地域の生コン工場から直接モルタルを供給!3Dプリンティング建築の実証に成功

3Dプリンティング建築、既存の建設インフラで実現へ

V3D Asia株式会社、株式会社中澤建設、株式会社雲南共同生コン生産会社の3社は、島根県雲南市で、日本国内で広く使われているモルタルを使った3Dプリンティング建築の実証に成功しました。この実証は、ガントリー式の3D建設プリンターを使い、小規模な建物を現地で造るものです。

3Dプリンターがコンクリートのような素材を層状に積み重ねて構造物を構築している様子

この取り組みは、現在把握されている限り、世界的にも非常に珍しいとされています。これまでの3Dプリンティング建築は、材料費や運搬費が高くつくことが大きな課題でした。しかし、今回の実証では、地域の既存の建設インフラをそのまま利用することで、これらの課題を乗り越え、人手不足に悩む日本の建設業界に新しい解決策を示すモデルとなります。

課題解決のポイント

1. 高価な「特殊専用材料」に頼らない

従来の3Dプリンティング建築では、建物の形を保つために海外製の特殊なモルタルや専用材料を遠くから運ぶ必要がありました。これは材料費や運搬コストが高くなる原因でした。今回の実証では、地元の生コン工場で作られた「普通のモルタル」に、V3D Asia独自の添加剤を数パーセント加えるだけで、3Dプリントに適した非常に質の高い材料に変えることに成功しました。

2. ミキサー車で現場へ「直送」し、そのままプリント

実証では、現場から約16.5km(車で約30分)離れた雲南生コンの工場から、通常のミキサー車でモルタルを運び込みました。これは、普段使われているミキサー車が現場にモルタルを運び、それを直接3Dプリンターのシステムに投入して建築を始めるという、既存の建設物流の仕組みに完全に沿った方法です。

建設現場でコンクリート3Dプリンターが稼働しており、作業員がその様子を見守っています

建設現場で、白いヘルメットとTシャツを着た作業員がショベルを使って材料を混ぜています

3. 地域の人手不足を既存のサプライチェーンで解決

日本の建設業界、特に地方では、型枠職人などの高齢化や人手不足が深刻な問題です。今回の実証は、V3D Asiaの技術が、地元の生コン会社(材料を提供する会社)と地元の建設会社(工事を行う会社)という、地域で活動している企業が事業を続け、発展させるのに役立つことを示しています。

実証実験の概要

この実証実験は、V3D Asiaが東南アジアで培ってきた3Dプリンティング建設技術を、日本の建設現場で使えるようにするためのものです。V3D Asiaのプリンター技術、中澤建設の現場での工事を行う力、そして雲南生コンの材料供給と品質管理の知識が組み合わされ、日本で3Dプリンティング建築を実用化するための基本的なデータが集められました。

  • 事業名称: 3Dプリンター島根PoC事業

  • 実施場所: 島根県雲南市

  • 実施時期: 2026年5月26日〜28日

  • 事業主: V3D Asia 株式会社

  • 施工パートナー: 株式会社中澤建設

  • 材料供給パートナー: 株式会社雲南共同生コン生産会社

本実証の意義

この実証実験は、以下の点で大きな意味を持ちます。

  • 既存の生コン工場やミキサー車を使った3Dプリンティング建築が実現できる可能性が確認されました。

  • 高価な専用材料に頼らない方法で工事ができるため、材料の準備や現場での作業の負担が軽くなります。

  • 地域の建設会社や生コン会社と協力することで、地方でも導入しやすいモデルが検証されました。

  • 日本の気候、材料、工事の条件に合わせた実用化のために、工事に関するデータが集められました。

  • 人手不足や高齢化が進む地方の建設業において、少ない人数で工事を行いながら、地域の工事力を維持できる可能性が示されました。

3社連携について

今回の実証は、V3D Asia、中澤建設、雲南生コンの3社がそれぞれの得意なことを持ち寄ることで実現しました。

  • V3D Asiaは、自社で開発したガントリー式3D建設プリンターと、工事に関する技術的な知識を提供しました。

  • 中澤建設は、雲南市で長年培ってきた現場での工事を行う力と、地域の建設に関する知識を活かし、実証を行う場所の準備や工事面で協力しました。

  • 雲南生コンは、地域の生コンを供給する会社として、モルタルの供給と材料に関する知識を提供しました。

3Dプリンティング建築は、プリンター単体では実際に建築現場で使うことはできません。材料、工事、現場の管理、そして地域の供給網がうまくつながって初めて、実際の建設現場で役立つ技術になります。今回の実証は、地域の既存インフラと3Dプリンティング建築を結びつける、良い例となるものです。

