建設会社とAI企業が語る「AIインフラは誰がつくるのか」
AIを社会の基盤として捉える対談
建設会社の株式会社橋本組とAI企業のAI inside株式会社は、「AIを社会インフラとして捉えること」をテーマに、両社の代表者による対談を実施しました。この対談では、AIが単なる業務効率化の道具にとどまるのか、それとも電気や道路のように社会を支える大切な基盤へと進化していくのかが議論されました。

なぜ建設会社がAIを語るのか
橋本組の橋本真典CEOは、「建設会社がAIについて語るのは意外に思われるかもしれません」と前置きしつつ、次のように説明しました。橋本組が扱う道路や橋、建物といった「形のある社会資本」だけでなく、地盤や水道、電気、そしてそれらの運用方法まで含めて初めて「社会インフラ」になるといいます。普段は意識されなくても、なくなると社会が機能しなくなるものがインフラであり、完成した瞬間だけでなく、何十年、時には100年にわたって使われ続けることが前提です。この視点に立つと、AIもまた「便利だから使うもの」ではなく、止まったときに社会が困る存在、つまりインフラとして捉え直す必要があると述べられました。
社会共通資本という視点
対談では、「社会共通資本」という考え方にも話が及びました。これは、道路や建物だけでなく、金融、教育、制度といった分野も、社会を支える基盤であるという考え方です。橋本CEOは「金融システムが止まったら、生活は成り立ちません。インフラとは、形があるかどうかではなく、社会にとって不可欠かどうかだと思っています」と語りました。
AI insideの渡久地択CEOもこの考えに同意し、「AIも、便利なツールとして使われている間はインフラではありません。ただ、止まったら社会が回らなくなる段階に入ったとき、初めてインフラになると思います」と述べました。AIが本当に社会共通資本になり得るのか、この問いが対談全体の中心となりました。

建設とAI、決定的に違う「時間軸」をどうつなぐか
建設業とAI産業の大きな違いの一つは、時間の長さです。建物は何十年、場合によっては100年使われるのに対し、AIやその技術は数年で古くなるのが現状です。しかし、渡久地CEOは「大規模AIを動かすと、結局は電力や半導体、データセンターの話になる」と指摘します。橋本CEOも、データセンター建設に関わる現場感覚を交えながら、今のデータセンターが大量の電力を消費するものの、この分野でのイノベーションは起きると考えています。重要なのは、その中身を支える考え方や思想が、インフラとして長く使えるものかどうかだと述べました。変化の速いAIと、長期的な視点で設計されるインフラ。この二つをどう結びつけるかが、今まさに問われています。
現場から始まったAI導入:橋本組の実践
橋本組におけるAI活用は、単に流行としてのDXを取り入れるのではなく、建設現場の具体的な課題を解決するところから始まりました。例えば、大阪・関西万博の建設現場では、外国語で書かれた図面が理解できないという問題が発生しました。そこで、図面をPDF化して生成AIに読み込ませ、翻訳と内容整理を行いました。
その結果、従来1週間程度かかっていた作業が約15分に短縮され、現場の業務負担を大幅に軽減することができました。橋本CEOは、「人がやらなくてもいい仕事をAIに任せる。その分、人は本来やるべき仕事に集中できる」と語っています。

焼津モデル:AIを「地域の基盤」へ
対談の後半では、橋本組が構想する「焼津モデル」についても話が及びました。これは、自社で培ったAI活用の知識や仕組みを、将来的に地域の企業と共有していくことを視野に入れた考え方です。橋本CEOは「AIを企業の効率化で終わらせず、地域の仕組みにしていきたい」と述べ、AIを地域インフラの一部として捉える視点が示されました。
結論:AIインフラは誰がつくるのか
対談の最後に投げかけられた「AIインフラは誰がつくるのか」という問いに対し、両者の答えは重なりました。橋本CEOは「作らされるものではなく、自分たちでつくったものがインフラになる」と述べ、渡久地CEOも「他者と協力しながらも、魂を入れて自分たちでつくることが大事だと思います」と語りました。
この建設会社とAI企業の対話から導かれたのは、AIインフラは「自分たちでつくるもの」であるという共通認識でした。

株式会社橋本組について
株式会社橋本組は、静岡県焼津市に本社を置く総合建設会社です。道路・港湾・建築など地域インフラを担いながら、IT・AI活用にも積極的に取り組む「先進のDX活用地方ゼネコン」として知られています。
企業サイト: https://www.hashimotogumi.co.jp/
関連リンク
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AI inside株式会社: https://inside.ai/
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対談の詳細記事: https://www.hashimotogumi.co.jp/news/2026/04/13/12561/


