富士通と中国電力ネットワーク、再生可能エネルギー導入拡大と送電設備保全を高度化する新サービス提供へ
富士通株式会社と中国電力ネットワーク株式会社は、再生可能エネルギーの導入を増やし、ドローンを使った送電設備の管理をより高度にするための知的財産ライセンス契約を2026年4月15日に結びました。
この契約により、富士通は中国電力ネットワークの技術を使い、再生可能エネルギーを安全に、そして最大限に送電網へつなぎ、活用するための「送電網高度運用・保全支援サービス」を全国の電力会社向けに提供開始します。
背景:電力網が抱える課題
再生可能エネルギーの導入が進む中で、電力会社は、電気を安定して供給しながら、今ある送電設備を最大限に活用することに取り組んでいます。送電できる電気の量は、気温や風の強さといった周りの環境によって変わります。そのため、これまでは、最も悪い条件でも安全に送電できるよう、送れる電気の量を少なめに設定して運用されてきました。
こうした状況の中、環境条件に合わせて送電できる電気の量を変えて運用する「ダイナミックレーティング技術」は、既存の設備を活かしながら送電容量を有効に使う技術として注目されています。
また、送電設備の巡回や点検といった保全業務は、働く人が減っているため、これまでの人手に頼る方法では、将来的に課題が出てくるかもしれません。この課題に対応するため、デジタル技術やドローンを使って、効率的かつ正確に設備の状況を把握する取り組みが進められています。
富士通はこれまで、送電線に光ファイバーを取り付けて、1台の測定器で送電線全体の振動データを集めて分析する技術や、データを管理・AI分析する技術を開発してきました。富士通と中国電力ネットワークは、これらの技術を電力会社の実際の運用で使えるようにするため、2021年9月から実証試験を通じて、再生可能エネルギーの導入拡大や送電設備の保全業務の高度化について検証を重ねてきました。
実証試験に関する情報: 2021年9月1日から2022年9月30日までの期間で中国電力ネットワークと富士通が実施した実証試験
サービスの概要
この新しいサービスは、中国電力ネットワークが実証試験や実際の運用で培ってきたダイナミックレーティング技術や送電設備の運用・保全に関する知識と、富士通の光ファイバーセンシング、データ分析、AI技術を組み合わせたものです。
送電線に設置された光ファイバーから振動データを取得し、この振動データを変換して得られる送電線周辺の風の状況などの環境データをもとに、その時々の設備の状態に応じた送電できる電気の量を計算します。さらに、取得したデータをAIで学習・予測させることで、送電線周辺の風の状況や送電できる電気の量を将来的に予測することが可能となります。これらのデータ取得・変換・予測の機能が、本サービスの基本的な機能として提供されます。

また、基本的な機能で得られたデータを活用し、電力会社の業務や課題に応じた支援も可能です。具体的には、再生可能エネルギーの発電量が抑えられるのを減らし、発電した電気を有効に使うためのダイナミックレーティング技術の適用に向けた運用設計やシステム構築を支援します。さらに、送電線周辺の風のデータは、ドローンの飛行が可能か判断したり、風の状況を考慮した飛行ルートを選んだりするのに役立ちます。振動データから設備の状況を把握することで、これまで人手に頼ってきた保全業務を減らし、より高度にすることができます。
富士通は、このサービスを、社会課題の解決を目指す事業モデル「Uvance」の「AI Technologies and Solutions」の一つとして、電力会社に提供します。
今後の展望
富士通は今後、生成AIの活用も含めて本サービスを継続的に強化し、点検から修理計画の策定に至る保全業務全体の高度化を実現することで、国内外の電力インフラのデジタル化を加速させることに貢献していきます。また、「Uvance」のもと、データとAIによって社会インフラを高度にし、持続可能で災害に強い社会へと進んでいくでしょう。
中国電力ネットワークは、実際の運用を通じて技術をさらに磨き、知識を蓄積することで、再生可能エネルギーの導入拡大と設備保全業務の高度化をリードしていく方針です。


