AI時代に活躍する新しいデータセンター「DX edge Cool Cube」が登場
AI時代の分散型デジタルインフラ「DX edge Cool Cube」販売開始
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)と河村電器産業株式会社は、共同で開発したモジュール型エッジデータセンター「DX edge Cool Cube」の販売をIIJから開始しました。
この製品は、2025年3月に発表された試作機をもとに、実際に試したり評価したりして改良を重ね、正式な製品として提供されるものです。AIが広く使われる時代に必要な、分散型のデジタルインフラとして、設計から導入までを全面的にサポートします。価格は個別に見積もりされ、製品の標準納期は5ヵ月です。
なお、2026年3月24日~25日に開催される展示会「Data Center Japan 2026」のIIJ・河村電器産業共同ブース(ブース番号:2B-02)では、「DX edge Cool Cube」の実機が展示される予定です。
開発の背景と目的
最近、生成AI(人工知能)の利用が急速に広がり、AIの計算に使う高性能なコンピュータ(GPUサーバ)の導入が進んでいます。これらのコンピュータは熱をたくさん出し、多くの電気を使うため、データセンターでは電気の消費量が世界的に増えています。
これまでのデータセンターと比べて、1つのサーバーラックで使う電気の量が大きく増え、データセンターは冷却方法や電気の供給方法など、インフラの面で大きな変化を迎えています。
しかし、大きなデータセンターを新しく作るには、場所の確保や電気の供給、そして長い建設期間が必要で、急に増えるAIの需要に素早く対応することが難しいという課題があります。一方で、工場や研究機関、自治体などでは、データをすぐに処理したい、セキュリティをしっかり確保したいという理由から、クラウドサービスと自社の設備を組み合わせて使う方法や、現場でデータを処理する「エッジコンピューティング」という分散型のデジタルインフラの利用が広がっています。
このような状況を受けて、IIJと河村電器産業は、それぞれが長年培ってきた情報通信と電気設備の知識を合わせて、AI時代に求められる分散型デジタルインフラを実現する方法として、モジュール型エッジデータセンターを共同で開発し、今回販売を開始しました。
製品の特徴
1. 完結型エッジAI基盤
「DX edge Cool Cube」は、電源供給、冷却システム、サーバーラックが一体となった、AIを動かすための設備です。熱をたくさん出すGPUサーバを含むAIの作業に最適化されており、1つのモジュールで20kW以上の電力を供給でき、効率の良い冷却機能も備えています。主要なサーバーメーカーのラックシステムにも対応しており、クラウドに頼らず、生成AIや推論処理のデータを自社の環境内で完結させる「プライベートAI」の実行基盤として利用できます。

2. コンパクトなモジュール連結とスケーラブルな構成
電気設備、IT機器、冷却装置(チラー)の各モジュールを組み合わせて、必要な規模に応じて1ラックから導入できます。GPUの追加や拠点の増設も柔軟に対応できるため、分散型インフラの構築をサポートします。

3. 安定した品質、低コスト、短い納期
電気を受け取るための箱(受電キュービクル筐体)を活かしたモジュール構造のため、新しいデータセンターの建物を建てる必要がありません。そのため、屋内外どちらにも設置できます。現地での設計や工事を最小限に抑えることで、品質を安定させ、短い納期で提供することを可能にしました。建物型のデータセンターやコンテナデータセンターと比べて、効率的な投資で、AI基盤を短期間で立ち上げることができます。
活用される場面
1. 電力と情報通信を最適化する分散型デジタルインフラ
余った電気の活用や発電所の近くに設置したり、工場跡地や倉庫などの既存の施設を活かしたりして、分散型のAIデータセンターとして導入できます。データセンターを運営する会社や、公共・エネルギー関連の会社に加え、建設会社や設備工事会社との再開発・改修プロジェクトで、GPUに特化したデータセンターの案件にも対応します。
2. 製造業、研究開発拠点、医療機関などの自社専用AI基盤
秘密性の高いデータを扱う現場で、データを外部に出さずにAIを動かすための基盤として活用できます。小規模な実証実験から大規模な商業利用まで、高いセキュリティや通信の遅れが少ないことが求められるAIの作業を現場で実行できます。
3. 通信の遅れが少ないMEC(Multi-access Edge Computing)/エッジAIの社会実装
自動運転や映像解析、スマートシティなど、リアルタイムでの処理が求められる分野で、通信の遅れを抑えた分散配置型のAIとして活用できます。最小限の構成での実証導入から、商業規模での展開までサポートします。
DX edge Cool Cube 標準仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| サーバ負荷容量 (1ITモジュールあたり) | ・空冷 最大45kW ・液冷 60kW (CDU冷却能力による) |
| PDU入力電源 | 単相200V または三相4線400V |
| モジュールサイズ(mm) | W1000/1200 x D2000 x H2500 |
| 収納ラック | EIA規格19インチラック(1ラック42RU) ※DLCの場合、インラックCDU搭載等のカスタマイズ対応 |
| 冷却方式 | 空冷(In-Row空調)および直接液冷(DLC:Direct Liquid Cooling) |
| 設置環境 | 屋内設置、屋外設置タイプ ・外部環境温度: -20℃~40℃ (連続使用温度)、-25℃~45℃(最大許容温度) ・防じん防水性能:IP55 |
| その他機能 | ・複数モジュール連結でN+1構成 ・遠隔環境監視制御(設備状況、環境センサー、火災予兆検知) ・物理セキュリティ ・防音仕様 |
今後の展望
IIJと河村電器産業は今後、地域に分散されたデータセンターの展開や、再生可能エネルギーを活用したモデルの構築を進めていきます。また、現在行われている地域分散型インフラの実証実験で得られた知識をもとに、日本国内だけでなく海外でも、分散型デジタルインフラの導入をさらに促進していく予定です。


