全国のZEB認証データを「見える化」した無料サイト「ZEBナレッジ」が公開

ZEB普及を後押しする「ZEBナレッジ」が誕生

2026年6月3日、ZEB株式会社は、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)に関する情報を集め、誰もが見やすくした無料サイト「ZEBナレッジ」を公開しました。このサイトは、全国にある4,711件のZEB認証物件(合計6,170万平方メートルの広さ)のデータを中心に、ZEBの基本的な解説や、設計の参考になるデータ分析、経済性試算ツールなど、6つの役立つコンテンツを提供しています。

掲載されているグラフや数字は、出典をはっきり示すことで自由に使うことができ、経済性試算ツール以外は、登録せずに無料で利用できます。この取り組みは、「ZEBに関する情報を客観的なデータで共有することで、業界全体のレベルアップにつながる」という考えに基づいています。自治体や官公庁、設計事務所、ゼネコン、研究機関、学生など、ZEBの推進に携わる多くの人々が、設計や計画を立てる際の参考にできるでしょう。

ZEB普及の現状をデータで確認

2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成に向けて、オフィスビルなどの業務用建築物の省エネルギー化と脱炭素化はとても重要な課題です。しかし、ZEBに関する公的なデータはさまざまな機関に散らばっており、ZEBがどれくらい普及しているか、どんな技術が使われているか、実際にどれくらいの効果が出ているかなどをまとめて知ることは簡単ではありませんでした。

ZEB株式会社は、一般社団法人住宅性能評価・表示協会のBELS事例データや、一般社団法人環境共創イニシアチブが公開しているZEB事例・ZEB実証事業のデータ、国土交通省の建築着工統計調査報告など、公開されている情報を集めて整理し、独自の分析を加えて「ZEBナレッジ」で「見える化」しました。これにより、ZEBの全体像や最新の動きを誰もがすぐに把握できるようになりました。

「ZEBナレッジ」の「ZEBデータインタラクティブ分析(ZEB Dashboard)」で集計された、2025年度時点の主な指標は次の通りです。

  • 対象件数:4,711件

  • 延床面積合計:6,170万平方メートル

  • 平均BEI:0.30

  • ZEBの新築比率:85.9%

ZEB累計件数及び延床面積

※BEI(Building Energy Index)とは、国の省エネ基準で決められた一次エネルギー消費量に対して、設計された建物がどれくらいの割合でエネルギーを消費するかを示す数値です。1.0が基準で、数値が小さいほど省エネルギー性能が高いことを意味します。平均BEIが0.30ということは、基準と比べて平均で約7割のエネルギーを削減していることになります。

「ZEBナレッジ」の6つのコンテンツ

「ZEBナレッジ」では、さまざまな目的に合わせて使える6つの情報源が公開されています。

1. ZEBとは(基礎解説)

ZEBの定義や、「ZEB」「Nearly ZEB」「ZEB Ready」「ZEB Oriented」という4つのレベル区分、そして認証制度について、初めて学ぶ人にも分かりやすく解説されています。

2. ZEBデータベース

一般社団法人住宅性能評価・表示協会のBELS事例データを基に、全国のZEB認証物件を、年度別、用途別、地域別など、さまざまな角度から集計したデータベースです。年度ごとのZEBの種類別の件数や延床面積、新築と既存の割合、建物の用途や広さごとの集計、さらには都道府県別の普及状況などが、多くのグラフで分かりやすく示されています。

3. ZEBデータインタラクティブ分析(ZEB Dashboard)

ZEBデータベースでは固定されていた集計データを、利用者が自由に条件を変えて分析できるツールです。年度、ZEB区分、新築か既存か、建物の用途、都道府県といった6つの項目で条件を絞り込むと、件数や延床面積、BEIの移り変わりがすぐに再計算されます。日本地図ヒートマップでは、都道府県ごとのZEB件数や延床面積、ストックの割合が色の濃さで表示され、ZEBの普及が進んでいる地域が一目で分かります。この機能は、建物のオーナーへの提案資料や、営業・コンサルティングの現場で役立つでしょう。

