Quantum Mesh、IIJ、ネットチャートが液浸冷却システム搭載の分散型エッジデータセンターの取り扱いを開始

Quantum Mesh株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)、およびIIJの子会社であるネットチャート株式会社は、Quantum Meshが開発した分散型エッジデータセンターと液浸冷却システム「KAMUI」シリーズの販売代理店契約を結び、2026年4月7日より取り扱いを開始しました。この提携により、AIやエッジコンピューティングの時代に対応した、効率的なITインフラの利用を推進するとのことです。

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背景

近年、生成AIやAIとIoTを組み合わせたAIoTの普及により、GPUを使った大規模な計算の需要が急速に増えています。しかし、高性能なGPUをたくさん使うデータセンターでは、電力供給や冷却の能力、設置場所の確保が課題となっており、従来の空冷方式では限界が見えてきています。

また、自治体、医療、金融、製造業などでは、重要なデータを扱うため、すべてをクラウドに移行するのが難しい場合があります。これらの分野では、データを現場の近くで素早く処理することや、災害時にも事業を続けられるよう、高い信頼性が求められています。

これらの課題に対し、Quantum Meshの分散できるエッジデータセンターと液浸冷却技術を組み合わせることで、データの安全、処理の速さ、事業の継続性、そして電力の効率化を同時に実現する新しいGPU計算の基盤が提供されます。IIJとネットチャートは、IIJグループが持つデータセンター事業の経験を活かし、「KAMUI」シリーズの販売や設置、ネットワーク工事などを通じて、スムーズな導入をサポートします。

協業によるソリューションの概要

今回の協業では、以下の4つのポイントが提供されます。

1. 液浸冷却による高い電力効率と高密度な実装

Quantum Mesh製の液浸冷却システム「KAMUI」シリーズを使うことで、PUE(Power Usage Effectiveness)というデータセンターのエネルギー効率を示す指標で、1.03から1.04という高い水準での運用を目指します。PUEは1に近いほどエネルギー効率が良いことを示します。従来の空冷方式に比べて、冷却に必要な電力を大幅に減らし、1平方メートル未満のスペースに40kVAという高い電力を使うGPUも設置できるようになります。これにより、電力、冷却、床面積の制約が少なくなり、GPU計算基盤の拡張がしやすくなります。

2. 分散エッジ配置による機密性、低遅延、可用性の強化

データセンターを分散して配置し、少しずつ拡張できるため、大切なデータを日本国内に置いたまま、現場の近くで処理できます。これにより、データの安全を守りつつ、処理の遅れによる品質低下や運用上のリスクを減らせます。また、分散配置によって、障害や災害が起きた際にも別の場所で処理を続けられるような設計(フェイルオーバー)や、事業継続計画(BCP)が立てやすくなります。

3. 実績に基づいた柔軟な設計提案

Quantum Meshは、福井県高浜町でのエッジデータセンターの稼働実績(高浜ドリップ1)を通じて、設計から運用までのノウハウを持っています。冷却設備をデータセンターのラック内にまとめることで、外部の冷却設備に頼らずに設置できる「KAMUI γ(カムイ ガンマ)」や、チラー方式など、案件の条件や地域の特性に合わせて柔軟な設計が可能です。大規模なデータセンターやクラウドサービスと比較するだけでなく、「分散BCP × 機密 × 低遅延 × 電力効率(PUE)」という視点で、最適なGPU基盤を提案します。

4. スムーズな製品導入の支援

IIJグループが持つデータセンターソリューションの実績を活かし、「KAMUI」シリーズの設置工事だけでなく、ITネットワークなどの関連工事も対応できます。IIJグループはこれまでも空冷や空冷・水冷ハイブリッド方式のエッジデータセンターを提供してきましたが、今回の協業により液浸冷却方式の製品が加わることで、さらに高密度なGPU計算基盤を求める顧客の要望にも応えられるようになります。

今後の展望

Quantum Meshの分散型エッジデータセンター(液浸冷却システム「KAMUI」を使用)と、IIJグループのデータセンター、ネットワーク、セキュリティ基盤を組み合わせることで、「機密データを国内で保護しつつ、現場で素早くAI処理を行い、中央で管理・運用を統制し、事業継続計画を実行する」という構成を強みとして、幅広い分野への展開を目指します。自治体、医療、金融、製造、エネルギーといった分野に共通する、機密性、低遅延、継続性、運用統制といった要件に対し、分散型とハイブリッド型を組み合わせた具体的な実現方法を提案していくとのことです。ネットチャートは販売代理店として、販売から設計、構築、運用保守までを一貫してサポートできる体制を整え、導入プロジェクトを進めていきます。また、顧客の用途別(自治体、医療、金融、製造など)に提案のテンプレートや標準的な構成を準備し、導入までの期間を短くすることを目指します。

各社について

Quantum Mesh株式会社

情報の安全な保護と計算処理を行う持ち運び可能なエッジデータセンターを開発・運用しています。高度なセキュリティで情報資産を守り、高い計算能力で有効に活用できる環境を提供しています。

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)

1992年に設立され、1994年に日本で初めて本格的なインターネット接続サービスを開始しました。現在、IIJグループは国内外の約16,000社に対し、インターネット接続、クラウド、セキュリティ、IoT、動画配信、システム構築、運用アウトソーシングなど、幅広いネットワークソリューションを提供しています。

ネットチャート株式会社

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)のグループ会社として2006年10月に設立されました。神奈川県を中心に、機器の導入・設定、ネットワーク導入時の配線工事、アプリケーションのインストール・運用サポートなど、LAN関連を中心としたネットワーク構築事業を行っています。

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