スパイスファクトリーと立命館大学、専門デザイナーが少ない組織での「デザイン実装力」向上に向け共同研究を開始
スパイスファクトリーと立命館大学が共同研究を開始
スパイスファクトリー株式会社と立命館大学デザイン・アート学部は、「Design Enablement(デザイン・イネーブルメント)」という考え方に基づく共同研究と連携をスタートさせました。この連携は、教育や研究のレベルアップ、そして未来を担う人材を育てることを目指しています。
共同研究の開始に合わせ、両者は連携協力協定を結びました。また、スパイスファクトリーの執行役員Chief Design Officerである本村章氏は、立命館大学デザイン科学研究所の客員研究員に就任する予定です。この研究では、教育、医療、公共、気候変動など、さまざまな社会の課題解決に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが研究の場として提供され、実務で得られた知識をもとに理論と実践が進められます。
立命館大学デザイン・アート学部教授であり、デザイン科学研究所DMLチーフ・プロデューサーの八重樫文氏もこの取り組みに参加します。八重樫氏は、経済産業省や情報処理推進機構(IPA)の「デザインマネジメント人材の育成に関するタスクフォース」の主査も務めており、その専門知識が研究に活かされます。
立命館大学 デザイン・アート学部ニュースページでは、スパイスファクトリー株式会社との共同研究・連携について詳しく紹介されています。
https://www.ritsumei.ac.jp/da/news/detail/?news_id=37

専門デザイナーが少ない組織のデザインに関する課題
DXを進める必要性が高まる中で、多くの組織では専門のデザイナーが不足しています。そのため、サービスや仕事のやり方、組織のあり方を見直すことが求められています。デザイナーを新たに雇ったり育てたりする余裕がない中で、ビジネス担当者やエンジニア、現場で働く人々が、デザイン的な考え方や判断をすることが日常的になっています。
ここで重要なのは、「どうすればデザイナーを増やせるか」ではなく、「専門デザイナーがいなくても、組織全体でデザインを実践する力をどうやって広げ、維持するか」という問いです。
さらに、生成AIの登場により、アイデアを形にするコストが大きく下がっています。経済産業省のレポートでも、実装や運用といった作業の価値が低下する中で、「デザイン的思考」を組織の中で誰がどのように担うかが、新たな課題として浮上しています。
デザイン・イネーブルメントとは
デザイン・イネーブルメントとは、一部の専門家だけでなく、組織にいるあらゆる人々がデザインに参加できるようにするための、環境づくりや仕組み化を指す考え方です。
この考え方が目指すのは、企業や現場のチームが「こうありたい」と望む状態をスタート地点として、チームや担当者自身がデザインできるようになることです。そして、それがプロジェクトが終わった後も組織の中に残り、持続していく状態を築くことを目指しています。
デザイン・イネーブルメントは、デザインの知識を組織全体に広げ、維持していくためのプロセスを三つの方向性で説明しています。
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ひきだす(Pulling):相手の考えや関心、実現したいことを対話を通じて引き出し、一緒に作り上げる。
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つたえる(Pushing):デザインの知識を、講義やガイドラインを通して分かりやすく教える。
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みせる(Demonstrating):実際のデザイン活動を共有し、経験としてデザインのやり方を伝える。
生成AIの普及により、誰もがアイデアを形にできる時代になりつつあります。しかし、「何を作るべきか」「どんな価値を届けるべきか」を考える力は、むしろ重要性が増しています。デザインは、もはや一部の専門職だけのものではなく、数学や英語のような一般的なスキルとして組織に根付くべき領域となっており、デザイン・イネーブルメントはその実現を支える大切な考え方です。
デザイン・イネーブルメントに関する詳しい情報は、以下の記事や資料で紹介されています。
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「デザイン・イネーブルメントとは?価値づくりから社会の仕組みまでを支える新しいデザインの考え方」(スパイスファクトリー)
https://spice-factory.co.jp/design/design-enablement-about -
「センスの壁を論理で超える。『デザイン・イネーブルメント』で誰もがデザインを使える社会へ」(Spectrum Tokyo インタビュー)
https://spectrumtokyo.com/jp/interviews/spice-factory/ -
「デザインできる組織は、どう生まれるのか。新CDO・本村 章が描く『Design Enablement』という未来」(スパイスファクトリー note)
https://note.com/spice_factory/n/nc51b220a795e
共同研究と連携の内容
1.デザイン・イネーブルメントの実証研究
地方自治体や行政組織、民間企業でのDXの取り組みの中で、デザインの知識がどのように組織に広がり、機能しているかを観察し、記録します。スパイスファクトリーが関わるプロジェクトや組織の活動を対象に、インタビューや観察などを通じてデザイン・イネーブルメントの理論を深め、公共DXや組織を変える分野で新しい知識を生み出すことを目指します。
2.組織変革・人材開発プログラムの研究開発
研究で得られた知識は、スパイスファクトリーが提供するDX支援や組織開発支援、人材育成プログラムに活かされます。具体的には、「個人」「チーム」「組織」「共創」という4つの視点で展開するデザイン・イネーブルメント関連サービスに、理論的なフィードバックが行われます。また、デザイン・アート分野での教育連携や寄附講座、人材育成に関する取り組みも視野に入れています。
3.研究成果の社会発信
研究で得られた成果は、論文発表や学会での発表、実務者向けのイベント、記事の寄稿などを通じて広く社会に伝えていきます。これにより、公共・行政分野を含むDXの取り組みにおいて、共通の考え方や言葉が生まれることに貢献することを目指しています。スパイスファクトリーが2026年2月に第1回を開催した「Design Enablement Forum」も、引き続き社会に情報を発信する場として活用されます。
関係者のコメント

