働き方改革は進むも人手不足は深刻化、建設業界の「2024年問題」とDXの可能性
野原グループのBuildApp総合研究所は、全国の建設産業従事者1,000名を対象に、いわゆる「2024年問題」に伴う働き方改革について、法施行から約1年半が経過した現状を調査しました。建設産業が抱える「人手不足」や「高齢化による技術継承」といった課題に対し、現場のリアルな声が明らかになりました。
調査概要
この調査は2025年11月14日から11月21日にかけて、インターネットを通じて実施されました。全国の建設産業従事者1,000名から回答を得ています。
働き方改革で労働環境は改善も、人手不足は深刻化
調査結果によると、残業時間上限規制の施行後、現場の労働環境(休日・残業・安全)が改善されたと実感する人は全体の55.3%に上りました。特にスーパーゼネコン(66.0%)や準大手・中堅ゼネコン/地方ゼネコン(60.2%)で改善の実感が強く見られます。
一方で、「法律施行以前よりも現場で人手不足を実感することはあるか」という問いに対しては、全体の67.3%が「実感する」と回答しました。スーパーゼネコン(76.7%)、準大手・中堅ゼネコン/地方ゼネコン(75.9%)、サブコン/専門工事店(63.0%)といった現場に近い業種で、人手不足の深刻さが浮き彫りになっています。
労働環境が改善されたと感じる一方で人手不足も感じると回答した割合は、全体平均で53.6%を占めました。これは、人手が足りない状況でも長時間労働を強いることができないという、現場の苦悩を示していると考えられます。


建設業の賃金水準に不満を感じる人が約半数
他産業と比較した建設業の賃金水準について尋ねたところ、全体の47.0%が「低いと感じる」と回答し、「高いと感じる」の17.7%を大きく上回りました。労働環境の改善が進む中でも、待遇面への不満が残っていることがうかがえます。ただし、人手不足を感じつつ労働環境改善を実感しているディベロッパーやスーパーゼネコンでは、賃金水準が相対的に高い傾向が見られました。


外国人従業員の受け入れ、在籍事業所では肯定派が多数
人手不足解消策の一つとして注目される「外国人従業員の受け入れ」については、全体で48.9%が肯定的、33.7%が否定的と、肯定的な意見が優勢でした。しかし、「事業所における外国人在籍率」別に集計すると、外国人従業員がいる事業所では60.4%が肯定的であるのに対し、外国人従業員がいない事業所では30.4%が肯定的、43.9%が否定的と、意見が逆転する結果となりました。
この結果は、単に人手を増やすだけでなく、DXサービスなどと組み合わせて経験の少ない従業員でも一定の品質で作業を行えるような現場改善が求められていることを示唆しています。


考察:働き方改革の進展と生産性向上の重要性
今回の調査から、働き方改革によって労働環境の改善を実感する業界関係者は過半数に上ることが分かりました。一方で、建設産業が抱える最大の問題である人手不足は、法律施行以前よりも深刻さを増しているという現状があります。
外国人従業員の受け入れも進みつつありますが、受け入れが進んでいない現場では否定的な声も少なくありません。このことから、単に人手を増やすだけでなく、生産性を高めるための具体的な方法論が強く求められていると言えるでしょう。
BuildApp総合研究所は、建設DXサービスの拡充と進化が、今後の建設産業の課題解決の鍵となると見ています。
建設DXサービス「BuildApp」について

「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データを活用し、建設工程全体の生産性向上を目指すクラウドサービスです。設計積算から製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぎ、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。
これにより、設計・施工の手間や手戻りをなくし、製造・流通を最適化することで、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。

新サービス「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」
2025年2月3日より商用提供が開始された「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」は、内装仕上工事向けのサービスです。建材発注数量の算出や施工情報の自動アウトプットを可能にし、BIMを活用して建材手配に関わる業務を効率化します。これにより、熟練工でなくとも一定の品質で施工が行えるよう支援し、限られた人員で工事を効率的に進めるための生産性向上に貢献します。

まとめ
建設業界は働き方改革による労働環境の改善が見られる一方で、人手不足という大きな課題に直面しています。この課題を解決するためには、外国人従業員の受け入れと同時に、BuildAppのような建設DXサービスを活用した生産性向上が不可欠です。建設DXのさらなる推進が、業界全体の持続可能な成長と社会貢献に繋がることが期待されます。

関連リンク
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BuildApp WEB: https://build-app.jp/
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本資料限定コンテンツ: https://build-app.jp/document/2024-construction-industry-problem/
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野原グループ株式会社: https://nohara-inc.co.jp/



