工務店経営にAIエージェントを組み込む実践事例を公開 第4回建築AI経営研究会に150名が参加

2026年6月2日、株式会社LIFEFUNDは、工務店経営者向けの勉強会「第4回建築AI経営研究会」を東京会場とオンラインのハイブリッド形式で開催しました。この研究会には総勢150名が参加し、工務店の経営にAIをどう組み込むかという実践的な事例が共有されました。

当日は、LIFEFUNDが社内で進めるAIエージェントの活用方法や、EXCEED GROUPによる粗利管理データの分析事例、図面を使ったAI積算ワークショップなどが行われました。参加者アンケートでは総合満足度が4.21/5を記録し、特にLIFEFUND代表の白都卓磨氏による第一講座は4.65/5と高い評価を得ました。

多くの参加者が集まる研究会の様子

建築業界におけるAI活用の現状

建築業界では、人手不足と業務の属人化が大きな課題となっています。帝国データバンクの調査によると、2025年度の人手不足による倒産は過去最多の441件となり、建設業はそのうち112件を占めました。

一方で、ANDPADの調査では、建設業従事者のうちAIを業務で活用している割合は34.8%にとどまり、「活用予定なし」と答えた人が47.3%に上ることが示されました。

AIを使うことの重要性は認識されつつも、「どの業務に、どの順番で、どこまでAIを任せるのか」という点が、現場での大きな課題となっています。今回の研究会では、AIを単なるツールとしてではなく、会社の業務に深く組み込む仕組みとして活用する方法が共有されました。

第一講座:AIエージェント経営のロードマップと工務AI化の具体戦略

第一講座では、株式会社LIFEFUND代表取締役の白都卓磨氏が講演し、「AIをツールとして使う段階はすでに終わった」というメッセージを伝えました。LIFEFUNDは、静岡県浜松市を拠点に注文住宅やリフォーム、不動産、AI教育事業を展開し、全社員でのAI学習を3年間続けた結果、売上1.6倍、社員数1.3倍、実質賃金4%アップ(年間休日数110日→120日)を実現しています。

マイクを持ちプレゼンテーションを行う白都卓磨氏

白都氏は、AI活用の成熟度を以下の5段階で整理しました。

  1. 個人利用:ChatGPTなどを個人が使い始める
  2. 部署導入
  3. 全社標準化:社員全員がAIを日常業務で活用
  4. 独自データ統合:自社情報をAIに読ませる
  5. AIエージェント協働:AIチームと仕事を進める

AI経営の5段階を示す図

「コンテキスト」の重要性

白都氏が定義する「コンテキスト」とは、「人間は知っているが、AIはまだ知らない会社固有の情報」のことです。例えば、過去の失敗と成功の理由、現場での判断のコツ、協力業者との関係性、価格交渉の履歴感覚、暗黙のルールや慣習などがこれにあたります。これらをAIに教えることで、AIは実務で役立つ存在になるとしています。

コンテキストの概念図

AI経営OSの実演

研究会では、LIFEFUNDで実際に使われている「AI経営OS」がライブで実演されました。Chatworkで「これ対応して」と送るだけで、経営統括エージェントが専門エージェントチームにタスクを渡し、自律的に業務を進める仕組みが公開されました。

AIエージェントがチームで働く概念図

工務AI化の具体的ロードマップ

白都氏は、工務業務を117のタスクに分解し、難易度別に分類することでAI化の優先順位と人間の判断が必要な業務を明確にする方法を示しました。工務AI化は「分解」「小さく効率化」「読ませる」「任せる」「改善」の5段階で進めるとされています。

工務AIロードマップ

工務AI化は、コスト削減だけでなく、人を増やさずに棟数を増やせる経営の武器となる可能性が示されました。業務フローを分解し、AIに読ませる「コンテキスト」を作ることが、AI活用の出発点になると強調されました。

第二講座:140件のデータ×AI分析で見えた収益構造

第二講座では、山形県の株式会社EXCEED GROUP代表取締役である富樫宜信氏が登壇しました。同社は5年累計成長率で山形県内ナンバー1を達成した急成長企業であり、蓄積された案件データをAIで分析した実践プロセスを公開しました。

壇上で講演する富樫宜信氏

140件の案件データをAIで分析した結果、約40%にあたる56件で計画利益とのずれが確認されました。データから以下の3つの傾向が明らかになりました。

  1. 承認フローを経ない発注:現場の判断で行われた発注が積み重なっていた。
  2. 発注経路の分散:案件ごとに発注経路が統一されておらず、全体として最適化が難しかった。
  3. 全社横断の視点の欠如:案件ごとではなく、全体像として見たときに初めて傾向が明確になった。

