AIインフラの成長が日本の建設業界に新たな雇用と課題をもたらす

夕焼けの都市の建設風景

グローバル・プログラムマネジメント企業のターナー&タウンゼントは、最新の「グローバル建設市場インテリジェンスレポート」を公表しました。このレポートによると、データセンター需要の急増に代表されるAIインフラの成長が、日本を含む世界の建設市場に大きな影響を与えています。

AIインフラの成長と建設市場の動向

AIインフラの急速な成長は、建設市場の能力を圧迫し、特に熟練した労働者の不足をさらに深刻化させています。しかし、このような状況は今後数年間で、建設業界における新しい雇用の創出や、これまでにない建設方法の導入を促すことになると見られています。

アジア全体の建設市場は、データセンターへの投資が増えていることや、最先端の製造業、物流分野が大きく成長していることを背景に、経済発展の新しい段階に入ろうとしています。アジアにある29の市場のうち、16の市場が現在「活況」または「過熱気味」であると報告されています。

日本の建設コストとインフレの現状

今回の調査では、日本の5つの主要都市、東京、大阪、札幌、福岡、広島が、世界の建設コストが高い都市のトップ15に入っています。

  • 東京は、データセンター分野の成長が背景となり、アジアで最も高く、世界で7番目に建設コストが高い市場です(1平方メートルあたり5,801.2米ドル)。

  • 大阪がそれに続き、1平方メートルあたり5,539.6米ドルです。その後、札幌(同5,476.9米ドル)、福岡(同5,293.8米ドル)、広島(同5,272.9米ドル)が続きます。

また、福岡、広島、大阪、東京の各都市では、2026年のインフレ率が2025年と比較して2%以上上昇する見込みです。特に広島では6.2%、福岡と東京では6%と、アジアの中でも高い上昇率が予測されています。日本全体のインフレ率は2027年には低下に転じると見られています。

日本主要市場ランキング

市場 地域 ランキング(/112市場) 1㎡当たりコスト(米ドル) 2025年建設コストインフレ率(%) 2026年建設コストインフレ率(%) 時給(米ドル)
東京 日本 7 5,801.2 3.5 6.0 35.8
大阪 日本 8 5,539.6 3.6 5.9 32.9
札幌 日本 9 5,476.9 4.5 5.6 30.5
福岡 日本 11 5,293.8 3.5 6.0 33.0
広島 日本 12 5,272.9 4.0 6.2 31.4

深刻化する労働力不足と今後の展望

アジア市場の約90%が、熟練労働者の不足が建設プロジェクトの進行に「大きな影響」または「深刻な影響」を与えていると回答しています。特に、機械・電気・配管(MEP)の専門職でこの傾向が顕著で、アジアの82%の市場でMEP職種の不足が報告されています。これらの職種は、テクノロジー関連のプロジェクトにとって非常に重要です。

世界全体では、AIの継続的な成長により、データセンターが建設需要が最も高い分野であり続けています。次いで、産業・物流分野が2位にランクインしています。この成長は、データセンターの建設に必要な熟練労働者の深刻な不足リスクを高めており、需要に応じた人材を確保するための研修の強化や採用活動の拡充が強く求められています。

建設にかかる費用は過去1年間で安定していましたが、労働力の確保が世界的な建設市場全体のコスト上昇の主な原因となっています。

2025年と2026年の各セクターのランキング変化

ターナー&タウンゼントのリアルエステート・コストマネジメント担当ディレクターであるベン・サムウェイズ氏は、「グローバルな建設市場は変化しており、コストパフォーマンスを決める主要な要因が、新しい動きによって変わりつつあります。成長はますます偏り、最高の計算機能を提供するデータセンターのようなAI関連分野や、消費者のニーズに応える新しい分野に集中しています。一方で、労働力の制約、サプライチェーンの不安定さ、地政学的なリスクがよりはっきりしてきています」と述べています。

特に日本においては、データセンター建設に必要な熟練労働者の数が需要の伸びに追いつかないという現実的なリスクがあります。AIは建設業界において雇用を増やす良い力となる可能性がありますが、そのためには適切な体制が整っていることが前提となります。

日本の建設市場全体は、データセンターや産業・物流分野を中心に、新たな大きな成長段階を迎えようとしています。その中で、特に労働力を中心とした大きなインフレ圧力が生じることになり、日本はすでに世界でも建設コストが高い市場の一つとなっています。

レポート詳細

本レポートの全文は、以下のリンクから確認できます。

調査方法について

このレポートは、2026年3月2日から3月20日にかけて収集された44か国112市場のデータに基づいています。中東情勢の影響については、IMFが2026年4月に発表した「世界経済見通し改訂版」に沿った予測が採用されており、比較的短期間での紛争終結とエネルギー価格の緩やかな上昇を想定しています。ただし、紛争が長引いたり激化したりすると、インフレやサプライチェーン、建設コストへの影響がさらに大きくなる可能性があり、今後の見通しは流動的です。

ターナー&タウンゼントについて

ターナー&タウンゼントは、64か国に23,000人以上の専門家を擁するグローバル・プログラム・マネジメント会社です。不動産、インフラ、エネルギー、天然資源の分野で、クライアントに対し大規模なプログラム管理、プロジェクト管理、コスト管理、商業管理、プロジェクト・コントロール、パフォーマンス管理、ネットゼロ、デジタルソリューションなどを世界中の市場で提供しています。ターナー&タウンゼントのウェブサイトはこちらです。

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