元東芝エンジニアが中小企業のAI化に挑む理由:株式会社Leach代表・冨永拓也氏の軌跡
株式会社Leach代表の冨永拓也氏は、東芝での9年間のキャリアを経て、生成AIスタートアップを創業しました。彼のエンジニアとしての原点から、中小企業のAI化に人生をかける決意に至った背景、そしてLeachが提供する革新的なサービスまでを紹介します。
エンジニアとしての原点と東芝での経験
冨永氏は、熊本高専の情報電子工学科でプログラミングの基礎を学び、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)で修士号を取得しました。学生時代には、情報処理学会でのベストプレゼンテーション賞や優秀論文賞など、複数の学会賞を受賞。また、アカツキやSpeeeといった成長企業でのインターンシップも経験し、スタートアップのスピード感を肌で感じました。

2015年に東芝に入社後、インダストリアルICTソリューション社で、約20万行のコード規模を持つ社内向けWebアプリケーション開発を担当しました。このシステムは、社内の各開発プロジェクトのデータを集約し、経営層が進捗状況を可視化できるダッシュボードを提供するものでした。また、バグが発生しやすいモジュールを予測する研究にも取り組み、その功績で業務表彰・優秀賞を受賞しています。
キャリアの途中では、ニアライン向けHDDのファームウェア開発にも携わり、低レイヤーの技術を習得。その後、C向けのデータ蓄積・分析基盤の設計において、Terraformで7,000行を超えるインフラ設計を行い、AWSの知識を深めました。その集大成として、2024年1月にはAWS認定資格全12冠を約1ヶ月で取得し、東芝初、グループ内でも2人目という快挙を成し遂げています。
2022年からは東芝テックのCDO(最高デジタル責任者)室に出向し、GoogleやMcKinseyとの共同プロジェクトに参加しました。McKinseyのAI部門QuantumBlackとは、NVIDIA GPUを用いた小売データのリアルタイム分析基盤を構築するプロジェクトに携わり、Googleとの協業では、Google Cloud Blogにも取り上げられるなど、世界トップレベルのエンジニアリング文化を体験しました。

創業の原点とLeachの誕生
冨永氏が東芝を離れ、生成AIスタートアップを創業する決定的なきっかけは、退職前後に訪問した中小企業の現場で目にした「絶望的な風景」でした。ある会社では、PDF書類と紙の帳票を定規で1行ずつ突き合わせる作業を、また別の会社では、受発注データを手作業でコピー&ペーストする作業を、朝から晩まで繰り返している社員がいたのです。
最先端のAI・DXが語られる「上空」と、現場の「足元」にある非効率な実態とのギャップに衝撃を受け、「この問題を解決するには、大企業ではなく、中小企業の現場に入り込み、生成AIの力で一つひとつの業務を変えていくしかない」と確信。2024年11月13日に株式会社Leachを創業しました。

Leachの成長と提供サービス
Leachは創業後、急速な成長を遂げています。2026年3月には、Y Combinator公認ハッカソン「c0mpiled-7: San Fransokyo」で技術賞「The Biggest Engineering Lift」を、さらにその約2週間後には、Digital Garage共催の「Builders Weekend 2026 Tokyo」でVoiceOS賞を連続受賞しました。

現在、Leachの主力プロダクトは以下の2つです。
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突合.com: PDF書類同士をAIが自動で突き合わせるサービスです。2人で2時間かかっていた作業を、1人で30分に短縮できるとされています。
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Saturn: 受発注管理システムCORECから会計ソフトfreeeへのデータ転記をAIが完全に自動化するサービスです。月額3万円で、毎日8時間の転記作業が10分になるという実績があります。
また、月額5万円から提供される「生成AI顧問」サービスも展開しています。このサービスは、生成AIの活用相談はもちろん、社内ITインフラの構成、最新の生成AI動向の提供、Python勉強会の開催、さらには外部ベンダーの見積もり精査とコスト最適化まで、幅広い技術支援を提供しています。過去には、170万円の見積もりを100万円に圧縮した実績もあります。

さらに、Leachは業種特化型のAI業務OSとして、FactoryOS(製造業)、FestOS(イベント業)、BuildOS(建設業)、RecruitOS(人材紹介業)、LogiOS(運送業)、WasteOS(廃棄物処理業)の6つを展開しています。これらのOSは、汎用SaaSでは対応しきれない業界固有の課題をAIで解決し、真のDXを推進することを目指しています。
中小企業へのメッセージ
冨永氏は、「AIは難しい」「うちには関係ない」と考えている経営者の方々に向けて、「それは違います」と語りかけます。現場で疲弊している人々の業務を効率化できる技術が、今ここにあります。例えば、定規でモニターを見て書類を突き合わせる作業を30分に、毎日8時間繰り返すコピー&ペースト作業を10分に短縮できる可能性があるのです。
株式会社Leachは、中小企業の現場に寄り添い、生成AIの力で業務の変革を支援します。興味をお持ちの方は、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
株式会社Leachに関する詳細は、公式サイトをご覧ください。


