震災を契機に生まれた「レベル出しDX」が都産技研アワード受賞、熟練技術者不足の解消へ

震災から生まれた「レベル出しDX」が都産技研アワード受賞

東日本大震災では、多くの工場で生産設備の設置レベルが狂い、その復旧には熟練した作業者の技術が不可欠でした。この経験をきっかけに、株式会社Any Designは2011年に創業し、誰でも簡単に精密な水平調整ができる技術「レベル出しDX」を開発しました。

この取り組みが評価され、東京都立産業技術研究センターの「INNOVATION PARTNERSHIP AWARD 2025」を受賞しました。この技術は、工作機械や産業機械を設置する現場での作業効率を高め、人手不足の解消に役立つと期待されています。

都産技研イノベーション・パートナーシップ・アワードの授与式

製造業の現場が抱える課題

現在の製造業では、設備の水平調整(レベル出し)を担当する熟練技術者が不足しており、作業が特定の個人に集中してしまうという問題があります。これにより、作業の効率が落ちたり、品質にばらつきが出たりすることが課題となっています。

熟練の技に頼らない「レベル出しDX」

Any Designが開発したデジタル精密水準器「LevelMan」は、独自の無線通信と専用のアプリケーションを使うことで、複数の場所の測定結果をリアルタイムで共有できるシステムです。

このシステムでは、最大10地点の傾きを同時に測定した実績があり、複数の作業者が同じデータを見ながら調整作業を進められます。これにより、これまで熟練技術者の経験に頼っていたレベル出し作業を効率化し、作業の属人化を防ぎ、判断のスピードを上げることが可能になりました。

工場内でワイヤレスデジタル精密水平器「Level Man ADL-T5」とタブレットを使用して、産業機械の水平度を測定・監視している様子

「Level Man ADL-T5」デジタル精密水準器本体と、それに付属する無線アプリの操作画面

8年間の産学連携による技術開発

Any Designは2016年から東京都立産業技術研究センターと協力し、測定技術と調整技術の研究開発を進めてきました。その結果、以下の製品を開発し、実用化しています。

  • デジタル精密水準器「LevelMan」

  • 水準器の校正作業を自動化する、2026年3月現在、世界初とされている全自動水準器校正装置「CalibMan」

  • 装置の水平調整を自動化する、2026年3月現在、日本初とされている全自動レベル調整システム「AdjustMan」

これらの技術は、製造設備の設置や保守作業の効率化と品質の安定に貢献しています。

東日本大震災が技術開発のきっかけに

2011年の東日本大震災では、多くの工場で生産設備が動いたり形が変わったりして、装置の水平精度が大きく狂う事態が発生しました。設備を元の状態に戻すためには、精密水準器を扱える高度な技術を持つ熟練作業者が必要であり、復旧作業の大きな課題となりました。

このような状況から、「ものづくりの基本である装置のレベル出しを、誰でも正確に行える環境が必要だ」という考えのもと、株式会社Any Designは2011年に創業しました。同社はその後、「LevelMan」を中心に、レベル出し作業のデータ共有や自動化を実現する技術の開発を進めてきました。

今後の展開

Any Designは、測定データの見える化と自動化技術を組み合わせた「レベル出しDX」を通じて、誰でも一定の精度で作業ができる環境の実現を目指しています。今後も、工作機械や産業機械の設置・保守分野において、生産性の向上と人手不足の解消に貢献するため、さらなる技術開発を進めていく方針です。

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