住友重機械とNEC、油圧ショベルの映像・センサデータで建設現場のヒヤリハットを自動抽出・レポート化するシステムを共同開発

建設現場の安全向上へ、住友重機械とNECが新システムを共同開発

住友重機械工業株式会社と日本電気株式会社(NEC)は、事故のない安全な建設現場を目指し、油圧ショベルの映像やセンサデータを活用してヒヤリハットを自動で抽出し、安全行動を促すレポートを生成するシステムの共同開発を2026年4月から開始します。

建設現場における安全管理のサイクル

開発の背景

日本の労働災害は全体的に減少傾向にありますが、天候や地質、常に変わる作業環境の影響を受けやすい建設業では、依然として多くの事故が発生しています。そのため、デジタル技術を使った新しい安全支援システムが求められていました。特に、現場の映像や作業記録から危険な兆候がある場面(リスクシーン)を自動で探し出し、分かりやすく示すシステムが必要です。これまで、建設機械の映像データ収集からリスクシーンの抽出、ヒヤリハットの分析、レポート作成までを一貫して行えるシステムは存在しませんでした。

こうした状況を受け、建設機械の知識とデータ分析技術を持つ住友重機械と、映像認識技術や生成AI技術を持つNECが協力し、油圧ショベルのカメラ映像やセンサ情報をもとに、現場の課題に合わせたヒヤリハットの抽出とレポート作成を自動で行うシステムの開発を、業界で初めて進めることになりました。

システムの概要

このシステムでは、まず住友重機械グループのICT/IoT共通基盤「SHICuTe(シキュート)」に集められた油圧ショベルの実際の現場データを学習したAIが、撮影された映像からリスクシーンを見つけ出します。見つけ出されたリスクシーンと油圧ショベルの操作情報は、NECが開発した映像認識と生成AIを組み合わせた技術(注2)で分析され、時間や場所の情報を含むデータとして保存されます。このデータは、住友重機械が持つ建設現場での機械と人の作業に関する知識、事故や機械の故障につながる危険・禁止行動のデータ、そして企業独自のデータと照らし合わせられます。この照合結果を使って、報告すべきリスクシーンが抽出され、その状況をまとめた質の高いヒヤリハットレポートが自動で作られます。

建機の映像・センサーデータを用いてリスクシーンを抽出し、AIで要約してヒヤリハットレポートを自動生成するシステムフロー図

この取り組みに先立ち、2025年9月には、油圧ショベルのカメラ映像からヒヤリハット事例の抽出とレポート自動生成に関する技術的な実証が行われました。その結果、映像から特定されたリスクシーンから、事故につながる可能性のあるケースとその状況を含むヒヤリハットを報告できることが確認されています。この成果を踏まえ、2026年4月からの共同開発では、さらに多くの種類のヒヤリハットを抽出できるようにしたり、顧客の安全対策に合わせたレポート生成機能を強化したりすることで、より安全な作業現場の実現を目指します。

今後の展望

2026年度には、住友重機械の現場データや安全管理の知見、NECのAI技術や先端技術コンサルティングサービス(注3)などを活用し、このシステムの技術開発と事業として成り立つかの検証を進め、2027年度の実用化を目指しています。将来的には、人と機械が接触して労働災害が発生する可能性のある場面だけでなく、さまざまな作業者が気づいていない危険な状態や、現場ごとの特別なルールにも柔軟に対応できるよう、システムの適用範囲を広げていく予定です。

住友重機械とNECは、これからもそれぞれの強みを合わせて開発と検証を重ね、安全な建設現場を実現するための新しい技術を社会に提供していくとのことです。

関連情報

×