安藤ハザマ、IOWN技術で山岳トンネルの高速データ通信実証実験を開始

安藤ハザマは、NTT株式会社が提唱する次世代情報通信基盤「IOWN(R)」の建設現場への適用を目指し、山岳トンネルでの大容量高速データ通信の実証実験を2026年3月から開始しています。この実験は、東海北陸自動車道(4車線化)椿原トンネル工事の現場で行われています。

実証実験の背景

建設業界では、人手不足や熟練者の高齢化が課題となっており、特に災害リスクが高いトンネルの掘削現場(切羽)での作業の遠隔管理が求められています。しかし、これまでの現場ネットワークでは、遠隔地から施工状況を高精細な映像で確認したり、大量の点群データをリアルタイムで送ったりすることが難しく、遠隔管理の実現を妨げていました。

今回の実証実験では、IOWN(R)の技術を使うことで、複数の場所を同時に遠隔で監視したり、レーザースキャナで得られた点群データをすぐに分析したり、高精細な映像で現場の状況を遠隔から確認したりできるような情報基盤と通信ネットワークを作ることを目指しています。

実証実験の概要

目的

山岳トンネルの坑内という特殊な環境で、IOWN(R)技術が通信基盤としてどれだけ役に立つか、また、実際に大容量で高速な通信ができるかを確認します。これにより、将来の技術的な基準や評価方法を定める予定です。

トンネル坑内の大容量高速データ通信実証実験の範囲
図1:トンネル坑内の大容量高速データ通信実証実験の範囲

内容

実験では、トンネルの坑内に光ファイバーやスイッチ、ルータなどを使った高速通信ネットワークを構築します。そして、8K解像度の360度カメラやレーザースキャナ、ダミーデータ発生装置などを使って、実際の工事現場でかかる通信の負担を再現します。

具体的には、長さ1,500mのトンネル区間と、そこから1,000km離れた遠隔拠点との間で通信の遅れを再現したり、複数のカメラを同時に接続して通信に大きな負荷をかけたりする試験を行います。これにより、通信の速さ、遅延、通信の揺らぎ(ジッタ)、データの損失(パケットロス)、エラーの発生率などを数値で測り、通信基盤に必要な技術的な条件を調べます。

実証試験ネットワーク構成概要図
図2:実証試験ネットワーク構成概要図

実施場所と期間

  • 実施場所: 東海北陸自動車道(4車線化)椿原トンネル工事

  • 実施期間: 2026年3月2日~3月17日(予定)

実施体制

安藤ハザマが実験全体の管理(計画、現場での計測、安全管理、データの評価など)を行い、NTT株式会社と1Finity株式会社が協力して実験を進めています。

IOWN(R)技術とは

IOWN(R)(Innovative Optical and Wireless Network)は、NTT株式会社が提唱する次世代の情報通信基盤の構想です。光を中心とした革新的な技術を使うことで、非常に速く大容量の通信や、たくさんの計算資源を効率的に提供することを目指しています。

IOWN(R) APN(オールフォトニクス・ネットワーク)は、IOWN(R)を構成する主要な技術の一つです。これは、通信の始まりから終わりまで全てに光ベースの技術を導入し、光の波長を使ったネットワークを構築することで、圧倒的に少ない電力で、速く大容量のデータを、遅延なく送ることを目標としています。

期待される成果と今後の展望

この実証実験によって、閉鎖された空間で粉じんや湿気、振動といった通信機器にとって厳しい条件がそろう山岳トンネルの坑内という環境で、実際に通信がどれだけ有効か、また運用上のどんな課題があるかがはっきりするでしょう。

今回の実験で得られる数値データや運用に関する知識をもとに、山岳トンネル向けの通信技術の要件や評価基準、そして標準的な導入ガイドラインが作られることが期待されます。

この実証実験は、以前に公開された山岳トンネル施工管理の遠隔化に関する取り組みに続くものです。安藤ハザマは、今回の過酷な現場環境で実証された通信技術とノウハウを、将来的にさまざまな通信環境で行われる土木・建築工事全体にも広げていくことを考えています。

×