スパイスファクトリー株式会社 執行役員 Chief Design Officer/HCD-Net認定 人間中心設計専門家 本村 章氏
「デザイン・イネーブルメントの研究は、専門デザイナーがいない、または限られた人数の組織の中で、デザインに関する判断や疑問を実際に担っているのは誰か、という現場での問いかけから始まりました。組織の中で実質的にデザインの役割を果たしている人々の活動を、理論として明確にし、再び実践へとつなげていくことが重要です。生成AIによってアイデアを形にするコストが下がる今、組織にデザインの実装力をどう蓄積し、維持していくかが改めて問われています。この問いに、立命館大学デザイン・アート学部、そしてデザイン・イネーブルメント理論の共同提唱者である八重樫先生とともに、より広い視点から取り組めることを大変嬉しく思います。」

立命館大学 デザイン・アート学部 教授/デザイン科学研究所 DML(Design Management Lab)チーフ・プロデューサー 八重樫 文氏
「デザイン・イネーブルメントは、組織の中にある創造的な力を引き出し、人々が自ら価値を考え、実践していくための条件を整える考え方です。これは、立命館大学デザイン・アート学部が育成を目指すCX(Creative Transformation)人材の考え方と深く重なります。DXがデジタル技術で社会を変えるように、CXは創造的な発想と実践で社会生活や組織のあり方に変化を促すものです。スパイスファクトリー株式会社が社会課題の分野で培ってきた実践は、この力を研究する上で重要な場となります。この連携を通じて、現場でのデザイン活動のあり方を丁寧に検討し、デザイン・イネーブルメントの理論を深め、社会での実現を進めていきたいと考えています。」
今後の展望
スパイスファクトリーは今後も、理論と実践を行き来しながら、社会課題の解決に向けたDXやデザイン活動のレベルアップだけでなく、教育・研究・人材育成への貢献にも取り組んでいきます。この共同研究と連携で得られた知識を社会に還元し、公共・行政分野を含むさまざまな現場での価値創造や組織の変革に貢献していくでしょう。
スパイスファクトリー株式会社について
スパイスファクトリー株式会社は、DXを加速させるアジャイルな考え方で、企業や行政機関のデジタル変革を促す「触媒(スパイス)」となるDX支援企業です。これまで、教育、医療、自治体、一次産業、物流、製造、エンターテインメントなど、幅広い業界のDXに関わり、素早い価値創造を実現してきました。社会や顧客の課題解決に取り組み、事業の成長を支援しています。
経営課題から現場の事業課題解決まで、デジタル領域の課題に幅広く対応。事業サービスの構想支援、システム開発、UI/UX、マーケティング支援など、一貫したサポートを提供しています。従来の開発の枠組みを超え、ユーザー中心の設計を軸に顧客企業や行政機関と協力し、変化に対応する力と素早さを高めながら、一緒に解決策を見つけ出しています。
同社のMissionは「革新の触媒」であり、Purposeは「1ピクセルずつ、世界をより良いものにする。」です。社会課題の解決を追求し、新たなビジネスやイノベーションの創出に貢献しています。

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