日本の建築ファサード市場、2034年に約1.8兆円規模へ成長予測 – 環境と技術が進化を牽引

株式会社マーケットリサーチセンターは、2026年から2034年までの日本の建築ファサード市場に関する詳細な調査レポートを発表しました。このレポートは、市場の規模や動き、今後の予測、関連する企業の情報などをまとめています。
成長を続ける日本の建築ファサード市場
日本の建築ファサード市場は、今後大きく成長する見込みです。2025年には63.7億米ドル(約9000億円)の価値に達し、2034年までには126.6億米ドル(約1.8兆円)にまで拡大すると予測されています。これは、2026年から2034年の間に毎年平均7.94%の成長率で伸びることを意味します。
この成長を後押ししているのは、日本が目指すカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること)の目標です。商業施設や住宅で、エネルギー効率の良いファサード(建物の外装)が積極的に取り入れられています。また、厳しい環境に関するルールや政府の支援策も、熱の性能や自然の光の取り入れ方を良くする、環境に優しい外装システムへの投資を促しています。地震に強い建物を建てることや、見た目のデザインを自由にカスタマイズしたいという要望も、市場が広がる理由となっています。
市場を牽引する材料と用途
2025年時点では、ファサードに使われる材料の中でガラスが市場の約30%を占め、最も多く使われています。ガラスは、優れた断熱性や太陽光をコントロールする機能があり、現代の建物に求められる美しい見た目も提供できるため、需要が高まっています。
製品の種類では、クラッディングシステム(建物の外壁を覆うシステム)が市場の約25%を占めています。これは、様々な建物の要求に応えられる柔軟性や取り付けやすさ、そして日本の建設環境における多様な建物デザインとの相性の良さが評価されているためです。
用途別に見ると、商業施設が市場の約30%を占める最大の分野です。これは、都市の再開発プロジェクトや、オフィスビル、商業施設、複合施設の建設が盛んに行われているためです。建設会社は、大規模なプロジェクトで中心的な役割を果たすとともに、最新のファサード技術を積極的に取り入れていることから、エンドユーザー別では約30%のシェアを占めています。
地域別では、東京とその周辺の県で多くの大規模な建設プロジェクトや都市インフラの近代化が進んでいるため、関東地方が市場の約35%を占めています。
日本の建築ファサード市場のトレンド
環境に配慮したファサードの重視
日本が2050年までのカーボンニュートラル達成を目指していることから、建設業界ではファサードの材料選びやデザインにおいて、環境への配慮が非常に重要視されています。建物のエネルギー消費を抑えるために、高性能なガラス、太陽光発電パネルを組み込んだファサード、断熱性の高いクラッディングシステムなどが積極的に採用されています。例えば、大林組は2024年4月から、建設現場でバッテリー式のバックホー(掘削機)を導入し、2030年までに二酸化炭素排出量を46.2%削減する目標を掲げています。これは、建設業界全体で持続可能な取り組みが進んでいることを示しています。
地震に強いファサードへの需要増加
日本は地震が多い国であるため、地震が起きても建物の構造が壊れないように設計されたファサードシステムへの需要が高まっています。地震の揺れを吸収する仕組みや、振動を抑えるダンパー、柔軟な取り付け方法などが、建物の外装に取り入れられています。2023年に完成した森JPタワー(高さ325.2メートル)は、高強度コンクリートと特殊なダンパーを組み合わせることで、地震時にも機能するよう設計されています。この建物は、蓮の花をイメージしたガラスのファサードが特徴です。
スマートでカスタマイズ可能なデザインの普及
見た目が個性的で、技術的に進んだファサードのデザインが、特に商業施設や複合施設の開発で注目されています。コンピューターを使ったデザインソフトウェアや3Dプリンターのような新しい技術を使うことで、これまでの方法では難しかった複雑で個性的なデザインが可能になっています。
リアルタイムでエネルギー使用状況を監視するセンサーを組み込んだ「IoT対応スマートファサード」も普及が進んでいます。日本のIoT市場は2024年に604億7760万米ドルに達しました。

小売店や商業施設では、顧客の目を引き、ブランドのイメージを高めるために、ユニークなファサードデザインが活用されています。
市場の成長を後押しする要素
日本の建築ファサード市場の成長を支える主な要素は以下の通りです。
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政府による持続可能な建設への支援: 2050年までのカーボンニュートラル目標達成に向け、政府はエネルギー効率の良い建築技術に多額の投資を促しています。グリーンビルディングプログラムを通じて、環境に配慮したファサードを取り入れる開発に対し、補助金や税金の優遇措置が提供されています。
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都市再開発とインフラ投資の加速: 東京、大阪、名古屋などの大都市圏では、都市を新しくするプロジェクトやインフラを近代化する計画が活発に進められています。2023年度には、日本の公共建設投資が25.3兆円に達し、建物のリノベーションや新しい建設が盛んに行われています。これにより、高性能なファサードシステムへの需要が高まっています。
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ファサード材料とシステムの技術革新: IoTセンサーでエネルギーを監視するスマートファサードや、自動で光を調整するエレクトロクロミックガラス、建物自体で電気を作る太陽光発電システムなど、最新の技術がファサードに取り入れられています。これにより、ファサードの機能が向上し、新しい製品が次々と生まれています。
市場が直面する課題
一方で、日本の建築ファサード市場にはいくつかの課題も存在します。
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建設業界の労働力不足: 高齢化により、ファサードの設置や関連作業を行う熟練した職人が減っており、プロジェクトの期間が延びたり、人件費が上がったりする可能性があります。
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材料費の高騰と供給の不安定さ: 世界的な供給網の乱れや材料の価格変動により、アルミニウムやガラスなどのファサード材料のコストが上昇し、建設プロジェクトの利益を圧迫しています。
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地域ごとの規制の複雑さ: 日本の各都道府県で建築基準やエネルギー効率の基準が異なるため、全国で事業を展開する企業にとっては、設計コストや認証にかかる時間が増える原因となっています。
競争状況
日本の建築ファサード市場は、国内外の多くの企業が競い合っています。日本の主要なガラスメーカーや建設資材会社、専門のファサード製造業者は、その技術力と建築家や建設会社との信頼関係を通じて、強い立場を保っています。企業は、環境に優しい製品や資源を循環させる取り組みを通じて、他社との差別化を図っています。また、日本の企業と海外の技術を持つ企業との協力関係も増えており、これにより新しい技術が日本市場に導入されています。
まとめ
日本の建築ファサード市場は、都市の再開発、厳しい環境基準、そして高性能な外装材への需要の高まりによって、今後も着実に成長していくでしょう。政府の政策や技術の進化が市場をけん引する一方で、労働力不足やコスト変動といった課題への対応も求められます。ファサードは、単に建物の外観を飾るだけでなく、機能性、文化、環境への配慮など、多くの要素が複雑に絡み合う重要な部分であり、その進化は未来の建築においてますます重要性を増すことでしょう。
レポートに関する情報
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