています。

「TRANCITY」を活用した迅速な情報共有

「IBIS2」で撮影した動画から「TRANCITY」で作成された3Dデータにより、点検箇所の位置を正確に共有できるようになりました。平面図だけでは分かりにくかった配管やケーブル、空調の室外機といった設備の配置関係も、3D空間の中で理解できるようになりました。現場に行かなくてもオフィスで状況を確認できるため、電気や建築といった他の部署との情報共有がスムーズになり、より早く判断を下せるようになったとのことです。

構造物の経時変化をミリ単位で比較

JR東海関西支社ではこれまでも、屋外の橋梁の上部や橋脚など、人が近づきにくい場所の点検にドローンを活用してきました。そこで得られたデータを「TRANCITY」で解析し、同じ構造物の3Dデータを時系列で比較することで、構造物の変化を監視しています。これにより、ミリメートル単位の微細な変化も把握できるようになったそうです。

将来の展望

この微細な変化を捉える技術を活かし、将来的には列車が走っている状態での高架橋のたわみ量を測ることも検討されています。そのためには、昼間の営業運転中でもドローンを飛ばして点検できるよう、ドローンが立ち入らない「見えない壁」のような空域を設定し、確実に制御する技術が必要になるでしょう。

ドローンを活用した将来の展望について話し合う様子

さらに、ドローンで見た目のデータを取るだけでなく、構造物をハンマーで叩いて音から内部の劣化を調べる打音検査をドローンが行うことや、雨漏りの原因を特定したり、吸水材を運んで簡単な応急処置をしたりといったアイデアも現場から挙がっています。

株式会社Liberawareについて

株式会社Liberawareは、「誰もが安全な社会を作る」ことを目標に掲げ、世界でも珍しい「狭くて、暗くて、危険な」屋内空間の点検・計測に特化した世界最小クラスのドローンを開発しています。このドローンで集めた画像データを解析し、顧客に提供するインフラ点検・維持管理ソリューションを展開しています。同社は「見えないリスクを可視化する」というビジョンの実現に向けて取り組み、安全で平和な社会を目指しています。

会社名:株式会社Liberaware(リベラウェア)
代表取締役:閔弘圭(ミン・ホンキュ)
所在地:千葉県千葉市中央区中央3-3-1
設立:2016年8月22日
事業内容:

  • ドローン事業:ドローンなどを用いた調査・点検・測量サービス、自社開発ドローンなどの販売・レンタルサービス

  • デジタルツイン事業:ドローンなどで取得したデータの画像処理、データ解析サービス、および画像処理技術のライセンス提供

  • ソリューション開発事業:ハードウェアからソフトウェアまで幅広いソリューションを提供する受託開発事業

URL:https://liberaware.co.jp/
Xアカウント:https://x.com/liberaware

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