富樫氏は、「データはあったが、繋がっていなかった。AIが全社横断でデータを見たときに、初めてこの構造がある、と認識できた」と述べました。可視化後はAIダッシュボードを構築し、案件ごとの利益状況をリアルタイムで確認できる体制を整えたとのことです。

第三講座:株式会社LIFEFUNDの「工務×AI」事例を紹介

第三講座では、株式会社LIFEFUNDにおける工務・施工管理領域でのAI活用事例が紹介されました。

LIFEFUNDのAI活用事例を紹介する様子

特に、見積もり業務の7ステップにAIを接続する考え方が示されました。打ち合わせの録音から数量拾い、原価集約、顧客向け見積もり、発注予算といった各工程でAIを活用することで、業務の効率化を図る具体的な手法が紹介されました。例えば、2~3万円の小型録音機を使った打ち合わせ録音からテキスト変換、数量拾いの自動化など、すぐに実行できる方法が具体的に示されました。

コミュニケーションタイムとワークショップ

プログラムの途中にはコミュニケーションタイムが設けられ、参加者同士が名刺交換や意見交換を行いました。工務店、建設会社、リフォーム会社、設計事務所など、様々な業種や地域の経営者が集まり、「自社ではどこまで進んでいるか」「どこから手をつけたか」といった実務レベルの対話が活発に行われました。

コミュニケーションタイムの様子

ワークショップでは、参加者が実際にAI(Claude)を操作する体験型プログラムが実施されました。平面図や立面図をもとに窓の寸法をAIに読み取らせ、単価表と照らし合わせて見積金額を算出するというハンズオン形式で進められました。これまで職人的な経験に頼っていた積算作業をAIで代替する体験は、多くの参加者にとって初めての実感をもたらしました。

ワークショップでAIを操作する参加者

参加者の反応と今後の展望

第4回研究会の総合満足度は4.21/5と高く、88.9%の参加者が4以上の評価をしました。参加者からは以下のようなコメントが寄せられています。

  • 「AIエージェントの話、衝撃的でした。AIが勝手に仕事をしているとは」(愛知県・工務店経営者)

  • 「コンテキストの意味、それ次第で生産性がまったく違う」(富山県・工務店経営者)

  • 「積算ができるとは思わなかった。これで見積が楽になる」(静岡県・リフォーム会社経営者)

参加企業数は第1回約30社から始まり、第4回では150名と回を重ねるごとに拡大しています。これは、建築・工務店業界において「AI経営」が経営の重要なテーマとして急速に注目されていることを示しています。

研究会後の集合写真

第5回研究会のご案内

次回、第5回建築AI経営研究会は2026年8月3日(月)に東京駅前会場とオンラインのハイブリッド形式で開催されます。テーマは「AIを社内・協力業者へ浸透させること」で、株式会社ハウスクラフトの遠藤社長がゲスト講師として登壇します。

  • 日時: 2026年8月3日(月)13:00〜17:30

  • 会場: オフライン会場@東京駅前、オンライン配信(ワーク・パネル中心のため会場参加推奨)

  • 内容:

    • 経営者向け建築AI経営ノウハウ共有

    • ハウスクラフト・遠藤社長による特別講演

    • 生成AI実践ワークショップ

    • 経営者交流会

  • 定員: 会場は先着限定(要申込)

  • 対象: 経営者のみ

  • 参加費: 初回参加無料

  • 懇親会: 18:00〜(実費6,000円程度)

  • 申込先:
    https://kenchiku-ai.com/kenchikuai-club/

人手不足や市場縮小の中で、AIを活用して経営の新たな手を打ちたい経営者の参加が期待されます。

会社紹介

LIFEFUNDのロゴ

  • 会社名: 株式会社LIFEFUND

  • 代表者: 代表取締役 白都卓磨

  • 設立: 2000年(2023年に現社名へ変更)

  • 所在地: 静岡県浜松市中央区鴨江三丁目70番23号

  • 売上高: 27.1億円(2025年実績)

  • 社員数: 71名(2026年6月)

  • 事業内容: 注文住宅(ARRCH、PG HOUSE)、不動産、相続コンサルティング、AI教育事業ほか

  • URL: https://lifefund-recruit.com/

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