AIが施主の「隠れた本音」を採点 九州産業大学で未来の住宅提案力を磨く演習を実施

九州産業大学で「施主理解力」を磨く住宅提案演習

2026年7月3日、九州産業大学建築都市工学部住居・インテリア学科の1年生45名を対象に、住宅提案演習「施主の心を掴め」が実施されました。この演習は、安心計画株式会社と同学科(香川治美教授担当科目「情報処理入門」)が連携して行われたものです。

演習では、住宅プラン提案サービス『マイホームロボ』と建築業界向け生成AI『タノモシカ』が活用されました。学生が施主へ提案する住宅プランとコメントに対し、AIが施主の「隠れた本音」を採点条件として設定し、100点満点で評価するという、これまでにない形式で行われました。

コンピュータ室の風景

AI時代に求められる「施主理解力」

近年、住宅営業や設計の現場では、AIの活用が進んでいます。例えば、2026年7月には、商談の録音から施主の要望をAIが自動で抽出し、『マイホームロボ』の住宅プラン検索につなげる連携機能の提供が始まりました。これにより、「条件に合うプランを探す」といった作業はAIが担える時代になっています。

しかし、施主が最初からすべての要望を明確に言葉にできるとは限りません。発言の背景にある生活スタイル、家族の将来、言葉にされない不安などを読み取り、「この家族にとって本当に必要な住まいはどのようなものか」を考える力は、これからも人間に求められ続けるでしょう。

この演習は、昨年度から続く九州産業大学との共同授業の2026年度版として、「AI時代の施主理解力」をテーマに企画されました。従来のCAD操作や図面作成の習得だけでなく、AIと住宅提案システムを使いながら、人間にしかできない提案価値を考える授業となっています。

AIが「施主役」となり提案を採点する仕組み

学生には、家族構成と表面的な要望のみが書かれた「施主カード」が提示されます。一方、採点を行う『タノモシカ』側には、各施主が本当に大切にしている「隠れた本音」が事前に設定されています。学生からは見えないこの本音に、提案がどれだけ届いたかをAIが評価します。

施主カードの例

授業では、住宅商談の実例を参考にした4組の施主カードが用意されました。夫婦2人の平屋、子ども3人を見据えた家、母と娘の2人暮らしなど、家族構成も要望も異なるケースに1組ずつ全員で取り組みました。

採点基準は100点満点で、プラン評価(70点)と提案コメント評価(30点)で構成されます。このうち配点の3割が「隠れた本音への到達度」に関わる項目となっており、表面的な条件を満たすだけでなく、施主の心に響く提案ができるかが問われます。

採点基準の資料

ある学生からは、「条件の絞り込みをする際に、全部の条件を入れると該当するものがなくなってしまって、何を重視するかを考えることが大変だなと感じました」という声が寄せられました。これは、要望の取捨選択という、実際の業務に近い思考を体験したことを示しています。

「隠れた本音」を捉えて100点満点

例えば、施主カード01の要望は「限られた土地で、家族4人が楽しく暮らす家」というものでした。表面的な要望には「建物はできるだけコンパクトに」「庭でBBQがしたい」などがありました。しかし、AI側が設定していた「隠れた本音」は、「小さな土地でも、外とつながる暮らしによって狭さを感じさせず、子どもと外で過ごす時間を諦めたくない」というものでした。特に「BBQ」は、その暮らしを象徴する要素として設定されています。

本音を読み取るヒント

この「隠れた本音」まで捉えた提案をした学生が、AIによる採点で100点を獲得しました。住居・インテリア学科1年の浦 唯さんの提案です。

浦さんは、「庭でBBQをしたい」という要望を、単にBBQができる場所を設けるだけでなく、2歳と5歳の子どもが安心して外で遊べる屋外空間として捉え、提案しました。特に、道路への飛び出しや周囲からの視線に配慮した高いウッドフェンスを提案したことで、「子どもと安心して外で過ごす時間を諦めたくない」という施主の「隠れた本音」まで捉えた点が高く評価されました。

