AIが解明!アルミニウム合金の「サビにくさ」の秘密を芝浦工業大学が発見
AIがアルミニウム合金の防食メカニズムを解明
芝浦工業大学工学部の石崎貴裕教授の研究グループは、独自技術である蒸気コーティング法で作られる保護皮膜(ベーマイト皮膜)について、何が「サビにくさ」を決めているのかをAIを使って明らかにしました。
これまで、製造条件とサビにくさを結びつける研究はありましたが、皮膜そのものの物理的な特徴からサビにくさを予測し、その理由まで説明できる手法は今回が初めてです。これにより、新しい材料を開発する際の試作コストや期間を大きく減らせる可能性があります。

4つの物理的特徴からサビにくさを予測
研究グループは、以下の4つの物理的な特徴(物理記述子)をAIに学習させました。
-
皮膜の厚さ(膜厚)
-
表面の凹凸(表面粗さ)
-
結晶子サイズ
-
基板の欠陥密度
これらの特徴をもとに、AI(ランダムフォレスト)を用いてサビにくさ(孔食電位)を予測するモデルを構築したところ、従来の製造条件ベースのモデルを上回る精度を実現しました。

「形態的レジームシフト」の発見
解析を進める中で、表面の凹凸(表面粗さ)が、膜の厚さによってその役割を大きく変えるという不思議な現象が見つかりました。研究グループはこの現象を「形態的レジームシフト」と名付けています。
具体的には、膜の厚さが約2,200 nmを境界として、以下のように役割が切り替わることが分かりました。
-
膜が薄い場合(約2,200 nm未満): 表面の粗さが「サビを防ぐ被覆効果」として働きます。
-
膜が厚い場合(約2,200 nm以上): 逆に、表面の粗さが「腐食因子の侵入経路」となってしまいます。
この発見により、単純に膜を厚くすれば良いというわけではなく、表面の凹凸との組み合わせが重要であることが明らかになりました。
今後の展望
今回の手法は、製造装置や生産規模が変わっても通用する普遍的な設計指針となります。今後、アルミニウム合金だけでなく、マグネシウム合金や燃料電池など、複雑な構造を持つ多様な材料の開発にも応用されることが期待されています。
本研究成果は、2026年8月18日に『npj Materials Degradation』誌(オンライン)に掲載されました。

