パナソニック アドバンストテクノロジーの「CUBE-LIO」がロボティクス・シンポジア最優秀賞を受賞
パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社の研究成果「CUBE-LIO」が、ロボティクス分野の国内有数の学術会議である「ロボティクス・シンポジア」において、最優秀賞を受賞しました。この受賞は、提案された手法の目新しさ、技術的な確かさ、実際に試した結果、そして発表内容を含めた総合的な評価に基づいて選ばれたものです。

ロボティクス・シンポジアでの高い評価
ロボティクス・シンポジアは、ロボティクス分野で論文が厳しく審査され、活発な議論が行われる学術会議です。ここで採択された論文の中でも、特に優れた研究に対して最優秀賞が贈られます。
今回最優秀賞を受賞した「CUBE-LIO」は、LiDAR(レーザー光を使って距離や形を測る技術)とIMU(動きの情報を測る慣性計測ユニット)を使って、ロボットが自分の位置を推定する技術(LIO: LiDAR Inertial Odometry)です。この技術は、従来のやり方よりも精度が上がり、さらに安定して動くことができるようになった点が特に高く評価されました。
CUBE-LIOの画期的な技術
「CUBE-LIO」の研究では、LiDARが元々持っている「強度(Intensity)」という情報に注目しました。この論文では、以下の3つの技術的な貢献が示されています。
1. キューブマップ投影
これまでの多くの技術では「正距円筒投影」という方法が使われていましたが、この方法だと地図の極の部分で大きな歪みが生じていました。
「CUBE-LIO」では、3Dの点群データを6つの面を持つキューブ画像に変換して投影する方法を採用しました。これにより、
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極付近の歪みを大幅に減らすことができました。
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計算の量を減らし、約38〜43%の高速化が実現しました。
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ソリッドステートLiDARという新しいタイプのLiDARにも対応できます。
特に、ドローンのように下向きに観測する場合や、広い範囲を観測する際に、この方法がとても役立ちます。
2. IGM(Intensity Gradient Magnitude)最適化
この技術では、LiDARから得られる生の強度値ではなく、「強度の勾配(変化の量)」を直接計算に使う方法を提案しています。これにより、
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距離の変化
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レーザーが当たる角度の変化
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センサーのノイズ
といった影響を受けにくい、丈夫な光の情報を使った制約を作ることができました。研究の結果、単純な強度最適化よりもIGM最適化の方が明らかに高い精度を示すことが分かりました。
3. 幾何+フォトメトリックの同時最適化
従来の形(幾何)に基づいたLIOに加えて、強度勾配の制約をしっかりと組み合わせることで、以下の結果を達成しました。
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ENWIDEデータセットでは、10回のテストのうち9回で既存のCOIN-LIOという技術を上回る結果を出しました。
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MARS-LVIGのデータセットにおける難しい環境でも、最も良い精度を達成しました。
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特徴の少ない環境でも、位置のずれ(ドリフト)を大幅に減らすことができました。
これらの結果は、既存の最高水準(SOTA: State-of-the-Art)を超えるものです。特に、長く続く平らな壁や、特徴が少ない環境、トンネルのような場所での安定性は、「CUBE-LIO」の大きな強みです。
CUBE-LIOの紹介動画
論文の内容を説明する動画を以下のリンクからご覧いただけます。動画では、CUBE-LIOの性能比較や特徴が分かりやすく紹介されています。

パナソニック アドバンストテクノロジー製品への応用
この研究成果は、パナソニック アドバンストテクノロジーの以下の製品に今後搭載される予定です。
これにより、
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工場や倉庫のような単調な環境でのAMR(自律移動ロボット)の位置決め精度が向上します。
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トンネルなどの特徴が少ない空間でも、場所を正確に把握する精度が向上します。
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ドローンを使った測量で、難しい環境でも耐性が高まります。
今後の展望
パナソニック アドバンストテクノロジーは、これからもロボティクスや空間認識技術の研究開発を進め、社会のさまざまな課題解決に貢献していくとしています。また、学術的な成果と実際に役立つ技術の両方を大切にしながら、産業分野での活用をさらに広げていく方針です。
パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社について
パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社は、パナソニック ホールディングス株式会社の関連会社です。ソフトウェアやシステム開発を中心に、社会のインフラやモビリティ分野で先進技術を提供しています。自動車の機能安全に対応した車載ECUの開発や、建設機械の自動運転システム、物流現場で活躍するモノ搬送ロボットの開発など、モビリティ分野の高度なソフトウェア技術で社会の自動化を推進しています。また、自律移動ロボット向けソフトウェアパッケージ「@mobi」や、かんたん3D空間スキャナ「@mapper」などの自社製品も展開しています。


