相模ダムでドローンが「レベル3.5飛行」に成功、点検とデータ作成を自動化し建設現場の効率化へ

ダムの全景

株式会社Liberaware、KDDIスマートドローン株式会社、株式会社大林組の3社は、神奈川県相模原市緑区で行われている相模ダムリニューアル工事において、ドローンを使った新しい技術の実証に成功しました。

この取り組みでは、自動で充電できるポートを持つドローンを遠くから操作して、「レベル3.5飛行」という、より広い範囲で安全にドローンを飛ばす方法を実現しました。さらに、ドローンが撮影した写真から3Dのデータ(点群データ)を作る作業も自動で行えるようにしました。

この実証は、国土交通省が進める「中小企業イノベーション創出推進事業」の一環として行われたものです。

建設現場の課題と今回の取り組み

建設現場では、測量や点検作業に多くの人手と時間がかかっています。これまでもドローンは使われてきましたが、一般的な「目視外飛行(レベル3)」では、ドローンを飛ばせる範囲に制限があり、使える場面が限られていました。

また、ドローンで撮影したたくさんの写真から3Dの点群データを作るには、時間がかかるという問題もありました。

これらの課題を解決するため、今回の取り組みでは、より広い範囲を安全に飛べる「レベル3.5飛行」のドローンを使って巡視・点検を行い、点群データの作成も自動でできるようにしました。

ドローンとドック

レベル3.5飛行で広範囲を点検

「レベル3.5飛行」とは、ドローンが人のいない場所で目の届かない範囲を飛ぶ「レベル3飛行」をさらに進化させたものです。道路を横切るなど、第三者がいる可能性のある場所でも、ドローンに搭載されたカメラで人がいないことを確認しながら飛ぶことで、これまで必要だった看板の設置や補助員の配置が不要になります。

今回の実証では、河川やダムをまたぐ橋など、人が立ち入る可能性のある場所をドローンが通過する前に一時停止し、カメラで安全を確認してから進む方法を取り入れました。これにより、ドローンの飛行範囲が大きく広がり、これまでは難しかった現場の外からも工事の状況を確認できるようになり、工事中の安全を守ることにもつながりました。

相模湖周辺地図

相模湖上空

橋梁上空

「LAPIS」でデータ処理を自動化し、作業時間を大幅に短縮

KDDIスマートドローンの自動充電ポート付きドローンと、Liberawareの空間iPaaS基盤「LAPIS」を組み合わせることで、ドローンで撮影した画像データを「LAPIS」に自動で送り、そこから3Dの点群データを作るまでの一連の作業を自動化する仕組みを作りました。

この仕組みにより、これまで5時間かかっていた点群データの作成作業が、およそ1時間にまで短縮されました。これにより、現場での作業を減らし、工事の進み具合を管理する効率も上がりました。さらに、自動で作られたデータと、設計の段階から使う3Dモデル(BIM/CIM)を組み合わせることで、現場の進捗管理や安全管理にも役立てています。

データ連携フロー図

4G LTEを活用し、安定したドローン遠隔運航を実現

広い範囲を飛ぶ「レベル3.5飛行」を支えるために、自動充電ポート付きドローンと、ドローン本体とのWi-Fi通信(2.4GHz)だけでなく、上空で使える電波(4G LTE)も使う方法を取り入れました。

これにより、ドローンが自動充電ポートから離れた場所を飛んでいても、通信が途切れるのを防ぎ、いつでも安定して自動飛行ができるようになりました。

航空写真風3Dモデル

今後の展望

LiberawareとKDDIスマートドローンは、これからも夜間や悪天候の時でもドローンを安定して使えるようにすることや、集めたデータのさまざまな活用方法を考え、さらに自動化を進める技術の開発に取り組んでいきます。大林組は、今回の実証で得られた知識を活かして、品質管理や安全管理に応用したり、他の土木工事にも広げたりしていく予定です。

3社は協力して、ドローンが社会のインフラとして広く使われるようにすることで、建設業界の課題を解決し、より良い社会の実現を目指していきます。

参考情報

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