ドローン「ELIOS 3」が屋内インフラ点検を完全自動化へ、ブルーイノベーションが新機能を提供
ドローン「ELIOS 3」が屋内インフラ点検を完全自動化へ
ブルーイノベーション株式会社は、屋内点検用ドローン「ELIOS 3(エリオス スリー)」に、点検業務を完全に自動化する「リピートフライト機能」とクラウド連携機能の提供を開始しました。
この新しい機能は、老朽化が進む発電所や下水道、各種プラント設備などの屋内インフラ点検において、作業の高度化と人手不足の解消という社会的な課題に対応するものです。

点検の課題:手動操縦の難しさと「定点観測」の限界
近年、老朽化したインフラ設備の内部点検にドローンを活用するニーズが高まっています。しかし、GPSが届かない屋内や狭い場所でのドローン操縦は難しく、専門のパイロットを育てることや確保することが難しいという問題がありました。
さらに、設備の劣化状況を継続的に確認する定期点検では、前回と全く同じ場所や角度で撮影することが重要です。手動での操縦では、毎回同じように撮影することが難しく、わずかなサビやひび割れなどの変化を正確に見比べるのが困難でした。
新機能による3つの解決策
今回のアップデートにより、「ELIOS 3」はこれらの課題を解決し、点検業務の自動化と効率化を大きく進めます。
1. 点検の質を一定にする「リピートフライト機能」
この機能は、単にドローンを自動で飛ばすだけでなく、点検の質を常に一定に保つことを可能にします。
最初に手動で飛行させて点検ルートを記録すると、次回からはそのルートをドローンが自動で飛行します。飛行ルートだけでなく、飛行速度やカメラの向き、画角、明るさ、ライトの強さなども記録されるため、毎回同じ条件で設備を点検できます。この「完全に同じ条件で再現できる」という特徴は、サビやひび割れといった時間の経過による劣化をより正確に見つけ出し、事前に修理する「予防保全」の精度を高めることにつながります。
また、自動飛行中に障害物を検知すると避ける機能や、必要に応じて手動操縦に切り替える機能も備わっており、安全性にも配慮されています。
最初のルート設定を経験豊富なパイロットが行えば、2回目以降は操縦経験が少ない現場の担当者でも、ボタン一つで同じ質のデータを取得できます。これにより、「特定の人しかできなかった作業」が「誰がやっても同じ質の点検」へと変わり、点検業務が特定の人に頼る状況をなくします。

2. 異常を分かりやすくする「カラー点群化機能」
「ELIOS 3」に搭載されたセンサーが取得した3Dの点群データに、カメラで撮影した映像の色情報を加えることで、「カラー点群」として表示できるようになります。これにより、これまでの点群データでは分かりにくかった設備の腐食や汚れなどを、目で見てすぐに把握しやすくなります。点検結果の分析や報告書の作成がより効率的になります。

3. データをみんなで共有・活用する「Inspector Online」
「ELIOS 3」で取得した点検データを、インターネット上のクラウドでまとめて管理できる「Inspector Online」に対応しました。現場で撮影したデータをチーム内や遠く離れた拠点とすぐに共有できます。これにより、点検データを「記録するだけの作業」から「会社の経営判断に役立つデータ」として活用できるようになります。

ELIOS 3について
「ELIOS 3」は、スイスのFlyability社が開発した、GPSが使えない屋内空間などでも安定して飛行できるドローン「ELIOS」シリーズの最新機種です。世界で初めて3Dマッピング用のLiDARセンサーを搭載し、点検対象の施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、ドローンの正確な位置を特定できます。

最新のSLAM技術により、操作性や安定性も大きく向上し、操縦者の負担を減らし、飛行時間を短くすることに成功しています。ブルーイノベーションは2018年にFlyability社と日本での独占販売契約を結び、「ELIOS」シリーズを使った屋内点検ソリューションを提供してきました。2025年時点では、国内のプラントや発電所、下水道など400ヶ所以上で「ELIOS」シリーズが導入され、屋内点検のデジタル変革(DX)をリードしています。
安全上の注意
リピートフライト機能による自動飛行は、手動飛行時にLiDARで記録した周辺環境の3Dマップをもとに飛行します。そのため、手動飛行時にはなかったガラスなどの透明な物体や、細いワイヤーといったLiDARで検知しにくい障害物が飛行ルート上にある場合、ドローンがそれらに接触する可能性があります。
「ELIOS 3」は障害物に接触しても姿勢を保ち、回避しようとするなど、安全性に配慮した設計がされていますが、自動飛行中であっても、操縦者は常に飛行状況を注意深く監視し、安全を確認しながら運用する必要があります。
今後の展望
ブルーイノベーション株式会社の代表取締役社長である熊田 貴之氏は、今回の進化について、「『ドローンを使う』段階から『ドローンに任せる』段階への転換です。これまで人に頼っていた点検業務を、自動化されたインフラ運用へと進化させるものです」とコメントしています。また、「点検現場における“人への依存構造”を変革し、データに基づいた持続可能なインフラ管理の実現に貢献していきます。この技術は、下水道やプラントをはじめとした社会インフラのDXを加速させる基盤になると確信しています」と述べています。
なお、この新機能の活用イメージは、2026年6月3日より幕張メッセで開催される「Japan Drone 2026」にて紹介される予定です。
ブルーイノベーション株式会社について
ブルーイノベーション株式会社は、1999年6月に設立されました。独自の統合プラットフォーム「Blue Earth Platform®(BEP)」を使い、ドローンやロボットを活用した点検、防災、教育、物流の分野でソリューションを開発・提供しています。老朽化するインフラの維持管理、災害対応、人手不足への対応など、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。
ウェブサイト: https://www.blue-i.co.jp/
Flyability SAについて
スイスのドローンメーカーであるFlyability SAは、危険な作業を人間が行う必要をなくすことに力を入れています。同社の高度なドローンとソフトウェアは、石油・ガス、海運、化学、セメント、鉱業、上下水道、原子力など、さまざまな産業で、より安全で迅速、かつ費用対効果の高い点検を可能にしています。
ウェブサイト: https://www.flyability.com/ja/