年度別ZEB件数/延床面積の推移
日本地図ヒートマップ ― 都道府県別ZEB延床面積

4. ZEB技術の分析(ZEB Leading Owner Dashboard)

一般社団法人環境共創イニシアチブが公開する「ZEBリーディング・オーナー一覧(ZEB事例)」のデータがデータベース化されています。ZEBに採用されている断熱材、空調、照明、再生可能エネルギーなどの技術の構成を、用途別、延床面積別、地域別に確認できます。

ZEB Leading Owner Dashboard

データ件数:756件
延床面積合計:354.8万平方メートル
平均BEI(再生可能エネルギーなし):0.44
「ZEB」と「Nearly ZEB」の合計比率:48.7%

建物の断熱性能を示すBPI(Building PALstar Index)や、用途別の省エネルギー性能を示すBEI/AC(空調)、BEI/HW(給湯)などの指標が、平均値や分布(箱ひげ図)で比較して表示されます。地域区分や建物の用途、ZEBランクなどでグループ分けできるため、設計士がZEB設計の目安として活用できます。

ZEBの断熱性能(BPI)の分布比較
※BPI(Building PALstar Index)は、建物の断熱性能を示す指標です。1.0が基準で、値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。

※BEI/HWは、給湯設備の省エネルギー性能を示す指標です。1.0が基準で、値が小さいほど省エネルギー性能が高いことを表します。

また、ZEB認証物件で採用された個別の技術(外皮、空調、照明、給湯、再生可能エネルギーなど)の採用率も一覧で表示されます。これは、提案資料や設計の見直しを行う際の参考として、技術を選ぶ上での基準となるでしょう。

ZEBの技術採用率

5. ZEB実績データ分析

一般社団法人環境共創イニシアチブのZEB実証事業で公開されているデータを使って、ZEB認証建築物の「設計段階での省エネルギー計算値」と「実際に建物が使われた後の計測値」を集計・分析し、レポートとして無料で公開しています。設計段階で参照できる実績の目安として、ZEB設計に携わる人々が利用できます。

「ZEB実績データ分析」レポート概要
設計値 vs 実績値:建物用途別 散布図

このレポートは、環境共創イニシアチブが公開するZEB実証事業データをZEB株式会社が集計・分析したものです。集計値からは、設計段階での省エネルギー計算と、実際に建物が使われた後の実績との比較傾向を読み取ることができます。建物のオーナーへの説明資料や、設計時の参考データとして活用できますが、数値の解釈にあたっては、必ず元の情報(一次情報)を確認することが重要です。

6. 既存建築物ZEB化改修経済性分析ツール

このツールは、すでに建っている建物をZEB化する際にどれくらいの費用がかかり、どれくらい得をするかを簡単にシミュレーションするためのものです。初期費用、日々の運営コスト、補助金などを入力することで、投資した費用を回収するまでの期間や、建物の寿命全体にかかる費用(LCC:ライフサイクルコスト)の試算結果を確認できます。詳しい検討に入る前の段階で、ZEB改修が経済的に合理的かどうかを素早く把握するための参考情報として利用できます(無料会員登録が必要です)。

既存建築物ZEB改修のLCC分析

ZEBナレッジの活用

「ZEBナレッジ」は、以下のような方々に利用されています。

  • 自治体・官公庁: 自治体におけるZEBの実現状況の把握や、改修計画の初期検討時に、事例やデータベース、経済性試算を活用できます。

  • 設計事務所・ゼネコン: 提案段階での参考事例、技術検討、BEI値の目安など、実務資料として幅広く利用できます。

  • 研究機関・学生: ZEBの普及動向の研究や業界分析などに活用できます(引用する際は出典を明記してください)。

「ZEBナレッジ」で公開されているグラフや数値は、出典を明記すれば自由に活用できます。これは、ZEB業界全体の理解を深め、客観的なデータに基づいて意思決定を支援することを目的としています。

「ZEBナレッジ」の詳細については、以下のURLをご覧ください。
https://www.zeb.co.jp/knowledge/

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