建設用3Dプリンタで柱・梁・スラブ一体型PCa部材を実証、建設DXを推進
建設用3Dプリンタで柱・梁・スラブ一体型PCa部材を実証、建設DXを推進
日揮ホールディングス株式会社の海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社と大成建設株式会社は、建設用3Dプリンタを使って柱・梁・スラブの型枠を一体で造形した大型プレキャスト(PCa)部材を製作し、その施工技術を実証しました。この取り組みは「生産プロセスのDX」の一環として行われ、福島県浪江町で実施されました。
背景にある建設業界の課題
建設業界では、技能を持つ人や働く人が足りなくなる問題が深刻化しています。そのため、作業の効率を上げることが大きな課題となっています。PCa工法は、作業員を減らし、工事期間を短くするのに役立つ方法として広がっていますが、近年、プラントやインフラの建物が大きく複雑になるにつれて、部品の数が増え、組み立て作業や品質管理が難しくなっていました。
新技術の概要と期待される効果
この新しい技術では、これまで別々に作ってつなぎ合わせていた柱・梁・スラブのPCa部材を、建設用3Dプリンタで作った型枠を使って一体で製作します。これにより、部品の数を減らし、つなぎ合わせる作業も大幅に削減できます。結果として、作業員を減らし、工事期間を短くすることが可能になります。
将来的には、作業員を50%削減し、コストを15%削減することを目標としています。さらに、作業工程が簡単になることで、高い場所での作業や手作業が減り、作業のしやすさや安全性の向上にもつながります。
実証の具体的な内容
今回の実証では、建設用3Dプリンタで埋め込む型の枠を作り、その中に鉄筋などを配置してからコンクリートを流し込むことで、柱・梁・スラブが一体となった大型PCa部材を製作し、施工しました。
この取り組みは、2025年7月に発行される土木学会の「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針(案)」に基づいて製作・施工を行った初めての事例となります。
日揮グローバルは、デンマークのCOBOD International A/S(COBOD社)製の建設用大型ガントリー型セメント系3Dプリンタを導入し、国内外で実証を重ねてきました。一方、大成建設は、建設用3Dプリンティング技術「T-3DP®(Taisei-3D Printing)」の開発を通じて、専用の材料と施工技術に関するノウハウを蓄積しています。今回の実証では、両社が持つ「大型プリント設備」と「高性能プリント材料・施工技術」を組み合わせることで、実際の大きさの大型PCa部材を一体で製作し、施工することに成功しました。
異なる企業が開発した装置と専用材料を組み合わせた場合でも、これまでの方法と同等かそれ以上の品質が確保できることが確認されました。この成果は、建設用3Dプリンタを使った大型PCa部材が実際に使われるようになるための大きな一歩となります。
本技術の特長
施工性・安全性を向上
柱・梁・スラブの型枠を一体で造形し、大型PCa部材として製作することで、部品の分割数や接合作業を減らすことができます。これにより、手作業や高い場所での作業が減り、作業のしやすさと安全性が向上します。

ニアサイトプリントにより生産性を向上
建設現場の近くで部材を製作する「ニアサイトプリント」によって、輸送の制限を受けずに大型部材の製作が可能になります。これは、材料の調達期間を短くし、施工のリスクを減らすだけでなく、現地で手に入る材料を使うことでコスト削減にも貢献します。

大型・複雑構造物への高い適用性
建設用3Dプリンタは、形を自由に作れる型枠を造形できるため、配管や周辺設備と重なることが多いプラントの支持架構など、複雑な条件を持つ建物にも柔軟に対応できます。
今回の実証では、実際の大きさの柱・梁・スラブ一体型PCa部材について、施工のしやすさ、品質、耐久性を総合的に確認しました。その結果、設計通りの形や強度が確保できること、そして工事期間の短縮や作業負担の軽減効果も実証されました。この技術は、プラント分野だけでなく、基礎構造物やインフラ構造物への応用も考えられており、建築や土木の幅広い分野で活用されることが期待されます。
今後の展望
今後、両社はこの技術をさらに進化させ、標準化を進めていきます。国内外の建設プロジェクトへの普及を目指し、建設工事の生産性向上と安全確保、そして深刻な技能者・従事者不足という社会課題の解決に向けて、建物の設計から施工方法までの建設生産プロセスそのものを変革していく方針です。
関連情報
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2022年12月14日公表 建設工事における3Dプリンタの本格的な導入に向けて加速
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2023年6月7日公表 業界初 斜面や曲面に施工可能な3Dプリンティング技術を開発
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