中堅中小企業のIT投資、AIが初のトップに!デル・テクノロジーズが2026年動向調査を発表
はじめに
デル・テクノロジーズは、日本の中堅中小企業におけるIT投資の現状と課題を明らかにするため、「中堅中小企業向けIT投資動向調査2026」の結果を発表しました。この調査は、変化の激しいIT市場で企業がどのようなIT戦略を立てているのかを毎年調べており、今回で10回目となります。特に、生成AIの急速な普及や、Windows 11への移行、サイバー攻撃への対策など、注目されるテーマに焦点を当てています。
業績とIT予算の回復、IT担当者の変化
調査によると、業績が好調な企業は41%に増加し、IT予算を増やす企業も35.6%と、コロナ禍以降で最も高い水準に回復しました。業績好調な企業は、そうでない企業に比べてIT投資額が約1.5~2倍と大きく、ITと人材への先行投資の傾向が見られます。
IT担当者の働き方では、PC運用などの基本的な業務にかかる時間は変わらない企業が多い一方、生成AIの開発や情報戦略の策定といった「攻めのIT」分野で勤務時間が増加していることがわかりました。

IT投資額全体はわずかに減少しましたが、サーバー、ストレージ、バックアップといったインフラへの投資は、いずれも2桁の増加を見せています。既存システムの運用にかかる時間は5.1%減少しており、代わりにAI活用を含む情報戦略の策定やシステム開発・導入の時間が伸びています。


IT基盤の保守運用を外部に任せる企業は46%に上り、純粋にサーバーやネットワーク基盤の運用・管理を外部委託する企業は23%を占めます。
ハードウェア投資とインフラ基盤の動向
メモリやSSDの価格が高騰する中でも、PCの刷新については約66%の企業が「予定通り」または「前倒し」で進めています。しかし、高額なサーバー投資については3割以上の企業が「保留」と回答しており、慎重な姿勢が見られます。

Windows 11への移行は7割近くの企業で完了していますが、約3割の企業では「一部のみ」または「これから」となっており、古いOSを使い続けるリスクを抱えたPCが残っています。PCの更新サイクルが「5年以上」という企業が半数以上を占め、性能不足やセキュリティ上の問題が長引く懸念があります。

ITインフラの基盤としては、「オンプレミス中心」が51.8%、「ハイブリッド(オンプレミス+クラウド)」が23.6%と、これらを合わせると依然として多数派です。特定の仮想化ソフトウェアに関する問題などを背景に、仮想環境から別の次世代アーキテクチャへの移行を検討する動きが加速しています。

サイバーセキュリティとデータ保護の現状
この半年間で、約6社に1社(16.2%)が何らかのセキュリティ事故を経験しています。被害の内容としては、フィッシング詐欺、ランサムウェア、不正ログインが上位を占めています。


ランサムウェアの被害からの復旧にかかる期間は1か月以内が中心で、復旧費用は100万円未満が半数以上を占めます。メールやウェブサイト、VPNを介した侵入が大きなリスクとなっています。

ランサムウェア対策として最も重視されているのは「バックアップ」(61.2%)ですが、実際にデータを確実に復旧できる自信がある企業は約4割にとどまっており、実際の備えと自信の間にギャップがあることがうかがえます。


セキュリティ対策の課題としては、「ポリシーが整備されていない」「パスワードルールがない」といった基本的な整備不足は減少傾向にあります。しかし、「どこまで対策ができているか分からない」「最新の脅威情報が手に入らない」「パッチ適用や脆弱性対応が追いつかない」といった、運用や継続的な改善に関する課題が目立つようになっています。

ゼロトラスト関連技術(SASE/ZTNAやIAMなど)を導入している企業でも、セキュリティ被害が必ずしも減っているわけではありません。これは、ツールを導入するだけでなく、運用ルールをしっかり作り、従業員への教育を行うことが成功の鍵であることを示しています。

クラウド・SaaS活用の広がりとDXの現状
IaaS(インフラをサービスとして利用)の普及率は約39%で伸び悩む一方、オンラインストレージは半数以上の企業で本格的に利用されています。

