田植え機ゼロでスマート農業、ドローン活用で耕作放棄地を再生へ

ドローンで耕作放棄地を再生、田植え機ゼロのスマート農業が初収穫へ

岡山県西粟倉村の合同会社misoraは、田植え機を持たず、ドローンを使ったスマート農業で16枚の耕作放棄地(合計1.3ヘクタール)での稲作を再開しました。2026年9月中旬には、この新たな挑戦による初の収穫が予定されています。

ドローンによる農業支援

中山間地域の農業が直面する課題

西粟倉村は、村の約95%が森林という中山間地域です。平地が少なく、一枚一枚の田んぼは、先人たちが時間をかけて開拓してきた貴重な場所です。しかし、中山間地域では高齢化や後継者不足が進み、耕作放棄地が増える傾向にあります。傾斜地が多いため、大型の農業機械の導入や区画整理が難しいことも、農業を続ける上での大きな壁となっています。

耕作放棄地が増えると、鳥獣害や病虫害、土砂崩れのリスクも高まります。合同会社misoraの代表社員である白籏ちえみ氏は、このような現状を目の当たりにしてきました。多くの農家が年金に支えられながら米作りを続けており、「後継ぎがいない」「体力的に厳しい」「機械の更新費用が出せない」といった声は、この地域に限らず広く聞かれます。

「昭和の農業」から新しい農業へ

白籏氏は「昭和からの景観を守るために、昭和の農業を終わらせる」という言葉に、農家が一人で抱えてきた負担を次の世代に引き継ぎたくないという強い思いを込めています。家族が赤字を埋め、長時間労働を背負い、機械が壊れたら続けられなくなる、そんな仕組みを変えたいと考えています。

misoraは、農業支援を掲げるだけでなく、自ら耕作放棄地16枚を含む計17枚(1.3ヘクタール)の田んぼを作付けし、稲作を本格化しています。鹿による食害も実際に経験するなど、収穫まで稲を守り育てる大変さを自ら体験することで、農家への提案の信頼性を高めています。

ドローン技術で実現するスマート農業

misoraが導入したのは、農業用ドローン「DJI AGRAS T25P」です。このドローンの自動航行を支えているのが、測量用ドローン「DJI Matrice 30T」による高精度なRTK測量データです。この測量データをT25Pに取り込むことで、設定した経路を完全自動航行しながら、種もみを直接まく「直播(ちょくは)」や、肥料・農薬の散布を行っています。

この方法の大きな特徴は、田植え機という設備投資やそれに伴う労働・維持費が不要になることです。区画整理や大型機械の導入を前提としないため、中山間地域の小さく不整形な田んぼにも適用できます。

misoraは自社の稲作だけでなく、地域約80軒の農家の散布作業も支援しており、2026年度の請負面積は延べ250ヘクタールに達します。その9割以上で完全自動航行による散布が実施されています。

異業種との連携と未来への展望

misoraの取り組みは、同社一社に留まりません。パートナー企業である佐藤建設株式会社(岡山県勝田郡勝央町)の農業事業部でも、約0.4ヘクタールの農地再生を支援しています。建設業という異なる分野からも、中山間地域のスマート農業への参入が始まっています。

2026年9月中旬に予定されている自社米の収穫は、16枚の耕作放棄地を再開したmisoraの取り組みにとって、大きな節目となります。白籏氏が目指すのは、次の世代に田んぼの景色と、そこで農業を続けられる方法を手渡すことです。田植え機がなくても米が作れること、後継者がいなくても田んぼを残せることを、misoraは自ら実践し、地域の農家を支えながら証明し続けていくとしています。

同じ不安を抱える岡山県内の農家の方は、下記へお問い合わせください。

出典

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