スパイスファクトリーと立命館大学、デザイン実装力向上を目指し共同研究・連携を開始

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デジタル変革(DX)を支援するスパイスファクトリー株式会社と立命館大学 デザイン・アート学部は、「Design Enablement(デザイン・イネーブルメント)」に関する共同研究と連携を始めました。

この連携は、教育・研究の高度化と人材育成を目的とした協力協定に基づいており、スパイスファクトリーの執行役員である本村 章氏が立命館大学 デザイン科学研究所の客員研究員に就任する予定です。

共同研究では、スパイスファクトリーがこれまで教育、医療介護、公共、気候変動といった社会課題のDXに取り組んできた経験を研究の場として提供します。これにより、現場で得られた知識をもとにデザイン・イネーブルメントの理論を深め、社会での活用を目指します。研究活動だけでなく、教育や人材育成にも力を入れていく計画です。

本取り組みには、立命館大学 デザイン・アート学部の八重樫 文教授が参加します。八重樫教授は、経済産業省や情報処理推進機構(IPA)の「デザインマネジメント人材の育成に関するタスクフォース」の主査も務めており、その専門知識が研究に活かされます。

専門デザイナーが少ない組織における「デザイン実装力」という課題

多くの組織では、DXを進める必要性が高まる一方で、専門のデザイナーを十分に配置できていないという課題を抱えています。このような状況では、ビジネス担当者やエンジニア、現場の担当者自身が、デザイン的な考え方や判断を求められることが増えています。

ここで重要なのは、「どうすればデザイナーを増やせるか」ではなく、「専門デザイナーが常にいなくても、組織全体でデザインを実現する力をどう広げ、維持するか」という点です。

さらに、生成AIの登場により、アイデアを形にするコストが低くなっています。経済産業省のレポートでも、実装や運用の価値が低下する中で、組織が直面する複雑な問題をどう捉え、解決の方向性を示すか、つまり「デザイン的思考」を誰がどのように担うかが、新たに問われています。

デザイン・イネーブルメントとは

デザイン・イネーブルメントとは、デザインの専門家だけでなく、あらゆる人がデザインに参加できるような環境や仕組みを作ることを指す考え方です。

この考え方の基礎には、1960年代以降のデザイン研究や、「デザイナー特有の思考法や問題解決のアプローチ」という概念があります。

デザイン・イネーブルメントが目指すのは、企業やチームが「こうありたい」という理想の状態をスタート地点として、現場のチームや担当者自身がデザインできるようになることです。プロジェクトが終わった後も、その力が組織の中に残り続けることが重要だとされています。

デザインの知識を組織全体に広げ、維持するためのプロセスは、以下の3つの方向性で説明されます。

  • ひきだす(Pulling):相手の状況や関心、実現したいことを対話から引き出し、一緒に作り上げていく。

  • つたえる(Pushing):デザインに関する知識を、講義やガイドラインを通じて教える。

  • みせる(Demonstrating):実際の取り組みを共有することで、言葉では伝えにくいデザインのコツを伝える。

生成AIの普及により、誰もがアイデアを形にできる時代になりつつあります。しかし、「何を作るべきか」「どんな価値を届けるべきか」を考える力は、むしろ重要性が高まっています。デザインは、一部の専門職だけでなく、数学や英語のような一般的なスキルとして組織に根付くべき領域となっており、デザイン・イネーブルメントはその実現を支える考え方として位置づけられます。

共同研究・連携の内容

  1. デザイン・イネーブルメントの実証研究
    地方自治体や企業でのDXの取り組みの中で、デザインの知識がどのように組織に広がり、機能しているかを観察・分析します。スパイスファクトリーが関わるプロジェクトを対象に、インタビューや観察を通じてデザイン・イネーブルメントの理論を深め、公共DXや組織改革における新しい知見を生み出すことを目指します。

  2. 組織変革・人材開発プログラムの研究開発
    研究で得られた知識は、スパイスファクトリーが提供するDX支援や組織開発、人材開発プログラムに活かされます。具体的には、「個人」「チーム」「組織」「共創」という4つの視点から展開するデザイン・イネーブルメント関連サービスに、理論的なフィードバックを行います。将来的には、デザイン・アート分野での教育連携や寄附講座、人材育成の取り組みも視野に入れています。

  3. 研究成果の社会発信
    研究で得られた成果は、論文発表や学会での発表、実務者向けのイベント、記事の寄稿などを通じて広く社会に発信されます。これにより、公共や行政分野を含むDXの現場で共通の理解を深めることに貢献することを目指します。スパイスファクトリーが開催している「Design Enablement Forum」も、引き続き社会発信の場として活用されます。

関係者コメント

スパイスファクトリー株式会社 執行役員 Chief Design Officer 本村 章氏

本村 章氏

「デザイン・イネーブルメントの研究は、専門デザイナーが少ない組織で、実際にデザインに関わる判断や問いを誰が担っているのか、という現場での問いから始まりました。生成AIによって可視化のコストが下がる今、組織にデザインの実装力をどう蓄積し、維持するかが改めて問われています。この問いに、立命館大学 デザイン・アート学部、そしてデザイン・イネーブルメント理論の共同提唱者である八重樫先生とともに取り組めることを大変嬉しく思います。」

立命館大学 デザイン・アート学部 教授 八重樫 文氏

八重樫 文氏

「デザイン・イネーブルメントは、組織の創造的な力を引き出し、人々が自ら価値を考え、実行に移すための条件を整える考え方です。これは、立命館大学 デザイン・アート学部が目指すCX(Creative Transformation)人材の考え方と深く重なります。スパイスファクトリーが社会課題領域で培ってきた実践は、この力を研究する上で重要な場となります。本連携を通じて、現場でのデザイン実践のあり方を丁寧に検討し、デザイン・イネーブルメントの理論を深め、社会での活用を進めていきたいと考えています。」

今後について

スパイスファクトリーは今後も、理論と実践を行き来しながら、社会課題の解決に向けたDXやデザインの実践をさらに高めていくとともに、教育、研究、人材育成への貢献にも取り組んでいきます。この共同研究・連携で得られた知見を社会に還元し、公共や行政分野を含む様々な現場での価値創造や組織改革に貢献していく予定です。

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