建設現場の未来を拓く:3Dプリンタで柱・梁・スラブ一体型PCa部材の製作・施工技術を実証

建設用3Dプリンタで画期的な一体型PCa部材を実証

日揮グローバルと大成建設は、建設用3Dプリンタを活用し、柱・梁・スラブの型枠を一体で造形する大型プレキャスト(PCa)部材の製作・施工技術を実証しました。この取り組みは、土木学会が定める「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針(案)」に基づく初めての事例となります。

建設業界が抱える課題と新技術の登場

建設業界では、働く人の不足が深刻化しており、生産性の向上が大きな課題となっています。PCa工法は、現場での作業を減らし、工事期間を短くできる有効な方法として広く使われています。しかし、近年はプラントやインフラ施設の大型化・複雑化が進み、部材の数が増えることで、施工の手間や品質管理が難しくなるという問題がありました。

こうした課題に対し、今回実証された技術では、これまで別々に作ってつなぎ合わせていた柱・梁・スラブのPCa部材を、建設用3Dプリンタで型枠を一体で造形することで、一つにまとめて製作します。これにより、必要な部材の数や、それらをつなぎ合わせる作業を大幅に減らすことができます。

建設用3Dプリンタを活用した柱・梁・スラブ一体型大型PCa部材の製作・施工プロセス

新技術の特長と期待される効果

この新しい技術には、いくつかの重要な特長があります。

1. 施工性と安全性の向上

柱・梁・スラブの型枠を一体で造形し、大型PCa部材として製作することで、部材を分割する回数や接合作業が減ります。これにより、人の手による作業や高い場所での作業が少なくなり、工事のしやすさや安全性が高まります。

2. ニアサイトプリントによる生産性向上

建設現場の近くで部材を製作する「ニアサイトプリント」という方法により、大きな部材でも運ぶ際の制限を受けることなく作れるようになります。材料の調達期間が短くなり、工事のリスクが減るだけでなく、現地で手に入る材料を使うことでコストも抑えられます。

建設現場で協働する3Dプリンターや建設ロボットのイメージ

3. 大型・複雑な構造物への高い適用性

建設用3Dプリンタは、自由な形で型枠を作れるため、配管や周辺設備が多くて複雑なプラントの支持架構など、難しい条件を持つ構造物にも柔軟に対応できます。

実証の結果と今後の展望

福島県浪江町で行われた今回の実証では、実際の大きさの柱・梁・スラブ一体型PCa部材について、施工のしやすさ、品質、耐久性を詳しく調べました。その結果、設計通りの形や強度を確保できること、そして工事期間の短縮や作業の負担を減らせる効果が確認されました。

この技術は、プラント施設だけでなく、建物の基礎部分やインフラ施設など、幅広い分野で活用できる可能性が見つかっています。今後、日揮グローバルと大成建設は、この技術をさらに進化させ、標準化を進めて国内外の建設プロジェクトに広めていく計画です。将来的には、人手による作業を50%、コストを15%削減することを目標としており、建設工事の生産性向上と安全確保、そして人手不足という社会的な課題の解決を目指していきます。

関連情報

×