AI投資が進む中、従業員は年間51日分の時間を損失か – デジタルツールの「摩擦」が課題

WalkMe株式会社は、第5回年次調査「デジタルアダプションの状況 2026」レポートを発表しました。この調査により、企業がAIへの投資を記録的な水準で行っているにもかかわらず、多くの従業員がAIツールから離れている実態が明らかになりました。

AI投資と従業員の利用実態の乖離

調査によると、過去30日間に半数以上(54%)の従業員がAIツールを使わずに手作業でタスクを完了しており、さらに33%の従業員はAIを全く使っていません。この状況は、単なる「摩擦」ではなく、AIに対する「明確な拒絶」と表現できるほどです。

従業員1,000名以上の企業を対象に、14カ国・3,750名の経営層と従業員に実施されたグローバル調査では、両者の間に根本的な認識のズレがあることが判明しました。

経営層と従業員の認識ギャップ

具体的な認識の乖離は以下の通りです。

  • AIに対する信頼の52ポイントの差: ビジネス上の重要な意思決定でAIを信頼している従業員はわずか9%に留まる一方で、経営層では61%に達しています。

  • ツール充足度の67ポイントの差: 経営層の88%が「従業員に十分なツールを提供できている」と確信しているのに対し、同意する従業員は21%に過ぎません。

  • 生産性に関する認識の乖離: 経営層の81%が「AIによって生産性が大幅に向上した」と考える一方で、従業員は週に7.9時間(実質的に毎週まる1営業日分)をデジタル上での不満解消に費やしています。

テクノロジーフリクションによる時間損失の悪化

従業員は、テクノロジーとの摩擦により年間で51営業日もの時間を失っており、これは2025年と比較して42%も悪化しています。失われる時間は2024年の43日から2025年には36日へと一時的に改善傾向にありましたが、AIツールの急速な導入により、過去3年間で最も悪い水準にまで悪化しました。前年比38%増のデジタル投資が行われているにもかかわらず、その投資の40%は期待された成果を出せていない状況です。

ソフトウェア&AIの摩擦による年間労働日数損失

WalkMeの共同創業者兼CEOであるダン・アディカ氏は、「問題はAIの能力ではなく、人間側の信頼のギャップ、ガバナンスのギャップ、そして『誰が、いつ、どのようなルールのもとで行動するのか』という問いにある」と述べています。そして、この問題はAIが賢くなるほど難しくなると指摘しています。

「信頼の溝」が加速させる「シャドーAI」問題

信頼のギャップは、「シャドーAI」と呼ばれる問題も加速させています。少なくとも45%の従業員が過去30日間に企業から承認されていないAIツールを使用しており、そのうち36%は機密データを扱う業務にも利用していました。

一方で、経営層の78%はシャドーAIの利用に対して懲戒措置を取りたいと考えているにもかかわらず、AI利用に関する社内ポリシーについて警告を受けたことがある従業員はわずか21%です。さらに、34%の従業員は「自社が承認しているAIツールを把握していない」と回答しています。

The Futurum Groupのキース・カークパトリック氏は、「シャドーAIの利用は、罰すべき行動ではなく、システム上のギャップに対処するチャンスとして捉えるべきだ」と指摘しています。従業員が承認されていないAIツールを使うのは、公式ツールやガバナンスの不明瞭さによって生まれるパフォーマンスや効率性のギャップを埋めようとしているため、と分析しています。

レポートとウェビナーのお知らせ

「デジタルアダプションの状況 2026」レポートの全文は、以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.walkme.com/jp/the-state-of-digital-adoption-2026/

本レポートを解説するウェビナーも開催されます。

  • タイトル: 『AI導入の「理想」と「現実」のギャップを埋める方法 〜グローバルの最新AI調査から読み解く課題と解決策〜』

  • 日時: 2026年5月21日(木)14:00-14:40

  • お申込み: https://events.walkme.com/soda_webinar

調査方法について

「デジタルアダプションの状況 2026」は、従業員1,000名以上の企業を対象に、14カ国・3,750名(上級経営層1,700名、オフィスワーカーおよびハイブリッドワーカー2,050名)に対して実施されたグローバル調査に基づいています。調査は独立系の調査会社を通じてオンライン形式で行われました。同時にWalkMeは、数千の企業向けアプリケーションにわたる、数百万件の実際のワークフローを分析しています。

WalkMe株式会社について

WalkMeは、企業のAI活用を成功に導くための基盤を提供しています。コパイロットやAIエージェントが従業員の画面上の状況を把握し、アプリケーションを横断して機能することで、企業が変化に迅速に適応し、より良い意思決定と継続的な学習を実現できるよう支援しています。WalkMeは、旭化成、荏原製作所、富士通、アメリカ国防総省などの企業に利用されています。

詳細は公式サイトをご覧ください。
https://www.walkme.com/jp/

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