IaaSの利用用途としては、グループウェアやファイル管理、バックオフィス業務が中心です。しかし、受発注や生産、在庫管理といった会社の基幹システムをクラウドに移行する動きはまだ限定的です。利用されているサービスでは、AWSとMicrosoft Azureが圧倒的に多く、事実上この2つが主要な選択肢となっています。

オンラインストレージは52.8%の企業が「ほぼ全て」「半分くらい」「ややある」と回答し、本格的な利用が進んでいます。しかし、約2割の企業はまだ利用しておらず、導入状況に差があることがわかります。

クラウドバックアップの利用はまだ3割強にとどまり、未利用の企業が4割を超えています。バックアップ自体は広く行われていますが、クラウドを使った「オフサイト・バックアップ」や「災害対策」まで進めている企業はまだ多くありません。

グループウェアとAIサービスの関連性を見ると、Microsoft 365を使っている企業では「Copilot for Microsoft 365」が、Google Workspaceを使っている企業では「Gemini」が第一候補となる傾向があります。しかし、複数のAIサービスを組み合わせて使う企業も多いことが示されています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進については、約9割の企業でIT部門が中心となって進めています。人材確保は、自社での育成と外部との連携を組み合わせるハイブリッド型が主流です。

DXの取り組みは、ワークフローの電子化など「電子化・見える化」が主な内容です。しかし、約半数の企業が自身のDXの進み具合を「進んでいない・遅れている」と評価しています。

AIや生成AIへの投資は本格化しており、2026年には100万円以上の投資を予定する企業が68.1%に達し、主要な投資対象となっています。

AI PCの活用はまだ一部に限られていますが、2026年は「AI PCの実験段階」から「用途が明確な業種での本格的な活用」へと移る転換期と見られます。AI投資全体の増加に伴い、AI PCへのニーズも広がっていくでしょう。

モダンインフラの兆し
ワークロードの構成を見ると、全体では「物理中心」が約6割を占めていますが、従業員500名以上の企業では「仮想」や「コンテナ」といった「非物理中心」が約6割に達しています。

データセンターを利用する企業の約6割が何らかの課題を抱えています。特に従業員規模が大きい企業では、「運用コスト」と「人材・スキル不足」が大きな問題となっています。

GPUサーバーの導入はまだ全体の1割未満と少数派です。しかし、導入している企業では、AIの学習や推論、VDI(仮想デスクトップ)など、様々な用途で使われています。AI PCやモジュラーデータセンターと組み合わせて使うハイブリッドな構成を目指す動きも見られます。

調査結果のまとめ
今回の調査から、中堅中小企業のIT投資にはいくつかの重要な変化が見られます。
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AI投資の標準化: AIや生成AIへの投資が、初めて最も重要な投資項目となりました。AIを使わない企業は少数派になりつつあり、会社全体でAIを活用する時代が近づいています。
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モダンインフラへの回帰: オンプレミスとハイブリッドクラウドがITインフラの中心であり続けています。仮想環境の再構築など、様々なハイパーバイザー(仮想化ソフトウェア)を検討する動きが加速しています。
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PC刷新と価格高騰: メモリやSSDの価格が高騰する中でも、PCの刷新は進められています。一方で、古いシステムを使い続ける企業は投資を先送りする傾向があります。
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セキュリティとBCP(事業継続計画)の進化: セキュリティ事故を経験する企業が多く、バックアップへの依存度が高まっています。データの安全な保管方法や、ゼロトラスト(何も信頼しない)の考え方に基づいたセキュリティ整備の格差が広がっています。
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経営主導のIT戦略: IT人材、インフラ、セキュリティ、AIが企業の成長を妨げる要因になりつつあります。経営陣がITの将来計画を主導し、戦略的に進めることが求められています。
この調査結果は、中堅中小企業がこれからのビジネス環境で成長していくために、IT戦略をどのように考え、実行すべきかを示唆しています。