各社のコメント

V3D Asia 株式会社 代表取締役 淺見 潤 氏は、「島根県雲南市でモルタルを使った3Dプリンティング建築の実証に成功できたことを大変嬉しく思います。3Dプリンティング建築を広めるためには、プリンターの技術だけでなく、材料の供給や現場での作業をいかに簡単にするかが大切です。既存の生コン工場や物流の仕組みを活用できる可能性が見えたことは、3Dプリンティング建築が社会で使われるようになるために大きな意味があります。中澤建設様、雲南生コン様との協力により、地域の建設会社や材料供給会社と一緒に3Dプリンティング建築を広げていく方法を示せたと思います。」と述べています。

株式会社中澤建設は、「地域の建設現場では、人手不足や職人のなり手不足が年々大きな課題になっています。今回の実証では、V3D Asia様の3Dプリンター技術と、地域の工事現場で培ってきた当社の知識を組み合わせることで、新しい建設の可能性を確認できました。3Dプリンティング建築は、人の仕事をただ置き換える技術ではなく、地域の建設現場を支え、職人の力をより活かすための技術になり得ると感じています。今後も、地域に根ざした建設会社として、新しい技術が社会で使われることに貢献していきます。」とコメントしています。

株式会社雲南共同生コン生産会社は、「当社が毎日供給しているモルタルが、3Dプリンティング建築という新しい工事技術に役立つ可能性を確認できたことは、大変意味のある取り組みだと感じています。既存の生コン工場や物流の仕組みを活かしながら新しい建設技術に貢献できれば、地域の材料供給会社にとっても新しい役割が生まれます。今後も、品質管理と安定した供給の知識を活かし、3Dプリンティング建築の実用化に協力していきます。」とコメントしています。

今後の展開

V3D Asia、中澤建設、雲南生コンの3社は、今回の実証で得られた工事のデータ、材料供給に関する知識、現場での作業上の課題を整理し、日本国内で3Dプリンティング建築を実用化するための検証を続けていきます。

今後は、モルタルを使った工事の条件を最も良い状態にすること、プリンターの制御と材料の特性を調整すること、地域の建設会社との協力モデルを作ることなどを進める予定です。

V3D Asiaは、「Tech for Good, Built for All」(すべての人々のための技術、すべての人々のための建築)という考えのもと、既存の建設インフラと最先端の技術を結びつけ、日本およびアジア太平洋地域で3Dプリンティング建築が広く使われるように推進していく方針です。

会社概要

V3D Asia 株式会社

  • 設立: 2022年6月7日

  • 代表者: 代表取締役 淺見 潤

  • 所在地: 東京都千代田区霞ヶ関1-4-1 日土地ビルSENQ

  • 事業内容: 3D建設プリンターの開発・提供、建設添加剤の開発、3Dプリント建設サービス

  • URL: https://v3d.asia/

株式会社中澤建設

  • 創業: 1965年(昭和40年)4月

  • 代表者: 代表取締役 中澤 豊和

  • 所在地: 島根県雲南市掛合町掛合2429番地2

  • 資本金: 8,800万円

  • 事業内容: 総合建設業(土木・建築・注文住宅・リフォーム・リノベーション)

  • URL: https://nakazawa-ken.jp/

株式会社雲南共同生コン生産会社

  • 所在地: 島根県雲南市木次町里方1093-17

  • 代表者: 代表取締役社長 都間 正隆

  • 執行役員: 工場長 湯立 公司

  • 事業内容: 生コンクリートの製造販売・供給

  • URL: https://uknamacon.com/

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