首都高初の狭小空間ドローン点検DX化実証実験が完了 – 電波不感地帯での安定飛行と遠隔点検の可能性を検証

2026年3月12日、首都高速道路株式会社、首都高技術株式会社、株式会社JDRONE、KDDIスマートドローン株式会社、NTTドコモビジネス株式会社の5社が共同で、首都高速道路八重洲線のトンネル換気ダクト内でドローンを使った点検の実証実験を行いました。この実験は、電波が届きにくい狭い場所でのドローンによる構造物点検や、災害時の状況把握を目的としています。

コンクリート製の天井に開けられた丸い穴と、そこから伸びる金属製のはしごが写っています。

実証実験の目的と概要

今回の実証実験は、2026年2月9日と12日に、首都高速八重洲トンネルのダクト内で実施されました。トンネルの換気ダクトのような狭い空間は、GPSが届かず、暗く、電波も届きにくいという厳しい環境です。そのため、従来のドローンでは安定した飛行やリアルタイムでの情報共有が難しいとされていました。

この実験では、最新の通信技術とドローンの飛行技術を組み合わせることで、このような厳しい環境下でもドローンが構造物の状態を確認したり、災害時に素早く被害状況を把握したりできるかを検証しました。

実証実験の様子をまとめた動画はこちらからご覧いただけます。
実証実験当日の様子(ダイジェスト動画)

常盤橋換気所から神田橋JCTまでの延長約360mの飛行経路とマンホールが示された地図と、幅約8~13m、高さ約5mのトンネル断面図が描かれています。

各社の役割と具体的な検証内容

この実証実験には、以下の企業がそれぞれの役割を担って参加しました。

この表は、あるプロジェクトにおける各企業の役割と使用機体名を示しています。

株式会社JDRONEの取り組み

株式会社JDRONEは、作業員が内部に立ち入れない状況を想定し、マンホールの上から延長アンテナを使って通信環境を整えました。そして、マンホールの上部からマイクロドローンを遠隔操作し、約100mのダクト内部を飛行させて構造物の詳細点検を行いました。

この画像は、360°カメラと4Kカメラを搭載した2種類のマイクロドローンの仕様を比較した表です。

常盤橋換気所から西銀座JCTまでの約360m区間における飛行経路図です。

この結果、災害時など人が入れない場所でも、マンホールのような狭い開口部から安全かつ迅速に点検できることが確認されました。これにより、初動対応の迅速化や点検業務の負担軽減、安全性の向上につながる重要な知見が得られました。ただし、操作には操縦者の高い技術が必要であるという課題も明らかになりました。

ドローンによるマンホール内設備点検の様子と、点検で撮影された配管や構造物の画像がまとめられています。

KDDIスマートドローン株式会社の取り組み

KDDIスマートドローン株式会社は、小型ドローン「IBIS2」と「DJI AVATA2」を使い、換気ダクト内のスクリーニング点検を比較検証しました。実用的な点検品質を確保できるかを把握することが目的です。

ドローンIBIS2とDJI AVATA2の仕様比較表と、約160mの飛行経路を示した地図です。

両機体ともに安定した飛行が可能で、暗い場所でも問題なく飛行できました。特に「IBIS2」は細かな調整が可能で、粉塵が多いダクト内でも安定して運用できる防塵性能の高さが確認されました。「AVATA2」は比較的簡単に操縦できることが分かりました。約160mの距離で安定した通信が確保され、トンネル内の代表的な損傷(はく落、漏水、鋼材腐食、ボルトの状態など)を目視点検の代わりに確認できるほどの映像品質が得られました。ひび割れについても、50cmの距離で0.25mmのひび割れまで検出可能でした。

2種類のドローン(IBIS2とAVATA2)を用いたインフラ点検の様子を比較した画像です。

NTTドコモビジネス株式会社の取り組み

NTTドコモビジネス株式会社は、電波不感地帯、非GPS空間、暗所、狭小といった点検が難しい地下施設で、自律飛行型ドローンを活用する検証を行いました。緊急時に熟練パイロットを現地に配置できない場合を想定し、NTTドコモビジネス本社の会議室からドローンを遠隔操縦し、その実効性を確認しました。また、換気ダクト内にネットワーク環境を構築し、ドローン映像とガスセンサーのデータをIoTプラットフォーム「intdash」で一元管理する点検モデルも検証されました。

八重洲トンネル内での点検作業を効率化するシステム概要図。

使用されたドローン「Skydio X10」は、最先端のAIと高性能センサーを搭載しています。LTE通信に対応しており、トンネルダクト内の遠隔操縦をドローンポートを使わずに行うのは国内初の試みです。

Skydio X10ドローンの仕様が記載された表とドローン本体の画像です。

常盤橋換気所付近から西銀座JCT方面へ向かう約360mの飛行経路を示す地図です。

遠隔操縦によって、熟練パイロットが現地に行かなくても詳細な確認が可能であることが確認されました。塵や埃が舞う環境では、ドローンが障害物を避ける挙動を見せることがありましたが、360度全方位障害物回避機能により安全に飛行できました。電波が届かない場所でも、ドローンポートなどを使わずに安全な点検飛行が実施できることが示されました。

NTTドコモビジネスによる換気ダクト内ドローン飛行と遠隔操縦の様子。

ドローンやロボットを活用したインフラ点検システムのダッシュボード画像。

この実証に関する資料映像は、NTTドコモビジネス制作の下記URLからご覧いただけます。
NTTドコモビジネス制作資料映像

実証実験の成果と今後の課題

今回の実証実験では、狭い空間でのドローンによる点検方法や、遠隔地からの点検に向けて有益な結果が得られました。一方で、狭い空間内の粉塵がドローンに与える影響、通信環境の構築、ドローンの選定とそれぞれの特性に合わせた操縦技術の習熟が必要であることなど、今後の運用に向けた課題も確認されました。

様々なドローン5機種(JDRONE、DJI、IBIS2、SkydioX10)の性能比較表です。

今後は、これらの実証結果を踏まえ、迅速かつ確実に点検を行うための多様な点検方法の確立と、体制づくりに引き続き取り組んでいくとのことです。

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