大本組とアクティオ、ニューマチックケーソン工法の「排土設備自動化技術」を開発

建設現場の効率と安全を向上する新技術

総合建設機械レンタルを行う株式会社アクティオと、株式会社大本組が協力し、建設現場で使われる「ニューマチックケーソン工法」における土を運び出す作業を自動化するシステムを開発しました。

この新しい技術は、建設業界で問題となっている人手不足や、熟練した技術を受け継ぐことの難しさを解決するために作られました。実際に使ってみた結果、手作業と比べて作業にかかる時間が約11%短くなり、工事の効率が上がるだけでなく、作業の安全も高まることが確認されています。

排土設備の自動化技術の概要

ニューマチックケーソン工法とは

ニューマチックケーソン工法は、橋や建物の基礎、地下の構造物を作る際によく使われる方法です。「Pneumatic(ニューマチック)」は空気、「caisson(ケーソン)」は箱という意味で、地上で作った箱のような構造物(躯体)の底にある部屋に圧縮した空気を送り込みます。これにより、地下水が入ってくるのを防ぎながら地面を掘り進め、目的の深さまで構造物を設置します。

この工法は、とても深い場所や水圧が高い場所でも正確に工事を進められるという良い点があります。しかし、作業環境が厳しく、特に掘り出した土を運び出す作業は大変でした。土を運び出すクレーンの操作、マテリアルロック(※1)という設備の扉の開け閉め、そして空気の圧力を細かく調整する作業には、それぞれ熟練した専門の操作員が必要でした。

※1 マテリアルロックとは、ケーソン内で掘り出した土砂を地上へ排出するための設備です。

自動化技術の特長

アクティオと大本組は、それぞれの会社が持つ技術を合わせて、この排土作業の自動化に取り組みました。この技術を導入することで、高い場所での作業員の立ち入りを最小限に抑え、安全性が向上します。また、排土作業を自動化することで、必要な作業員の数を減らし、作業の負担を軽くすることができます。さらに、操作のばらつきがなくなり、工事の品質も安定することが期待されています。

1. 高度な位置自動検出と補正

排土用のクレーンとマテリアルロックには、たくさんのセンサー(回転エンコーダ、ロードセル、位置計測カメラなど)が取り付けられています。これらのセンサーが、クレーンのたわみやワイヤーの伸び縮み、ケーソンの傾きによる「ズレ」をリアルタイムで測り、自動で修正します。これにより、正確に土の運び出しや運び入れができるようになりました。

排土用クレーンとマテリアルロックのシステム構成図

2. 荷振れ防止制御による安定稼働

吊り下げた荷物が揺れるのを防ぐ「荷振れ防止インバーター」が採用されています。これにより、吊り荷の揺れを約95%も減らすことができました。マテリアルロックの中の狭い範囲(中心から±20cm以内)に、揺れることなくスムーズに自動で停止し、荷物を運び入れることが可能になりました。

荷振れ防止結果の比較

3. シームレスな自動運転フロー

土を入れるバケットの持ち上げ、扉の開け閉め、空気の圧力調整、そして排土装置による土の排出までの一連の作業をまとめて自動で制御します。作業のステップ間を無駄なくスムーズに進める「シームレス動作」により、手作業よりも効率的な運転を実現しています。

自動運転フローのイメージ

4. 万全のフェイルセーフ設計

通信に問題が起きた際に自動で弁を閉めたり、間違って空気を排気しないように排気時間に上限を設定したりするなど、ケーソン工法で最も大切な「箱の中の圧力管理」の安全を守る機能が備わっています。

フェイルセーフ設計の例

実証結果と今後の展望

実際のテストの結果、自動運転は手作業に比べて作業時間のばらつきが少なく、安定した工事ができることが証明されました。また、これまで常に必要だったマテリアルロックの操作員が不要になり、吊り荷との接触事故のリスクも減るため、安全性が向上することも確認できました。

今後は、実際の建設現場でこの技術を使いながら、さらに実用性を確かめていきます。人手不足が深刻な建設現場において、「働き方改革」を進めることにつながることを目指しています。

この技術は特許申請中であり、特許申請番号は特願2025-201717です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社アクティオ クレーン事業部
TEL:03-6854-1423

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