PingCAP、AI時代に対応する新しいデータベース「TiDB Cloud Premium」を発表
PingCAPは2026年5月1日、AIに対応した次世代のNewSQLデータベース「TiDB Cloud」の新しいラインナップとして、エンタープライズ向けの「TiDB Cloud Premium」のパブリックプレビュー公開を発表しました。この新プランは、安定性と制御性を強化しており、AI時代の複雑なワークロードに対応できるよう設計されています。

クラウドデータベースの新たな課題
クラウドネイティブなデータベースは、システムの構築や運用をとてもシンプルにしてきました。自動でシステムが動いたり、保存する場所を増やせたりする機能は、今では当たり前になっています。
しかし、AI技術が進化し、AIエージェントが登場したことで、データベースの使い方が複雑になり、いくつかの新しい課題が出てきました。
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コンピューターの計算能力とデータの保存場所を別々に、自由に増減させることが難しい。
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さまざまな種類の作業が混ざったときに、データベースの動きが予測しにくくなる。
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システムを増やしたり、トラブルが起きたときに別のシステムに切り替えたりする際に、まだ人の手による調整が必要になることがある。
「TiDB Cloud Premium」は、このような課題を解決し、フルマネージド(すべてお任せ)のデータベースが持つ便利な点はそのままに、より安定して使えるように作られています。
AI対応の次世代アーキテクチャ「TiDB X」とは?
「TiDB Cloud Premium」は、オブジェクトストレージを基盤とする最新のAI対応型クラウドネイティブアーキテクチャ「TiDB X」を採用しています。
TiDB Xは、普段の軽いデータ処理と、データの整理やデータベースの構造変更といった重い裏側の作業を分けることで、システムを最大10倍速く拡張できるようになります。これにより、たくさんのデータを書き込むときでも、安定して速い応答時間を保ちます。また、使った分だけ料金を支払う仕組みになっており、必要なときに必要なだけ資源を使えるため、コストを抑えながら効率的に運用できます。

既存プランの「いいとこ取り」を実現した新プラン
「TiDB Cloud Premium」は、手軽に使える「Essential」プランと、専用の環境でしっかり使える「Dedicated」プランの間の選択肢として、企業のニーズに応える新しいプランです。
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Essentialからの進化
「Essential」プランは、共有の資源を使って手軽に利用できるプランです。それに対し「Premium」プランでは、計算、保存、通信のそれぞれで、より高度に資源を区切って使うことができます。これにより、他のユーザーの影響を受けずに、大切なシステムでも予測できる安定した性能を保証します。また、必要なときに必要なだけシステムを増やせる柔軟性も維持しています。 -
Dedicatedからの進化
「Dedicated」プランは、完全に専用の環境で使えるため、高い安定性を提供しますが、事前にどれくらいのシステムが必要かを決めておく必要があります。「Premium」プランでは、使わない資源のためにかかる費用をなくし、コスト効率を大幅に改善しました。実際に使った資源の量に応じて料金を支払うため、無駄なくコストを最適化できます。
TiDB Cloudプラン比較
| Starter | Essential | Premium | Dedicated | |
|---|---|---|---|---|
| 環境の分離 | 共有型(マルチテナント) | 共有型(マルチテナント) | 専有に近い分離(論理分離+高制御) | 完全専有型(シングルテナント) |
| アーキテクチャ | TiDB X (オブジェクトストレージ) | TiDB X (オブジェクトストレージ) | TiDB X (オブジェクトストレージ) | 分散型SQL |
| スケーリング モデル | スケール・トゥ・ゼロ、最も低コストで開始可能 | サーバーレス型の弾力的スケーリング | 従量課金 (RCU) モデル、即時スケーリング | プロビジョニング型、手動スケーリング |
| 運用 | フルマネージド、最小限の設定 | フルマネージド | フルマネージド、ゼロタッチ運用 | フルマネージド (高度な設定が可能) |
| 最適な用途 | とにかく軽く使う・安く始める プロトタイプや、運用・セキュリティ要件が最小限のアプリケーションに最適でスケール・トゥ・ゼロや最小コストでの利用が可能 | サーバーレスのまま本番寄りに進化 予測可能なパフォーマンス、詳細なメトリクス、監査機能、30日間のバックアップを手頃な価格で求める場合に最適 | サーバーレスの柔軟性+Dedicatedに近い隔離性 分離性と弾力性が求められるミッションクリティカルなハイパースケールなアプリケーションに最適 | 自社専用クラスタを保有するイメージ 専用VPC上に構築された専有DBaaSでエンタープライズ機能と最も広範な制御性を必要とするアプリケーションに最適 |
※各プランの機能比較表は、こちらをご覧ください。
TiDB Cloud Premiumの特徴
「TiDB Cloud Premium」は、高い性能と独立した環境が必要な、企業の重要なシステム向けに設計されています。データの管理や優れた運用性を実現するための幅広い機能が提供されます。
1. 予測可能なパフォーマンスと即時エラスティシティ
