NTTグループと大成建設、IOWN APNとローカル5Gで複数重機の遠隔操作・自動制御に成功

NTT株式会社、NTT東日本株式会社、大成建設株式会社は、建設現場の自動化をさらに進めるため、新しい技術を使った実証実験に成功しました。

この実験では、IOWN APN(All-Photonics Connect)、ローカル5G、そして60GHz帯無線LAN(WiGig)という通信技術を使い、離れた場所から複数の重機を1台の操作卓で遠隔操作したり、自動で動かしたりすることが可能になりました。これにより、実際の工事現場でこのシステムが使われるようになれば、作業の効率が上がり、建設業界が抱える人手不足の問題を解決する手助けになるでしょう。

建設業界の課題と新しい技術

現在、建設業界では、働く人が足りないことや、長時間労働が問題となっています。こうした課題を解決するために、重機を自動で動かしたり、遠くから操作したりする技術の開発が進められています。重機を遠隔で操作する際には、まるでその場にいるかのようにスムーズに動かせることや、映像の遅れがなく、リアルタイムで状況を把握できることが大切です。

また、広い工事現場で重機が自由に動き回るためには、途切れない安定した無線通信が必要です。特に、高画質な映像をたくさんのカメラから送るには、広い範囲をカバーできる通信環境を整えることが大きな課題でした。

実証実験の内容

今回の実証実験は、2026年2月2日から2月27日にかけて行われました。三重県内にある遠隔操作を行う拠点と、3台の重機を配置した工事現場の2つの場所を、IOWN APNという通信回線でつなぎました。

工事現場では、約300メートルの広い範囲をカバーするために、自動制御用の無線ネットワークとしてローカル5Gを構築しました。一方、重機の遠隔操作には、複数のカメラ映像や制御信号を遅れなく送るための無線ネットワークとしてWiGigが使われました。

実証実験概要

この環境で、油圧ショベルによる土砂の掘り起こしや積み込み、クローラー型ダンプトラックによる運搬、ブルドーザーによる土砂のならしといった一連の作業を、すべて遠隔操作と自動制御で実行できることが確認されました。また、重機が長い距離を移動する際も、安定して遠隔操作ができることが証明されました。

技術のポイント

1. IOWN APNによる重機の連携と作業の効率化

IOWN APNの大きな特徴は、通信の遅れがほとんどなく、揺らぎもないことです。この技術と大成建設の接続切り替えシステムを組み合わせることで、これまで3人がかりで行っていた複数の重機を使う作業を、1人で遠隔操作・自動制御できることが確認されました。また、オペレーターの操作を助けるMC(マシンコントロール)機能やMG(マシンガイダンス)機能も、現場で使う場合と同じくらいの高い精度で利用できることがわかりました。

さらに、MC/MG機能に使う設計データを作成する際、ドローンで撮影した大量の地形データをIOWN APNで送ることで、データを送る時間がこれまでの約8分の1に短縮されました。これにより、オフィスでの設計から現場での作業反映までがスムーズになり、全体の生産性向上につながります。

2. ローカル5GとWiGigによる安定した遠隔操作・自動制御

約300メートルの広い工事現場全体をカバーする大容量の無線ネットワークは、ローカル5Gによって実現されました。これにより、重機の位置情報を遠隔拠点に送りながら、現場全体で通信が途切れることなく重機を制御できることが確認されました。

特定の場所での重機の遠隔操作には、カメラ映像や制御信号を遅れなく送るためのWiGig機器が使われました。このWiGig機器には、NTTアクセスサービスシステム研究所のサイトダイバーシティ技術(無線端末内に複数の無線機能部を装備し、端末が主導して切り替える制御技術)が搭載されており、これにより、通信の遅れが数ミリ秒、揺らぎが数十マイクロ秒という非常に優れた性能を実現しました。これにより、よりリアルタイムな映像を見ながら、重機の移動や旋回をスムーズに行うことが可能になりました。また、WiGigを使うことで、詰所と現場の無線ネットワーク構築にかかる時間が、これまで丸一日かかっていたところを約1時間に短縮できることも確認されました。

各社の役割

  • NTT: IOWN APNとWiGigを組み合わせた遠隔操作・自動制御の技術について検討しました。

  • NTT東日本: ローカル5Gの設計、構築、運用を担当しました。

  • 大成建設: 遠隔操作・自動制御システムの技術を提供し、工事現場での利用について検討しました。

今後の展望

今回の実証実験で得られた成果をもとに、2026年度には、大きな造成工事などの現場で実際にシステムを試す予定です。さらに、2027年度には、大成建設が進めているダムの堆砂対策(ダムにたまる土砂を取り除く作業)における遠隔操作・自動制御への応用を目指しています。今後も現場への導入に向けた共同での検討を進め、建設作業の自動化を広め、人手不足などの課題解決に貢献していくとのことです。

参考情報:

×