100点獲得のプラン評価

AIは、住宅プランが表面的な条件を満たしているかだけでなく、提案コメントに論理性や具体性があるか、施主の心理に寄り添えているかについても評価します。浦さんのコメントは、ウッドフェンスを単なる外観デザインではなく、子どもの安全を守り、家族が周囲の視線を気にせず屋外で過ごすための提案として説明した点が評価されました。

100点獲得のコメント評価

学生アンケートの結果:全員が「役に立ちそう」「成長できた」と回答

演習後のアンケートでは、回答した学生全員が「授業内容は今後役に立ちそう」「自身を成長させることができた」と回答しました。また、「住居・インテリア分野において情報を処理する力は必要か」という問いに、「必要ない」と答えた学生は一人もいませんでした。

自由記述からは、AIへの漠然とした不安が、実際に住宅提案を行い、AIに評価される体験を通じて、「AIを活用して自分の能力を高める」「人間にしかない共感力を磨く」という前向きな認識へ変化したことがうかがえます。

九州産業大学の香川治美教授は、「1年生の段階で、住まいの提案は施主の理解から始まるという本質を体感できたことは、学生にとって大きな学びの一歩となりました」とコメントしています。

今後の展望:住宅営業AIエージェント構想と人材育成

安心計画株式会社は、商談から提案書作成までを一貫して支援する「住宅営業AIエージェント構想」を進めています。今回の演習で学生が体験した「AIがプランを探し、人間が施主を理解する」という役割分担は、この構想が目指す実務の姿そのものです。

学生からは、「実際の建築・インテリア業界でAIがどのように活用されているのか、具体的な事例や今後の展望についてお話を聞きたい」という声も寄せられており、実務と教育をつなぐ学びへのニーズの高さがうかがえます。

これらの声を受け、2026年秋には、今回の授業をさらに発展させた授業が実施される予定です。選定したプランを提案するだけでなく、3D住宅プレゼンCAD『Walk in home』を使って施主の要望に合わせてプランを修正する、より実践的な内容となる予定です。「施主を理解し、プランを選び、提案し、修正する」という住宅提案の一連の流れを、学生が体験できるプログラムへと発展させます。

安心計画株式会社は今後も、大学や教育機関との連携を通じて、AI時代の住宅業界を担う次世代の人材育成と、業界全体のDX推進に貢献していく方針です。

建築業界向け生成AI『タノモシカ』について

『タノモシカ』は、建築業界の実務に特化した生成AIサービスです。画像生成だけでなく、音声解析、営業支援、経営分析など、現場業務に役立つAIとして、建築会社や工務店の生産性向上と人材育成を支援しています。
WEBサイトURL:
https://tanomoshika.com/

住宅プラン検索ツール『マイホームロボ』について

『マイホームロボ』は、AIを活用して最適な住宅プランの検索・提案を行うクラウドサービスです。豊富なプランデータからお客様の要望に合ったものを素早く導き出し、営業担当者のプラン提案業務の効率化と提案品質の向上を実現します。
WEBサイトURL:
https://my-homerobo.com/

3D住宅プレゼンCAD『Walk in home』について

『Walk in home』は、直感的な操作性とスピードを重視した3D住宅プレゼンCADシステムです。間取りのプランニングから高画質なパース作成、構造計算、各種図面作成までを一貫して行うことができ、施主へのわかりやすいプレゼンテーションと設計業務のスムーズな進行に貢献します。
WEBサイトURL:
https://www.walk-in-home.jp/

安心計画株式会社の概要

安心計画株式会社は、1988年設立の、建築業界に特化したプレゼンシステムの専門企業です。2023年6月に株式会社DTSのグループに参画しました。
HP:
https://www.anshin.co.jp

株式会社DTSの概要

DTSは、総合力を備えたトータルシステムインテグレーターです。主に金融、情報通信、製造、公共、建築分野向けに、コンサルティングからシステム設計・開発、基盤構築・運用までをワンストップで提供します。
HP:
https://www.dts.co.jp/

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