多くの分散型データベースでは、通常のデータ処理と、データの整理などの裏側の処理が同時に行われると、システムに負荷がかかり性能が不安定になることがあります。「TiDB Cloud Premium」では、以下のことが実現されます。
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システムを細かく分ける必要がなく、小規模から大規模までスムーズに拡張できます。
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通常の処理と裏側の処理をタスクごとに分けることで、データ整理などが通常の処理の邪魔をしません。
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システムのメンテナンス中でも安定した速さを保ち、トラブル時の切り替えやシステム拡張、バージョンアップが、利用者に気づかれずに行われます。
2. 統合データ移動とエンタープライズ向けセキュリティ
企業のシステムは、分析システムへのデータ供給や、他のデータベースとの連携など、常にさまざまなシステムとつながっています。データの移動やセキュリティ対策を後回しにすると、後で技術的な問題が増えてしまいます。そのため、現代のシステムでは、リアルタイムなデータの移動としっかりとしたセキュリティがとても重要です。「TiDB Cloud Premium」では、以下の機能が提供されます。
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データの変更をリアルタイムで捉えるTiCDC機能により、データの変更を他のシステムへ送ることができます。
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統合されたデータ移行機能により、MySQL互換のデータベースからデータを移行したり、S3などのクラウドストレージから大量のデータを一度に取り込んだりできます。
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顧客が管理する暗号鍵(CMEK)機能により、クラウドの鍵管理サービスを通じて、保存されたデータの暗号化を顧客自身で管理できます。
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専用のネットワーク接続と細かいアクセス制御により、厳しいセキュリティ基準が求められる環境にも対応します。
3. 運用負荷のないエラスティックスケーリング
性能を向上させるために、設定を変えたり、手動で操作したりする必要はありません。「TiDB Cloud Premium」では、管理画面やAPIから「RCU(リクエストユニット)」を調整するだけで、システムの処理能力を拡張できます。データの分散管理や手動での再調整、システムの構成設計などは不要です。
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計算能力とデータの保存場所を別々に拡張できます。
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データの保存場所は、使った分だけ個別に料金がかかる仕組みです。
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3つの異なるデータセンターにまたがる高い可用性が標準で提供されます。
TiDBについて
分散型NewSQLデータベース「TiDB (タイ・デー・ビー)」は、ゲーム業界、金融、Eコマース、通信、製造など、多くの業界で重要なシステムに導入されています。世界中で4,000社以上の企業に採用されており、従来のリレーショナルデータベースと同じようにSQLを使ってデータにアクセスできます。
TiDBは、分散された仕組みにより、システムを水平方向に拡張できる能力、データの整合性を保つ強さ、MySQLとの互換性による高い使いやすさ、そしてデータ分析に強い列指向ストレージにより、多様なデータ処理のニーズに応えます。新しいアーキテクチャ「TiDB X」の採用により、AIエージェントのワークロードにも対応できる、次世代の基盤へと進化しています。
PingCAPについて
PingCAPは、2015年に設立された企業向けのソフトウェアサービスを提供する会社です。オープンソースでクラウドネイティブな、統合的なデータベースソリューションを提供することを目指しています。PingCAPという社名は、ネットワーク接続を確認する「Ping」コマンドと、CAP定理の「CAP」(Consistency – 一貫性、Availability – 可用性、Partition Tolerance – ネットワーク分断への耐性)という言葉を組み合わせています。この3つのすべてに接続したいという思いが込められています。
PingCAPの詳細については、https://pingcap.co.jpをご覧ください。
会社概要
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会社名:PingCAP株式会社
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所在地:東京都千代田区大手町2丁目6番4号 TOKYOTORCH 常盤橋タワー 9F
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代表者:Eric Han (エリック・ハン)
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設立:2021年3月15日
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事業内容:分散型NewSQLデータベース「TiDB」を主力とした、オープンソースでクラウドネイティブなワンストップのデータベースソリューションを提供


