renueが2D図面から3Dモデルを自動生成する「Drawing Agent」を開発

renueが「Drawing Agent」を発表:2D図面からAIが3Dモデルを自動生成

株式会社renueは、2D図面画像をアップロードするだけで3Dモデルを自動で作り出すWebアプリケーション「Drawing Agent」を開発しました。この新しいツールは、製造業の設計部門における長年の課題を解決し、業務の進め方を大きく変える可能性を秘めています。

Drawing Agentとは

Drawing Agentは、設計担当者がCADソフトウェアを起動することなく、2D図面を簡単に3Dデータに変換できるWebアプリケーションです。図面ファイルをドラッグ&ドロップで登録すると、AI(人工知能)が図面を読み込み、自動的に3Dモデルを生成します。

これまでのAI技術は、見た目がそれらしい3D形状を作るものでしたが、Drawing Agentは違います。2D図面に書かれた寸法や公差、形状の指示などを正確に読み取り、寸法の精度が高いCADデータとして出力することが特徴です。

3Dモデルが作られる過程は、Webブラウザ上でリアルタイムに確認できます。AIが図面をどのように解釈し、モデルを作っているかが順に表示されるため、どのような処理が行われているか透明性が保たれます。また、元の図面と比べて品質に問題がないか自動で修正を繰り返すため、正確な仕上がりが保証されます。

完成した3Dモデルは、ブラウザ上の3Dビューアで自由に回転させたり、拡大したりして確認できます。さらに、GLBやSTL形式でダウンロードできるため、その後のCADソフトウェアや3Dプリンターで直接利用することが可能です。

2D図面から3Dモデルを自動生成するソフトウェアの画面

製造業の設計現場が抱える課題

製造業の設計部門には、何十年も前から蓄積されてきた膨大な量の2D図面があります。部品図や組み立て図など、紙やPDFで管理されているこれらの図面は、日々の業務の基本となっています。

設計者やCADオペレーターは、これらの2D図面から3Dモデルを作る作業を頻繁に行っています。新しい設計での3Dモデリング、既存部品の3Dデータ化、取引先から受け取った図面の3D変換など、用途は様々です。

この変換作業には、通常、数時間から1日以上かかることもあります。複雑な部品の場合、寸法を読み取り、形状を解釈し、CADソフトウェアでモデリングし、最後に図面との整合性を確認するまでに多くの時間と手間がかかります。月に数十件もの変換が必要な部署では、CADオペレーターの仕事のほとんどがこの作業に費やされているのが現状です。

また、最近進歩している画像やテキストから直接3Dモデルを作るAI技術は、あくまで「見た目の形状」を作るものです。製造業で求められる0.1mm単位の寸法の正確さは保証されません。このため、これらのAIが作った3Dモデルをそのまま製造工程に使うことはできませんでした。

Drawing Agentによる解決策

Drawing Agentは、この課題を解決するために「2D図面」を入力として「CADコード」を出力するという独自のアプローチを採用しています。AIが図面から寸法値、形状の輪郭、穴の位置、面取りの指示などを読み取り、それらの情報をもとにPythonのCADコードを自動で生成し、実行します。

これにより、「直径12.5mmの穴を座標(30, 50)に配置」といった具体的な寸法指示がコードに明確に書かれるため、高い寸法精度が実現されます。生成されたコードは人間が確認・編集することもでき、透明性の高い3D生成が可能です。

ユーザーの操作は、図面画像をアップロードするだけです。CADソフトウェアをインストールしたり、操作方法を覚えたりする必要はありません。これまで「CADオペレーターに頼んで数時間待つ」という状況だったのが、「自分でアップロードして数分待つ」という体験に変わります。

Drawing Agentのもう一つの大きな特長は、元の2D図面という「正解」があることを生かした品質チェックです。生成された3Dモデルを様々な角度からレンダリングし、元の図面と照らし合わせます。穴の位置ずれや面の欠損、寸法の誤差が見つかった場合、AIが自動でコードを修正し、モデルを再生成します。

この検証と修正のサイクルは、品質スコアが基準に達するまで最大10回繰り返されます。さらに別のAIによるチェックも組み合わせることで、見落としやすい部分も自動で確認されます。これにより、「正解がない」直接3D生成では不可能だった、図面に基づいた正確な品質保証が可能になります。

CAD図面から3Dモデルを自動生成する「Drawing Agent」のインターフェース

AIエージェントの処理の様子は、ブラウザ上でリアルタイムに表示されます。AIが図面のどの部分を解析しているか、どのようにモデルを構築しているか、現在の品質スコアはどれくらいかなどが順次更新されるため、安心して作業を見守ることができます。

2D図面から3Dモデルを自動生成するDrawing Agentのインターフェース

Drawing Agent導入による効果

Drawing Agentの導入により、以下のような効果が期待されます。

  • 変換工数の削減: 従来、1件あたり数時間かかっていた2Dから3Dへの変換作業が、数分の待ち時間で完了するようになります。月に100件の図面を扱う部署では、約400時間の工数削減が見込まれます。これは、約2.5人分の作業時間を他の業務に振り分けられる計算になります。

  • 寸法精度を伴う品質の安定化: CADコード生成という方法により、直接3D生成AIでは実現できなかった高い寸法精度が得られます。AIによる自動評価の仕組みが、担当者の経験に左右されない均一な品質を保証します。ヒューマンエラーによる寸法ミスや形状の欠損を自動で検出し修正するため、最終確認の負担も減ります。

  • CADスキル不要で誰でも3D化を実行: 図面をアップロードするだけの簡単な操作なので、CADの操作スキルは一切不要です。設計者が自分の判断で、すぐに3D化を実行できるようになります。CADオペレーターの空きを待ったり、外部に依頼したりする手間がなくなるため、3Dデータを入手するスピードが格段に上がります。

今後の展望

renue社は、今後Drawing Agentでさらに多くの機能を追加していく予定です。

  • アセンブリ図面(組み立て図)への対応: 複数の部品の位置関係や組み合わせを考慮し、組み立てられた状態の3Dモデルを一括で生成できるようになります。これにより、部品だけでなく、製品全体の3D化をアップロード操作だけで完結できることを目指しています。

  • 製造情報の付与機能: 寸法公差や表面粗さといった製造に関する情報を3Dモデルに直接付与する機能の開発も進められています。これにより、製造現場で3Dモデルをそのまま活用できるようになり、図面を確認する作業が減ることが期待されます。

  • 出力フォーマットの拡充: STEPやIGESといった、より多くのCAD/CAMシステムで利用できる形式での出力に対応する計画です。これにより、既存のシステムとスムーズに連携できるようになり、その後のデータ変換作業が不要になります。

renue社はDrawing Agentを通じて、「図面があれば誰でも寸法の正確な3Dモデルを手に入れられる」環境を製造業に提供し、業務の効率化と品質向上を支援していくとのことです。

会社概要

  • 会社名: 株式会社renue

  • 所在地: 〒105-7105 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 5階

  • 代表者: 山本悠介

  • 事業内容: AIコンサルティング業

  • URL: https://renue.co.jp/

  • お問い合わせ: info@renue.co.jp

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