外壁のひび割れなどをAIが自動検出するシステム「INKARA」の試用版が10月より無償提供

株式会社コンステックは、建築物の外壁調査を効率化する目視調査支援システム「INKARA」の試用版を、2026年10月1日より6か月間、無償で提供開始します。

「INKARA」は、撮影した外壁写真からAIがひび割れや鉄筋露出などの変状箇所を自動で検出するシステムです。ある商業施設での検証では、従来の調査方法と比べて作業時間を約87%、調査費用を約84%削減できることが確認されました。正式なサービス提供に先立ち、様々な環境での検証とサービス改善のため、試用版が提供されます。

INKARAの概要

INKARA(Inspection by Neural-network for Key-feature Annotation & Recognition Assistance)は、塗装仕上げの外壁を対象に、写真から変状箇所をAIが自動で検出することで、専門技術者の負担を減らすことを目指したシステムです。

AIが検出した結果を技術者が確認・修正する形で利用することを想定しており、劣化図を.dxf形式、数量データを.csv形式で出力できます。これにより、ナンバリングのずれや集計ミスを防ぐことが期待されます。

必要なパソコンの性能は、CPUがIntel Core i5以上、メモリが16GB以上(32GB以上が推奨)、ストレージが512GB以上のSSDです。全ての処理は利用者のパソコン上で行われるため、外部サーバーにデータを送ることなく、安全な環境で利用できます。

建物診断ソフトウェアのUIとワークフローを示す画像

目視調査フローの変化

現在の建築物外壁調査では、ひび割れや鉄筋露出といった変状の確認は人が目視で行われています。変状の位置や範囲を測り、図面に手書きで記録した後、事務所でCADデータとして清書する必要があります。

高所の確認には高所作業車やロープアクセスが使われますが、作業員の安全確保や筆記用具などの落下防止に配慮が必要で、作業環境が複雑になることがあります。労働人口が減少する中で、外壁調査業務の効率化や省人化は重要な課題です。INKARAは、このような課題に対し、画像とAIを活用することで、目視調査の効率化、省人化、労働環境の改善を目指して開発されました。

建物の外壁調査における従来の手法と、INKARAシステムを用いたAI活用による半自動化された調査フローを比較

有効性の検証結果

竣工から35年が経過した鉄筋コンクリート造4階建ての商業施設で、「INKARA」の有効性が検証されました。南面外壁(幅90m×高さ16m程度)を対象に、従来の近接目視による調査(従来手法)と「INKARA」を活用した調査(開発手法)の作業フローが比較されました。

その結果、以下のような効果が確認されています。

  • 作業時間の比較

    従来手法と開発手法の作業時間を比較した棒グラフ

    作業時間が従来手法の35.4時間から開発手法の4.5時間へと、約87%削減されました。

  • 調査費用の比較

    調査費用の比較を示す棒グラフ

    調査費用が従来手法の88万円から開発手法の14万円へと、約84%削減されました(報告書作成、諸経費等は除く)。

  • 評価指標F値の比較

    評価指標F値における従来手法と開発手法の比較を示す棒グラフ

    評価指標F値は、検出された箇所が正解であった割合と、正解を取りこぼさず検出できた割合を組み合わせた数値で、1に近いほど精度が高いことを示します。開発手法では0.9に近い値となり、目視調査を支援する手法として実用可能な精度が確認されました。

開発および運用体制

「INKARA」は、地方独立行政法人北海道立総合研究機構北方建築総合研究所の重点研究「AIを活用したRC造建築物外壁調査・診断等の支援技術の開発(令和5~7年度)」によって構築されました。株式会社コンステックは、この研究に共同研究者として参加しています。

「INKARA」に関する保守管理、販売、サポートは、株式会社コンステックが一元的に行います。

試用版の無償提供

試用版は、2026年10月1日より申し込み受付と提供が開始されます。正式なサービス提供に先立ち、主要な機能を無料で試すことができます。導入を検討している企業や団体は、実際の業務や利用環境で操作性や適合性を確認できます。開発チームによる検証に加え、様々な利用環境での実際の使用感やニーズを把握することで、より実用性の高い製品を目指していくとのことです。

正式版の提供時期、料金、機能については、現時点では未定です。なお、「INKARA」という名称は現在の仮称であり、今後変更される可能性があります。

株式会社コンステックについて

コンステックは1969年(昭和44年)の創業以来、鉄骨・コンクリート建造物の調査・診断から補修・補強工事までを一貫して手がけ、既存建築物の長寿命化分野で事業を展開しています。安全・安心で持続可能な社会環境の提供に努めています。

事業内容

  • 鉄筋コンクリート及び鉄骨建築物の調査・診断

  • 鉄筋コンクリート及び鉄骨建築物の補修・改修補強工事

  • 鉄筋コンクリート及び鉄骨建築物の耐震診断・耐震補強工事

  • 土木構造物の調査・診断

  • 土木構造物の補修・補強工事

  • アスベスト処理及びダイオキシン除去工事

  • 歴史的構造物の補修・補強工事

  • その他関連するコンサルタント業務及び工事

問い合わせ先

株式会社コンステック INKARA問合せ窓口
support-desk@cons-hd.co.jp

※プレスリリースに記載されている情報は、発表時のものです。

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