芝浦工業大学、デジタルツインの安全を守る「マルチLiDAR異常検知技術」を開発、特許出願へ

芝浦工業大学は、デジタルツインの安全性を大きく向上させる「マルチLiDAR異常検知技術」を開発し、この技術の特許を出願しました。この成果は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の委託研究から生まれ、同大学認定ベンチャーである株式会社ハイパーデジタルツイン(HDT)のセキュリティ強化に活用されます。

サイバー・フィジカル連携の安全性を確立

この技術は、現実世界を再現するLiDAR(ライダー)ネットワークにおいて、データの改ざんや機器の故障、センサー同士の干渉といった異常を素早く見つけ出すものです。これにより、デジタルツイン全体の信頼性が保たれます。

本研究は、株式会社KDDI総合研究所が代表機関となり、芝浦工業大学が分担機関(研究責任者:新熊 亮一教授)として参加したプロジェクト「デジタルツインによるサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤」の一環として進められました。特に、センサーからのデータ異常を検知するアルゴリズムは、芝浦工業大学が開発しました。

内閣府のSBIR制度によって設立された、芝浦工業大学初の認定ベンチャーであるHDTは、この特許技術を自社の事業に取り入れます。これにより、HDTが提供する自律移動支援や都市DXインフラのセキュリティがさらに強固になります。

なぜ「セキュリティ基盤」に「LiDARの異常検知」が必要なのか

デジタルツインでは、現実空間(フィジカル)の情報を仮想空間(サイバー)に正確に映し出すことが重要です。そのためには、センサーから送られるデータが間違いなく正確である必要があります。しかし、多くのLiDARが使われる場所では、悪意のある信号の混入や機器の故障、センサー同士の干渉によってデータが間違ってしまうことがあります。これがサイバー空間での誤った判断につながり、大きな事故の原因となるリスクがあります。

この研究では、複数のLiDARから集まるたくさんの情報を解析し、それらの情報がリアルタイムで正しいかどうかを評価します。これにより、異常をすぐに発見し、問題のある部分を特定する手法が実証されました。これは、「サイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤」の信頼性を高めるための、非常に大切な技術です。

4機のLiDARで立方体形状の物体をセンシングした点群データ。うち1機のLiDARの点群が赤に色付けされており、図(b)では異常により立方体が欠けている。
図:4機のLiDARで立方体形状の物体をセンシングした点群データ。図(b)では異常により立方体が欠けている様子が示されています。

今後の展望:HDTによる社会実装とセキュリティの高度化

この特許技術は、新熊教授が設立したHDTに提供されます。HDTは、自律移動ロボットや乗り物の走行を支援するデジタルツイン基盤を作っており、この技術を使うことで、外部からの妨害や故障に強い「高信頼・高セキュリティなインフラ」を提供できるようになります。

論文情報

  • 著者:芝浦工業大学大学院理工学研究科 修士1年 須藤 光琉、芝浦工業大学大学院理工学研究科 修士2年 佐藤 駿介、芝浦工業大学工学部 教授 新熊 亮一、芝浦工業大学工学部 教授 Trovato Gabriele

  • 論文名:Feasibility study on anomaly detection in multi-LiDAR sensor network

  • DOI:https://doi.org/10.1109/ICCCN65249.2025.11133896

芝浦工業大学とは

芝浦工業大学は、工学部、システム理工学部、デザイン工学部、建築学部、大学院理工学研究科を持つ大学です。グローバル教育と産学連携の研究活動が特徴で、東京都(豊洲)と埼玉県(大宮)にキャンパスがあります。約10,000人の学生と約300人の教員が所属しており、2027年には創立100周年を迎え、アジア工科系大学トップ10を目指しています。
https://www.shibaura-it.ac.jp/

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