建設現場の自動化を推進:自律ショベルとクローラダンプの協調による土砂運搬実証
建設現場の自動化に向けた新たな一歩:ショベルとダンプが協力して土砂を自動で運ぶ
住友重機械工業株式会社、住友建機株式会社、株式会社フジタの3社は、建設現場で土砂を自動で積み込み、運搬する新しい方法の実証試験を行いました。これは、自動で動くショベル(油圧ショベル)とクローラダンプ(土砂運搬車)が協力し、土砂を「掘る→積み込む→運ぶ→捨てる」という一連の作業を自動で行うものです。
この実証試験の目的は、建設現場で働く人の数を減らし、作業をもっと効率的にすることです。工事全体を管理するシステムからの指示で、それぞれの自動で動く建設機械が協力し、安全に作業を進められることが確認されました。これにより、作業に必要な人数を減らせる可能性が見えてきました。
実証試験の様子は、以下の動画でもご覧いただけます。
本試験の概要動画(住友重機械YouTubeチャンネル)
建設業界の課題と技術開発の背景
現在の建設業界では、若い働き手が減り、高齢化が進んでいるため、人手不足が大きな課題となっています。この問題に対応し、作業の効率を上げるために、国土交通省は「i-Construction 2.0」(※1)という取り組みを進めています。建設機械を作る会社やゼネコン(総合建設会社)も、工事を自動化するためのさまざまな技術開発を進めています。
住友重機械と住友建機は、周囲の状況を判断して自分で動く「自律型油圧ショベル」(自律ショベル)の開発を進めてきました。また、フジタは、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」(※2)などを通じて、工事管理システムから複数の建設機械に指示を出し、自動で工事を行う実証実験に取り組んでいます。
このような背景のもと、3社は建設現場の省人化(少ない人数で作業すること)と高度化を目指し、それぞれの技術を組み合わせて、土砂の積み込み・運搬の自動化について検証しました。
自動で土砂を掘り、積み、運ぶ実証実験の概要
今回の実証実験は、自動で動くショベルとクローラダンプが協力し、一般的な土砂運搬のサイクル(掘削→積み込み→運搬→排土)において、どのくらい効率的で安全に作業できるかを確かめる目的で行われました。
実証実験は、2026年1月19日から2月28日までの期間、フジタが千葉県で進めている工事現場で実施されました。

3社の役割
| 会社名 | 役割 |
|---|---|
| 住友重機械 | 工事管理システムからの指示で、自分で移動・掘削・積み込みを行う自律ショベルの提供 |
| 住友建機 | 自律ショベルの土台となるICT施工対応油圧ショベル(SH200Z)の提供 |
| フジタ | 工事管理システムを開発し、各建設機械(自律クローラダンプ、自律ショベル)に作業を指示。また、周囲の状況に応じて指定された場所へ走り、土を捨てる自律クローラダンプの提供 |
実証実験の流れ
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フジタが開発した工事管理システムが中心となり、自律ショベルと自律クローラダンプに、それぞれ「土砂を運んでほしい」「掘って積み込みを始めて/終わって」「ダンプを出発させて」などの指示を送ります。
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クローラダンプは、周囲にある障害物を自分で認識して避けながら移動します。ショベルからの土砂を受け取れる場所に止まり、車体を適切な向きに回します。
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自律ショベルは、地面の形やクローラダンプの荷台にある土砂の形をリアルタイムで認識します。そして、土を掘り、クローラダンプに連続して積み込みます。
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積み込みが終わると、クローラダンプは再び周囲の障害物を認識して避けながら移動します。そして、指定された場所で土を捨てます。

賢く、安全に動く機械たちの技術的な特徴
この実証試験で使われた技術には、いくつかの重要な特徴があります。
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ショベルは、作業の進み具合に合わせて自分で移動します。ショベル自身が、リアルタイムで最も良い掘削場所を判断し、クローラダンプに続けて土を積み込むことができます。
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ショベルの動きは、人が操作する様子を参考にしたAI(人工知能)によって、とても滑らかで、人が操作するのに近いスピードで動くことができます。
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万が一の事態に備えて、非常時に機械を止める機能や、故障時に安全な状態になる機能、通信が途切れた時に安全に動く機能など、さまざまな安全機能が搭載されています。
実証結果:作業効率と安全性の向上を確認
今回の実証試験では、以下のような重要な結果が得られました。
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工事管理システムからの指示に基づき、種類の異なる建設機械が現場で土砂の自動積み込みと自動運搬の協力作業を最後までやり遂げました。
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これまで、土を掘って積み込み、運んで捨てるという一連の作業には2人のオペレーターが必要でしたが、このシステムでは、工事管理システムのオペレーター1人で作業を進められることが確認されました。今後、協力して動かせる建設機械の数が増えれば、さらに多くの人を減らせる効果が期待されます。
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クローラダンプの荷台の位置を正確に検知し、車体にぶつかることなく、スムーズに土砂を積み込むことができました。
今後の展望:さらなる進化を目指して
今回の実証試験を通じて、自動化された現場での自律ショベルと自律クローラダンプの連携による土砂運搬の自動化が、実際に使えるレベルにあることが確認できました。今後は、さらに安全性や信頼性を高め、メンテナンスのしやすさも向上させていきます。
住友重機械、住友建機、フジタの3社は、情報通信技術(ICT)、自動化技術、ロボット技術を活用し、建設現場の負担を減らし、働く人を減らすこと、そして生産性を大きく変えることに貢献していきます。これにより、安全で持続可能な社会の実現を目指します。
参考情報
注釈
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※1:自律
機械が自分で考えて動作する(機械学習などによって最適な動作を行う)ことを意味します。 -
※2:i-Construction 2.0
国土交通省が推進する、建設現場の自動化によって生産性を高める(少ない人数で作業する)ための取り組みです。
国土交通省ウェブサイト:「i-Construction 2.0」を策定しました -
※3:戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
内閣府が主導するプログラムで、今回の取り組みは「スマートインフラマネジメントシステムの構築 サブ課題A:革新的な建設生産プロセスの構築 研究開発テーマ(a-1)「建設生産プロセス全体の最適化を実現する自動施工技術の開発」」に該当します。
SIPプロジェクトウェブサイト -
自律ショベルの開発に関する詳細はこちらをご覧ください。
住友重機械技報「自律ショベルの開発」


